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ITU テレコムワールド 2017 ビジュアルレポート

2017.10.31 更新

日本ITU協会 専務理事 田中和彦

 9月25日(月) [現地時間]から28日(木)までの4日間、韓国釜山のBEXCO(Busan Exhibition & Convention center)で、ITU テレコムワールド 2017が開催されました。

 現地からの速報と帰国後の追加レポートをお送りします。(写真はクリックすると拡大写真が表示されます。ぜひ拡大写真もご覧下さい。)

閣僚級ラウンドテーブル (2017.9.26 追記)

ジャパンセッション (2017.9.27 追記)、各社プレゼンテーションスライド、参加者分析追記 (2017.10.31)

アワードセレモニー (2017.9.28追記)

各国パビリオン韓国パビリオン企業他パビリオン日本企業パビリオン他フォーラムセッション模様まとめと感想 (2017.10.31 追記)

釜山国際展示会議場(BEXCO)

 

 1.オープニングセレモニー


オープニングセレモニーでは、韓国科学ICT大臣、釜山市長、ジャオITU事務総局長の挨拶の後、ムン・ジェイン大統領がビデオでメッセージを寄せました。

韓国科学ICT大臣 釜山市長 ジャオITU事務総局長 ムン・ジェイン大統領

ダンサーによる祝賀パフォーマンスが披露され、各国大臣、ITU幹部などのVIPも踊りの輪に加わりムードを盛り上げました。

ダンスパフォーマンス VIPも踊りの輪に

今回のイベントのホスト国に加えスポンサーであるサウジアラビア、UAEからも挨拶があり、基調講演としてインドネシアにおける基幹網整備計画などが紹介されました。

サウジアラビア UAE インドネシア 基幹網整備計画

続いて、南アフリカが次回のテレコムワールドのホスト国である旨を表明し、前々回ホスト国であるハンガリーは次々回のホスト国候補への意向を示しました。

南アフリカ ハンガリー コスタリカ 記念写真

今回も企業などによるスピーチはなく、各国の参加を重視しているという印象を受けました。

 

2.VIP見学・日本パビリオン展示

オープニングセレモニーに先立って、ジャオITU事務総局長、ITU幹部、各国閣僚による展示パビリオンの見学が行われました。限られた見学時間の中で日本パビリオンでは展示各社の皆様との記念写真に応じて頂きました。

開催前夜 テープカット お出迎え 記念写真

オープニングセレモニー後、展示が開始され、早速、各社ブースには、様々な参加者の皆様が訪れ、熱心に説明を聞くなど反応の高さを実感しました。

NICT Welltool メロディ・インターナショナル

参加者は各国からの政府やICT関係者が中心ですが、赤ちゃんを抱いた方や電動車いすの方にも見学して頂きました。

赤ちゃんも 電動車いすの方も

 

3."ITU Journal: ICT Discoveries"創刊セレモニー

今年、ITUとして発行予定の"ITU Journal: Discoveries"の創刊セレモニーが行われました。冒頭、ジャオITU事務総局長は「私の長年の希望だった」と熱く語りました。編集長を務める中国精華大学のSong教授は「子供を育てるようなものです」と語りました。

セレモニーアジェンダ ジャオITU事務総局長 ITU-Tリー局長 編集長精華大学Song教授

今年内に発行予定の創刊号はAIをテーマとしており、現在、論文を募集中です。また、オランダデルフト工科大学 Dignum教授、精華大学(DeePhi Tech) Yao氏からの招待論文を掲載予定で、概要に関する講演も行われました。

デルフト工科大学Dignum教授 精華大学 Yao氏

 

4.日程

下記の日程で開催されました。

第1日目 第2日目 第3日目 第4日目

5.閣僚級ラウンドテーブル

今回の閣僚級ラウンドテーブルは、3テーマ、Transforming the ICT sectorShaping smart services and industriesDigital citizens firstで、順次行われました。 

別のテーマが設定されていますが、共通的・基本的には「ICTをどう活用するのか」「そのための課題は何か」「各国でどのように取り組まれているのか」「将来計画は」という議論でした。

Transforming the ICT sector ジャオITU事務総局長挨拶 韓国科学ICT副大臣挨拶 スポンサーHUAWEI挨拶
ベラルーシ カメルーン インドネシア アゼルバイジャン

共通するのは「アフリカではアクセスの問題が第一だ」(ジンバブエ)という発言に代表される通信インフラの不足問題でした。

Shaping smart services
and industries
リーITU-T局長 レソト イラン
ジンバブエ ベトナム ガーナ

通信インフラが導入し難い理由として「町が分散していて、人口が少ない」「特にアマゾンは」(ペルー)、「山岳地帯が国土のほとんどを占める」(キルギス)など、地形や低人口密度の問題が大きいと感じました。

Digital citizens first サヌーITU-D局長 ブータン ベニン
カンボジア ハンガリー 南アフリカ ペルー
キルギス グローバルプラン岡村氏

また「OTTに対して税金などの対応を取る予定」(インドネシア)、「自然への配慮、炭酸ガス排出ゼロを意識する」(ブータン)など、各国の興味深い方針も表明されました。

「2025年までに人口の50%以上が都市に集中するとの予測」「都市のスマート化が必要」(ベトナム)と言う発言は意外で、前出の地形や低人口密度の問題と合わせ、日本と共通した課題であるとも感じました。

最後のセッションの議長を務めたサヌーITU-D局長は「キャパシティビルディング(通信インフラ導入)は引き続き課題となっている」「ITUとしては若者、子供達への教育、スキル付与に注力している」との発言で、セッションをまとめました。

6.ジャパンセッション

Cutting-edge connections: exploring ICT Innovation in Japanと題してジャパンセッションが行われました。冒頭、ジャオITU事務総局長からセッションに参加した各国閣僚の紹介と「日本では最新のICTインフラが導入済みでいわばこれは途上国の未来だ」「長年の日本のITUへの貢献に感謝します」とのご挨拶を頂きました。当協会の斎藤部長が司会を務め、田中より開催のご挨拶、各社の紹介をさせて頂きました。

ジャオITU事務総局長挨拶 各国閣僚の紹介 日本ITU協会斎藤部長 田中による各社紹介

メロディは、妊婦と胎児の健康状態をモニターするデバイスを開発しており、香川県や遠野市での導入状況、効果などを紹介しました。アフリカなどからの参加者の妊婦、新生児に関する関心は高く、ベニンの通信大臣や、多くの、特に女性の関心が高く、「このプロジェクトは政府による支援を想定しているのか」など、熱心な質問も頂きました。また参加者の中にはご自身の奥様が妊娠中という方も居られました。(プレゼンテーションスライド)

メロディ・インターナショナル 尾形社長 会場模様 ベニン通信大臣 奥様妊娠中

NICTは、通信だけでなく、電力も伝送可能なシートに関するプレゼンテーションを行いました。会場からは、電力を伝送するという点に関しての質問がありました。(プレゼンテーションスライド)

NICT 加川研究員 会場模様 会場からの質問 熱心な質疑が

Welltoolは、88の言語に対応するSNSについてのプレゼンテーションを行いました。会場からは、翻訳エンジンに関する質問がありました。(プレゼンテーションスライド)

Welltool 山本主任 会場模様 どのデバイスでも」 「翻訳エンジンは?」

50名以上の参加者で、各国セッションとしては、熱心に質問して頂くなど、盛況であったと思います。セッションの終了後も、関心の高い参加者の皆様が講演者と名刺交換するなど、海外、特に途上国へのアピールの場としての有用性を再認識しました。

各セッション会場では参加者のバッチをスキャンしており、閉会後に受け取った情報によれば、参加者72名、海外参加者80%、女性25%、各国政府関係者・ICT業界関係者40%でこの意味でも有意義なセッションであったと言えると思います。(2017.10.31追記)

7.アワードセレモニー

最終日に行われたアワードセレモニーでは、メロディ・インターナショナルが各国SME賞を受賞しました。これは同社の技術と公共の福祉への貢献が評価されたものと思われます。ランシーITU-D局長、ジャオITU事務総局長、リーITU-T局長に囲まれて記念撮影も行われました。受賞、誠におめでとうございます。

ジャオITU事務総局長挨拶 会場模様 記念写真 お祝いの言葉も

また、企業賞、ホスト国SME賞、政府賞、グローバルSME賞がそれぞれ贈られ、壇上では受賞後、賑やかに記念撮影、挨拶が行われました。SMEエクセレンス賞はインドネシアのSME向け投資促進会社 modulkuが受賞しました。

政府賞受賞ナイジェリア SMEエクセレンス賞受賞modulku

今回、日本には、長年のテレコムワールドへの貢献に関して、感謝状(Certificate of Appreciation)が贈られ、田中が受け取らせて頂きました。

記念写真 集合写真

これまで、日本パビリオンへのITU幹部の訪問、ジャパンセッションでのジャオITU事務総局長による挨拶など、ITUの日本への配慮を感じていましたが、今回の感謝状の贈呈は、それらが具体化したものだと思います。

アワードセレモニー後、フェアウェルレセプションが行われ全日程が無事、終了しました。

 

8.各国パビリオン

各国による展示では、主催国韓国、中国、また、日本のパビリオンが目立ったが、インドネシアや次回開催国である南アフリカのパビリオンも大規模でした。

インドネシア ナイジェリア フィリピン 南アフリカ ジンバブエ

一方、中規模のパビリオンも多く見られました。

アゼルバイジャン ブラジル カメルーン ガボン
ガーナ マラウィ ルワンダ セネガル

また、小規模でターンキー型のパビリオンも多く、これらは出展のしやすさを高めるためと思われます。

エチオピア イラン モザンビーク スーダン

中国は、CSAIA(China Satellite Application Industry Association)が大規模なパビリオンを開設し、また、自動車向けのテレマティークサービスに関する団体も展示を行っていました。 

中国(CSAIA) 大規模なパビリオン 一帯一路スローガン 写真

中国の各社は、通信事業者を中心に展示を行っていました。

   
中国各社 中国聯合通信 中国電信 中国移動 中国普天

また、鉄塔や衛星(宇宙船)など関連分野の企業も参加していました。

中国鉄塔 中国長城工業総公司
(中国航天科技集団公司)
宇宙船模型(中国長城工業総公司)

9.韓国パビリオン

韓国パビリオンは非常に大規模で、通信事業者各社、研究機関(ETRI)、平昌オリンピックに関する展示、釜山市による展示が行われていました。

韓国パビリオン全景

koreaテレコムパビリオンでは、5Gと組み合わせたVRなどを体験型で見学者にアピールする展示が目立ちました。

korea テレコム 5G + VR VRレーシング体験

SK テレコムは大規模なパビリオンで、IoTと5Gをキーワードに展示を行っていました。

SK テレコムブース全景

会場には5Gを応用した自動運転車、5Gの移動試験自動車、また、量子暗号化ネットワークなど、技術的な展示も行われており興味深い内容でした。

SK テレコムブース 5Gによる自動運転自動車 5G移動試験自動車 5G移動試験自動車内部 量子暗号化ネットワーク

韓国の国立の研究機関である韓国電子通信研究院(ETRI)では、スマートホンで手軽にARを体験出来るデモンストレーションなどが行われていました。 

ETRI この卓上が ピンボールの画面に

平昌オリンピックの体験コーナーでは、スキージャンプをVR体験出来るコーナーがあり、試した皆さんはジャンプの際に思わず大声を上げるなど、相当なリアリティを感じているようでした。また釜山市によるVR/ARのパビリオンもあり、VR/ARによる展示が多く見られました。 

平昌オリンピックをVRで体験 釜山市VR/ARパビリオン

釜山市によるITエキスポも併催されており、釜山市のスマートシティ構想、クラウドサービス、ホームICTなどに関する展示が行われていました。 

釜山ITエキスポ スマートシティー釜山 韓国クラウド ホームICT

 

10.企業他パビリオン

独立した企業による展示は少ないのですが、ドイツの測定器メーカー Rohde & Schwarzは毎回テレコムワールドで展示を行っており、今回も最新の5G向け測定器のデモなどを行っていました。同社によればテレコムワールドでの展示は最先端の技術のアピールの場として意義深く参加しているとのことでした。

       
ROHDE & SCHWARZ ROHDE & SCHWARZ社 5G測定器 aruba GSMA

その他にもITUによるSMEスペース、また、ITU-R / ITU-Dや出版活動の紹介コーナーなども開設されていました。

   
SMEスペース ITU-R / ITU-D

 

11.日本企業パビリオン他

日本パビリオン以外でも、APT-ITU C&Iイベント、NTT Korea(NTT Communications)、また、安価な光ファイバ工事を提案するグローバルプランが展示を行いました。

     
APT-ITU C&I(Astem 中谷氏、NEC 剣吉氏) NTT Korea (NTT Communications) グローバルプラン

また、ジャパンセッション以外ではThe value of smart banking: the operational key to making smart cities workに、モフィリアの天貝佐登史社長が登壇し同社の生体認証技術を紹介しています。

 

12.フォーラムセッション模様

今回のテレコムワールドでは、人工知能(AI)、金融分野(Bank)、都市高度化(Cities)に焦点を当てた"Smart ABC"がテーマで、ICT分野だけでなく、各分野の専門家も多数参加し、様々な議論が行われました。

     
Smart ABC Data Driven Financial Innovation Smart ABC Digital Finance Roundtable Smart City Leaders Roundtable

インターネットに関する議論も行われ、日本からは前村昌紀ICANN理事(JPNIC)が登壇し、各国言語によるドメイン管理の重要性などに関して発言しました。

   
When connectivity is not enough driving
meaningful digital inclusion
前村ICANN理事

併催のイベントとして Young ICT Leaders' Forum 2017が開催されました。これは、2014年のITU全権委員会議(PP-14)開催時に、ITUと釜山市との覚え書き(MoU)に基づくイベントで2015年から毎年開催されているとのことです。このイベントでは韓国の若者を中心に、最先端のICTを学ぶとともに、それらをどう社会に生かすかを議論する場となっていました。

     
元釜山市副市長 昨今情勢 多くの若者が参加

多様で多数のフォーラムでの議論を一言で語るのは難しいのですが、今回のセッション紹介(プログラム)、日々のハイライトに出現したキーワードの比率を比較してみました。

 

グラフを見ると、"Samrt ABC"としては、人工知能(AI)への関心が高く、また、議論としては、技術的なキーワード、特に「5G」「IoT」について多く語られたと思います。

13.まとめと感想

今回のテレコムワールドは、歓迎レセプションでジャオITU事務総局長が「戦争の可能性もある中、かくも多くの参加を」と挨拶したように緊張した情勢での開催でしたが、世界126ヶ国からの参加者が前回の8,800名を越える9,100名以上となるなど盛会となりました。

参加者 9100名超
参加国 126ヶ国
展示者 458
講演者 125名(41ヶ国)
ICTリーダー参加者 215名

全体を通した、個人的な所感・感想は、以下です。

(1) 依然として途上国ではインフラ導入、特にブロードバンド導入が課題である。

(2) 各国はインフラ整備に加え、産業発展福祉向上等のためICT活用に取り組んでいる。

(3) ITUとしては、人工知能の応用金融分野都市高度化へのICT応用などICTの活用と関係者との議論の場作りに注力している。

(4) 過疎問題都市問題など途上国と日本の共通する課題も多い。

前出のジャオITU事務総局長の「日本は途上国の未来だ」という認識に加え、日本は「課題先進国」でもあると痛感しました。日本では、既にブロードバンドの導入、デジタル放送の実施、高速モバイルサービスの導入など完了し、それらを生かした社会課題の解決への取り組みも行われています。これらの経験、知見は世界の多くの国々、特に途上国にとって役立つと考えています。

次回は来年9月南アフリカで開催予定です。アフリカは、日本からは遠い地域ですが、人口の拡大、未開発な国土など非常に大きな可能性を持っています。アフリカを始めとする世界への情報発信の場として、また、動向把握・情報収集のため、ぜひ、ご活用頂き、より多くの皆様に参加して頂ける事を祈念しております。宜しくお願い致します。

 

全天球写真、パノラマ写真、ビデオ等を追加予定です。どうかご覧ください。

参考情報:使用機材 PANASONIC DMC-FZ1000、SONY DSC-RX100


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