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ITU テレコムワールド 2019 ビジュアルレポート

2019.11. 5 更新

日本ITU協会 専務理事 田中和彦

 9月9日(月) [現地時間] から12日(木)までの4日間、ハンガリーのブダペストにある国際展示会場(HungExpo)で、ITU テレコムワールド 2019が開催されました。同国での開催は2015年に続き2回目となります。イベントの模様を現地から速報と追加レポートでご覧下さい。(写真などはクリックすると拡大イメージが表示されます)

HungExpo メインエントランス

 

<項目> (クリックで各項目へ) 全天球写真他
1.オープニングセレモニー
2.VIPパビリオン見学
3. ジャパンパネルランチ
4.閣僚級ラウンドテーブル
5.フォーラムセッション模様
6.パビリオン展示模様
7. 長年貢献感謝状・各国パビリオン優秀賞贈呈式
8.ITUテレコムワールド賞贈賞式
9. 閉会式
10.まとめ
11.次回はベトナム ハノイで

 1.オープニングセレモニー

オープニング会場
司会者 ジャオITU事務総局長 国連事務総長 WIPO局長

司会者の紹介により、ジャオITU事務総局長は、本イベントの意義と開催国へ謝辞を述べました。国連事務総長からはビデオメッセージが寄せられ、その後、ITUが連携を深めているWIPOの局長が挨拶しました。

未来イメージCG映像 ベトナム情報通信大臣 ハンガリー首相 VIP記念撮影

同国のクリエーターによる未来をイメージしたCGビデオ上映の後、次回開催予定国であるベトナムの情報通信大臣が登壇し、次回の開催を披露すると会場では軽い驚きの声が聞かれました。最終日に次回の開催国、開催地が発表されるのが通例ですが今回はオープニングセレモニーでの発表となりました。ハンガリー首相の挨拶では、同国がITUの創立メンバーであること、例えば、付加価値税を従来の27%から5%に低減させて、インターネットの普及に力を入れていることなどが強調されていました。

オープンニンングセレモニー終了時に、ITU幹部、各国首脳などが壇上で記念撮影を行い、和やかな雰囲気の中、ITUテレコムワールド2019が開始されました。

2.VIPパビリオン見学 [全天球写真]

オープニングセレモニーの終了後に、同国首相、ジャオITU事務総局長、ITU幹部、各国大臣級閣僚による展示パビリオンの見学が行われました。

VIPツアー ジャオITU事務総局長と 展示見学模様 出展関係者他一同

日本パビリオンに関しては、VIPツアーの時間の関係で、別途、ジャオITU事務総局長が訪問され、関係者一同との記念写真の後、展示もご覧頂きました。

加えて、3日目には、改めて、ジャオITU事務総局長が、日本パビリオンを訪問されました。

日本電池再生 ZEUS NICT

展示各社の展示内容を見学され、展示担当者と熱心にまた親しいやりとりが行われました。

IIJ Welltool ジャオITU事務総局長を囲んで 日本パビリオン全景

ジャオITU事務総局長の日本への関心の高さを感じることが出来ました。 

3. ジャパンパネルランチ

2日目は、日本主催のジャパンパネルランチが開催されました。これは、ランチを食べながら、各社のプレゼンテーションを聞いて頂くイベントで、在ハンガリー佐藤 地(くに)特命全権日本大使、ジャオITU事務総局長を来賓にお迎えし、また、ITU事務総局次長、ITU-R局長にもご出席頂き開催されました。

総務省土田専門職 VIPテーブル

総務省土田専門職による開会挨拶の後、佐藤特命全権委任大使が挨拶されました。

佐藤特命全権大使 ジャオITU事務総局長 会場模様

引き続き、ジャオITU事務総局長が登壇し、日本の長年に渡るITUでの国際標準化活動への寄与に対する感謝などを述べられ、その中で、日本のSMEの動向として、出席のSME社長を紹介し、会場の拍手を受けました。

日本ITU協会田中

来賓の挨拶の後、日本ITU協会田中が、各社のプレゼンテーションの概要を紹介し、以降の進行を務めました。 (各社スライドはpdfをクリックしてご覧下さい)

ZEUS 桂正典代表取締役 [pdf] ソフトバンク 上村治渉外本部標準化推進部部長 [pdf] Welltool 田中初実代表取締役 [pdf]

ZEUSは、同社のミャンマーにおけるIT人材への取り組みを紹介しました。ソフトバンクは、成層圏に飛行体を飛行させて携帯電話の基地局として運用する取り組みを紹介しました。多言語処理技術のWelltoolは、同社の技術と国連が掲げるSDG'sへの貢献をアピールしました。 

日本電池再生 川邉剛代表取締役 [pdf] IIJ 佐々木太志MVNO事業部兼事業統括部部長 [pdf] NICT 門脇直人理事 [pdf]

日本電池再生は、同社の鉛充電池再生・復活技術と各国での適用状況を紹介しました。IIJは同社の日本におけるインターネットへの取り組みと広範なMVNOサービスの提供などについて紹介しました。NICTは、同機構の紹介と、研究成果例として、38マルチコア光ファイバーなど革新的・創造的な研究成果を紹介しました。

ランチを取りながらのイベントですが、参加の皆様の関心は高く、食事の手を止めてプレゼンテーションに聞き入り、また、プレゼンテーションスライドを写真に収めるという光景が多々見られました。

イベントの終了時には、参加者が講演者のところにやってきて「もっと話を聞かせて欲しい」というやりとりが行われるなど、関心の高さを伺うことが出来ました。 ( ITU撮影ビデオ )

 

4.閣僚級ラウンドテーブル

2日目には、下記の3テーマで、閣僚級ラウンドテーブルで、活発な議論が行われました。

The role of government in 5G and high-capacity network deployment (5G 及び 大容量ネットワーク導入における政府の役割)
What's happening with our data? Securing trust in digital public services
(今、データに何が起きているのか?デジタル公共サービスでいかに信用を確保するか)
Stimulating public-private collaboration on connectivity and adoption
(接続性導入のための政府・民間協力をいかに活性化させるか)

What's happening with our data? Securing trust in digital public services ラウンドテーブルパネル

What's happening with our data? Securing trust in digital public servicesでは、各国から、デジタルエコノミーの重要性、電子政府の導入計画などが積極的に紹介されました。 

司会 ジョンソン事務総局次長 マリ イラク ジンバブエ
アゼルバイジャン 南アフリカ シンガポール インド
GeSi CTO

一方、技術、法整備、人材の不足、や接続性の不十分さなどの課題も示されました。また、データの安全性と関連し、デジタルアイデンティティの重要性を指摘する意見もありました。

Stimulating public-private collaboration on connectivity and adoption ラウンドテーブルパネル

Stimulating public-private collaboration on connectivity and adoptionでは、いかに接続性の拡大を図るかという観点からの議論が行われました。

司会 ボグダン・マーティンITU-D局長 ギニア ネパール インドネシア
赤道ギニア ガーナ エリクソン UN Office of ICT
モンテネグロ カメルーン WWW Foundation 質疑模様

各国からは積極的なデジタル活用の計画がある一方で、機器やアンテナなどのコストが高いことがネックであるとの指摘が続きました。それに対してはユニバーサルファンドの活用やアンテナタワーの共用化、あるいは利益共用化などの方策が示されました。

5.フォーラムセッション模様

フォーラムの各セッションでは、技術、応用、制度、課題解決など様々な切り口での議論が行われました。

Investing in the digital future: towards gigabit infrastructure and society では「ギガビット時代のインフラストラクチャーと社会に向けてどう投資を行うべきか」というテーマで議論が行われました。

司会 ITUヨーロッパ担当 パネル全景 北マケドニア ブロードバンド化計画
アルバニア ETNO 世界銀行 不確実性に伴う悩み
ハンガリー 通信量各国動向 ヨーロッパの最大の課題は 投資を呼び込むために
テレノール ヨーロッパ投資銀行

各国からはギガビット時代への期待やブロードバンド拡大計画が紹介されましたが、一方、不確実性の高い現状において、政府、民間、いずれもが投資に対してどういう姿勢を取るべきかに悩んでいるとの指摘もありました。

最後に「ギガビットを実現する現実的な方法はFTTHと5Gと理解しているが、この場の議論はどちらを前提にしているのか?」と質問したところ、パネル各氏は大いに反応し、結局は「両方のバランス、両者は補完関係」との意見でした。

Accessibility matters: dismantling the barriers of disability with technology では、「技術によっていかに障害に伴う障壁を取り除くか」という議論が行われました。

パネル全景 ネパールテレコム ITUヨーロッパ担当 ヨーロッパにおける取り組み
Access and Inclusion Service カンデム教育基金 ヨーロッパにおけるアクセシビリティ実現取組 質疑模様

各国、各地域、各社における障壁を無くす取組の紹介、改善計画などが紹介されました。

最後に「MIT Media Lab.のハー教授は登山で足を失ったが状況別の義足の方が山に登りやすいと言っている。技術で障害は利点に変えられるのではないか?」と発言しパネル各氏からは「正にその通りだ、そういう方向を目指したい」との発言でした。

フォーラムのセッション全体を把握、俯瞰するのは非常に難しいのですが、一つの方法としてキーワードを分析しました。10.まとめ をご覧下さい。

6.パビリオン展示模様 [全天球写真]

広大な会場の半分がフォーラムの会場に、残りの半分が展示会場に使用されました。

展示会場全景

大中小規模なパビリオンに加え、今回は、極小とも言えるスタンドサイズの展示も行われていました。

フロア配置図

各国の展示は、大きさも内容も様々で、各国のSMEが展示しているのが目立ちました。

アンゴラ アゼルバイジャン バングラディシュ ブルンジ
カメルーン ガーナ ハンガリー インドネシア
イラン 韓国 モザンビーク ルワンダ
南アフリカ ヴィシェグラードグループ

中国は、例年に比べると小規模な印象でしたが、これでも複数のパビリオンで展示していました。

中国 CSAIA ファーウェイ Tiaa

各国、企業、以外にも種々の団体の展示も見られました。

GSMA Commonwealth
Telecommunications
Organization
UN Office of ICT

企業では、定番の企業に加え、今年は、自動運転、5Gの展示が目立ちました。

 
ROHDE & SCHWARZ Vodafone Global Plan
       
Continental Continental(自動運転車車内) ERICSSON 5G接続されたロボット (mp4)

自動運転車は静態展示でしたが運転席に乗り込むことが出来ました。5Gに関しては大きなトラックや、5Gで制御する多足ロボットのデモンストレーションなどが目立ちました。

7. 長年貢献感謝状・各国パビリオン優秀賞贈呈式

3日目には、各国・関係者の長年のITUテレコンワールドへの貢献への感謝状、また、各国パビリオンから選ばれた出展者への優秀賞の贈呈式が行われました。

司会者 各国・関係者への謝辞 会場模様 各国への感謝状贈呈

長年の貢献に対して、各国の首脳、また、50年近くもITU活動に携わって来たハンガリーの関係者に感謝状が贈呈されました。

50年近くも貢献 一同記念写真 田中Welltool社長、土田専門職 ジャオITU事務総局長と

各国パビリオン優秀賞として、日本については、Welltoolが受賞し、一同との記念写真に加え、ジャオITU事務総局長と記念写真に収まりました。

長年貢献感謝状、各国パビリオン優秀賞、受賞、誠におめでとうございます。

8.ITUテレコムワールド賞贈賞式

4日目には、ITUテレコムワールド賞贈賞式が行われました。

会場模様 ジャオITU事務総局長 審査員一同

この賞は、ICT分野での貢献、成果を上げている企業、政府を表彰するものです。

Ruangguru App (南アフリカ) KT(韓国) Huawei(中国) モザンビーク

SMEに対しては、下記の4カテゴリ毎に、SME各社に賞が与えられました。

ビジネスモデル (Best Business Model) Vokacom (ガーナ) GPSによる住所管理システム
ICT活用 (Most innovative use of ICTs) Immersion4 (スイス) 直浸液冷省エネ技術
社会貢献 (Greatest social impact) UX Information Technologies (モザンビーク) 携帯電話によるジョブマッチングシステム
拡大・成長性 (Most scalable solution) ​Prime Molecular Technologies Africa (南アフリカ) ペーパーレス省資源貢献システム

Vokacom
(ガーナ)
Immersion4
(スイス)
UX Information Technologies
(モザンビーク)
Prime Molecular Technologies Africa
(南アフリカ)

住所が未整備である国におけるGPSによる「住所システム」やインターネットの利用を前提としない携帯電話サービスによるジョブマッチングサービスなど、発展途上国ならではのシステム、サービスが特徴的であると感じました。 

Immersion4社長挨拶 説明スライド

SME最優秀賞は、スイスの特殊な液体による冷却システムによりデーターセンターの省エネ化に役立つ技術を提供する Immersion4が受賞しました。

9. 閉会式 [全天球写真]

閉会式では、ハンガリー外務大臣が閉会の挨拶を行い、同国の人口などに触れ、これからのICTにおける競争は、人口などの大きさではなく、付加価値による今までには無い競争であることなど、同国の積極的なICT活用への取り組みなどを紹介しました。

会場模様 ハンガリー外務大臣 閉会宣言

最後に、ジャオITU事務総局長が登壇し、本イベントの閉会を宣言しました。 

CG+ドローン 超小型ドローン

超小型ドローンをCGによるデモンストレーションビデオも披露されました。 

ジャオ事務総局長と
(平松、岸本、田中)

無事に、本イベントは終了しました。日本ITU協会では、田中、岸本、平松の3名が現地での業務を担当致しました。

10.まとめ

様々な切り口で、議論、展示が行われた本イベントの全体像を把握、俯瞰するのは難しいのですが、今回の事前のプログラム、事後のハイライトに出現したキーワードを過去のハイライトと並べて分析してみました。 

キーワードの比率、推移

特徴的なのは、5Gが経年的に比率が高まっており、これは、構想、議論の段階から実用化の段階に入り現実性が高まったためと思われます。AIは結果的に多く語られました。IoTinternetbroadbandspectrumは一定の比率で出現しています。

参加者、参加国などは、ほぼ例年通りで、一定の活況であったと言えると思います。 ( Post Event Report [pdf] | 2019 EVENT | Session Videos )

参加者/参加国 4000名/125ヶ国
展示者・スポンサー 270+/45ヶ国
講演者 250+
ICTリーダー参加者 300+/87ヶ国
大臣・副大臣参加者 38名
SME出展者 150+/40ヶ国

印象に残ったのは、光ファイバーやその接続・収容用品の展示が行われていたことです。これまで2012年以来、本イベントに参加して来ましたが、これらの展示を見かけたのは初めてという印象を持っています。 

ウクライナの光ケーブルメーカー 中国の光ケーブルメーカー 光ケーブルサンプル(タケノコ)
中国のメーカーによるケーブル構造の展示 母材、素線の展示も 接続・収容用品メーカー 接続・収容用品

ブロードバンドの導入、デジタルエコノミーへの期待など、構想が語られており、ギガビットというキーワードも聞こえましたが、内容を見ると、まだまだ、接続性=ブロードバンドのカバレッジが不十分であるという悩み、また、速度も、ギガビット以前の段階であることが分かります。

FTTHに加え、5Gという選択肢が出現しましたが、5Gの基地局への回線として光ファイバーは必須であり、FTTHの導入に加えて、5Gの導入が光ファイバーの導入を進める契機になるのではないかと感じました。

この点で、光ファイバーの普及率が高く、その応用も進んでいる日本は各国の参考になり得るのはないかとの想いを改めて強くしました。 

11.次回はベトナム ハノイで

次回のITUテレコムワールド 2020は、2020年9月6日(日)~9日(水)に、ベトナム ハノイベトナム国立会議場 (Vietnam National Convention Center)で開催予定です。

経済発展が目覚ましく、また、ビジネス先としても注目されるベトナムでの開催となります。皆様、ぜひ、ご参加をご検討下さい。宜しくお願い致します。

 

参考情報:使用機材 PANASONIC DMC-FZ1000, SONY DSC-RX100


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