昭和57(1982)年度 受賞者功績概要

一般賞(3人)
1 岡部 年定/ ITU/ CCITT専門事務局
昭和37年以降、20年余りの長きに渡ってCCITT専門事務局職員として勤務し、その間多年にわたり担当部長の重責を担い、電信、データ通信分野の国際標準化作業に直接参画して、その推進調整に当たり、更にまたディジタルデータ交換網及びディジタルファクシミリなどの分野で広汎かつ詳細なCCITTの勧告作成に指導的役割を果たし、この分野の国際的発展に大きく貢献した。なお、国際標準化機構(ISO)その他の関連国際機関の会議・セミナー等にもITU代表としてしばしば出席して活躍し、その業績は高く評価されている。
2 西澤 雄策/ 国際電信電話株式会社  国際部
昭和49年以降、国際電信電話諮問委員会(CCITT)の総会及び同研究委員会ならびにプラン委員会の諸会合に数次に渡って出席して活躍し、その間国際電報語数計算及び国際電報業務運用の簡素化についての研究を推進し、また、パケット交換国際公衆データ伝送業務に適用する特別料金原則に関する勧告ならびにSWIFT等特殊な国際通信の需要を満たすために設立された組織への国際電気通信業務提供の為の一般原則に関する勧告の作成等CCITT活動に寄与し、わが国のITU活動に大きく貢献した。なお、55年11月、CCITT第7回総会において合同作業部会、海上移動業務(SMM)の副議長に選出されている。
3 藤木 榮/ ITU
昭和33年以降、全権委員会議、国際無線通信主管庁会議及び国際無線通信諮問委員会(CCIR)ならびにプラン委員会の諸会議・会合に十数回にわたって出席して活躍し、卓越した知識、豊富な経験等により、わが国の電波権益の確保に努めると共に電波技術及び周波数管理に関するITUの活動に寄与し、わが国のITU活動に大きく貢献した。また、50年7月、IFRBの議長の席にあって、同年開催の無線通信規則の全面的改正を行った主管庁会議において、会議を成功に導くなど、その功績は大きい。
著作賞(3人)
1 伊藤 士郎/ 日本放送協会 総合技術研究所
昭和40年代初期から12ギガヘルツ帯電波の降雨減衰特性の研究に従事し、太陽雑音電波等を連続観測するラジオメーターを開発して収集した観測データ、また、マレーシアの協力を得て行ったアジア地域の観測データ、これらの研究成果をもとに国際無線通信諮問委員会(CCIR)へ寄与文書を作成提出してその審議に参加し、関連レポートの作成に寄与したが、さらに56年にはBS電波の日本全国降雨減衰特性に関する新しい概念としての継続時間特性および12ギガヘルツ地上放送についての信号形式混信保護比などについてそれぞれ寄与文書を提出して関連レポートの作成ならびに改訂に寄与し、わが国のITU活動に大きく貢献した。なお、52年行こう電波技術審議会の専門委員としてわが国のCCIR活動を積極的に推進している。
2 加納 貞彦/ 日本電信電話公社 研究開発本部
昭和52年以降、国際電信電話諮問委員会(CCITT)第11研究委員会の諸会合に出席し、電話交換及び信号方式の国際標準化に関する提案を行い、この分野におけるわが国の主導的役割を積極的に推進したが、その間実に18件にのぼる寄与文書を作成提出して同委員会の活動に寄与し、和gかうにのITU活動に大きく貢献した。特に、ディジタル網用の共通線信号方式に関する寄与文書は、通信網の機能高度化に必須なNo.7共通線信号方式の基本である可変長データ転送を提案したものであって、これに基づいて勧告として承認された同方式は、今後長期間に渡って使用され得る標準共通信号方式として高く評価されている。
3 村谷 拓郎/ 国際電信電話株式会社 研究所
静止衛星軌道及びその周波数の有効利用をはかるための手法に関し、早くから研究に従事していたが、昭和51年以降国際無線通信諮問委員会(CCIR)第4研究委員会の諸会合に出席し、その研究成果をもとに作成した寄与文書を提出して同委員会の活動に寄与し、わが国のITU活動に大きく貢献した。特に自ら開発したORBIT-1プログラムは多数の衛星を静止軌道上に最適に配置することができるものとしてた各評価されているが、本プログラムはITUの要請により56年7月ITU本部に移管され、近く開催される「宇宙に関する世界無線通信主管庁会議」において主題とされる「平等かつ効率の高い静止衛星軌道の利用法」の検討に活用されることとなっている。なお、55年行こう電波技術審議会の専門委員としてわが国のCCIR活動を積極的に推進している。