平成15(2003)年度 受賞者功績概要

功績賞(10人・団体)
1 川角 靖彦/日本テレコム株式会社/経営戦略本部 経営企画部
電気通信開発部門のルーラル通信の新技術導入に関するフォーカスグループのラポーターとして報告書の取りまとめに尽力され、報告書完成後はそのフォローアップに精力的に取り組まれる一方で、2002年3月にトルコで開催されたITU第3回世界電気通信開発会議ではイスタンブール行動計画の策定・取りまとめを行う第4委員会の副議長に就任し、同計画の策定・取りまとめに尽力された。
2 菊島 浩二/日本電信電話株式会社/サービスインテグレーション基盤研究所
ITU-T SG9において、光アクセスネットワークによる多チャンネル映像伝送に関するラポータを務め、勧告作成に貢献した。また、ITU-T SG9のアクセスネットワーク伝送の標準化計画に関するリプリゼンタティブとして、ITU-T SG15へのリエゾン役を務めた。さらに、ITU-TSG15においては、ADSLとVDSLの勧告作成に貢献した。
3 篠永 英之/株式会社KDDI研究所
静止衛星システムの上り、下り回線の周波数を非静止衛星システムのフィーダーリンクの下り、上り回線で使用するリバースバンド運用の有効性に着目し、詳細な技術検討を行い、実用上問題の無いことをITU-R TG4/5会合、WP4A会合でCPMレポートに取りまとめた。また、CPM95会合において技術面で本議論を主導した。その結果、WRC95会合において非静止衛星システムのフィーダーリンクにCバンドで新たな周波数が割り当てられる等、本分野で大きな貢献が認められた。
4 津川 清一/KDDI株式会社/ソリューション海外営業本部海外事業開発部
ITU-T SG3(料金及び計算原則)の研究活動に長年にわたり携わり、国際電話サービスの精算料金に関する関連勧告の作成・改訂作業に多大な貢献をした。特にわが国が中心となって進めた国際電話サービスの精算料金に関する指標作りにあたっては、わが国政府及び関連通信事業者で構成する委員会で中心となってデータ収集とSG3への提案を取りまとめ、指標を完成、事業者の対外支払いを軽減するなど国益に貢献した。また、ITUビジネスセミナーの講師を長年にわたり務める等、協会の若手専門家の育成活動にも協力した。
5 中島 功/東海大学総合医学研究所
ITU初の医療機関のセクターメンバーとして途上国における医療アプリケーション、自立的運用のためのユニバーサルサービスの普及に尽力し、ブータン、エチオピアなど途上国のITUテレセンター、遠隔医療の運用を指導してきた。加えてITUテレメディシンエキスパート トレーニングコースを神奈川県平塚市東海大学湘南キャンパスに開設し、途上国の若手研究者を招聘し、人材育成、プロジェクト開発に大きく貢献した。
6 松本 和良/ 独立行政法人通信総合研究所/企画部研究連携室 研究開発ネットワーク推進グループ
候補者は1986年1月から1989年9月まで、ITUの周波数登録委員会(IFRB)に短期職員として在籍し、在籍中の1988年に開催された世界主管庁会議WARC-ORB 88にむけ、6/4GHz帯及び30/20GHz帯の固定衛星サービスに関するallotment planの作成に従事した。このプランは全世界の各国に静止通信衛星の一つの静止位置とサービスエリアをある巾で事前割当するものであり、2008年まで有効なプランである。
7 三好 幸夫/日本テレコム株式会社/法人事業本部 ソリューションプロジェクト開発部
ITU事務総局コンピュータ部に、日本よりの情報処理、文書処理の専門家として勤務し、日本の進んだ多言語処理、機械翻訳技術を基礎として事務総局の業務量の大部分を占める文書処理の機械化と文書の電子的配布を進めITU本部の業務改善に貢献した。現在のITU TIES基礎づくりに貢献した。その後、1993年からはTSAGのWG3/EDHのラポータとして、ITU-Tの標準化活動での各種文書の電子的処理について改善案を作りあげ、また従来あいまいであった寄与文書、作業文書の著作権問題を整理し、TSAGのITU Publications Policy素地を作った。
8 山根 一雄/富士通株式会社/プラットフォームビジネス企画本部 システムビジネス支援統括部
1994年以来、約9年間の長期に亘りITU-T SG15における標準化に多大の貢献をした。この間、光通信システムのエキスパートとして、陸上光システム及び光部品関連の標準仕様の提案、日本意見のとりまとめなどを行って多数の勧告に反映させた。特に、G.663勧告(光アンプのアプリケーション概観)ではエディタを務めるなど、その活躍は国際的にも高く評価されている。また、日本開催の専門家会合・ワークショップでの会議運営や講演など、ITU活動の事務的な面においても尽力した。
9 吉村 俊郎/日本放送協会 マルチメディア局(デジタル開発)
マルチメディア放送技術の専門家として、ITU-R SG6(放送サービス)を中心に活躍し、マルチメディア放送サービスおよび双方向放送サービス関係の標準化に大きく貢献した。特に、同分野を所掌する作業部会WP6Mの副議長を務めるとともにラポータとして活動し、ITU-RとITU-Tの双方においてマルチメディア技術の標準の骨格となる勧告案の策定に尽力するなど幅広く貢献した。
10 NTTアクセスサービスシステム研究所 光アクセスシステムプロジェクト
「高速光アクセスシステム(B-PON)」のITU-Tでの標準化にあたり、世界主要キャリアとベンダにより構成されるFSAN(Full Service Access Network)での技術仕様の検討と連携することにより、光アクセスシステム関連研究の推進と早期勧告化を図ってきた。1995年のFSAN発足依頼、NTTからはFSAN WG議長に3名とITU-T勧告エディタに4名が従事し、2003年3月末までにSG15におけるG.983およびSG4におけるQ.834勧告において計14件の新勧告、6件の補遺、1件の改版に寄与した。受賞代表者はFSANでOAM-WG議長を、ITU-T勧告でQ.834.1、Q.834.2、G.983.3.amd1のエディタを務めるなど、B-PONの国際標準化に寄与した。
国際活動奨励賞(8人)
1 泉田 史/日本電信電話株式会社/アクセスサービスシステム研究所
候補者は、2001年からITU-T SG6において課題「光ファイバケーブル網の保守」でラポータとして活躍され、当該課題における中心的な役割を果たし、光ファイバ網の保守・試験技術に関する勧告の作成に寄与なされました。また、1999年からIEC TC86 WG4「光測定器の校正法」において、サブワーキングSWG-5・タスクリーダとして光計測技術の標準化に尽力され、IECとの協調性を配慮した、ITU-Tにおける光線路試験技術の勧告化に貢献されました。
2 大野 浩之/独立行政法人通信総合研究所/情報通信部門・非常時通信グループ
2001年会期よりITUの活動のネットワークセキュリティ分野(SG17)、非常時通信分野(SG16)において積極的に活動を行ってきた。特にSG17/Q10においてはラポータ、SG16/Q.Iにおいてはアソシエイト・ラポータを務め、それぞれの会合での議論とネゴシエーションを通して、標準化とその取りまとめに積極的に寄与してきた。さらに、2002年5月13日~14日にソウル(韓国)で行われたITU-T主催セキュリティーワークショップにおいては、プログラム・チェアの大任を果たしている。また、2002年12月に行われたISOの標準化に関する国際会議において、ITU-Tのリエゾンとして出席し標準化について大いに貢献した。
3 斉藤 知弘/日本放送協会/技術局計画部
混信保護比や衛星間電波干渉などの衛星デジタル放送の研究を推進し、放送衛星再プランについて衛星技術の進展を考慮した検討を行い、第3地域の再プラン原案作成に寄与した。この結果WRC2000において日本の放送衛星4チャンネルの追加およびデジタル放送のための広帯域化(34.5MHz)が成立した。また、日本のBSデジタル放送方式(ISDB-S)のITU勧告提案の成立に寄与するなど、日本のITU活動に多大に貢献した。
4 塚田 晴史/株式会社NTTドコモ/研究開発企画部 国際標準化担当
受賞候補者はアプリケーション分野の研究開発,サービス企画に従事し,その経験を生かして WAP Forum, OMA、3GPPにおいて幅広い貢献を行ってきた. WAP Forumでは,インターネットとの融合を目指すWAP2.0のプロジェクトを推進し,アーキテクチャ構築、ブラウザ等の分野に貢献した.さらにワイヤレスEメール通知の標準化推進にも貢献した。WAPフォーラムからOMAへの組織移行時には,組織立ち上げに貢献すると共に,3GPPとの役割分担を明確にして,重複作業を解消することに貢献した.また3GPPでは,マルチメディアメッセージサービス(MMS)の標準化に貢献した.
5 中村 元/株式会社KDDI研究所/ネットワーク設計グループ
ITU-R SG8 WP8Fにおいて、IMT-2000の高度化及び後継システムに関する将来ビジョンの勧告化作業において、我が国の寄与文書作成の中心的役割を担い、諸外国との積極的な意見交換を行うなど、本分野の国際標準化に大きく貢献した。引き続きIMT-2000後継システムの所用周波数算定に資する新しいサービス形態に関する勧告やレポートの作成作業においても同様に中心的役割を担っている。
6 松本 渉/三菱電機株式会社/情報技術総合研究所
現在、電話線を用いてブロードバンドを提供するADSLサービスが急速に普及している。このADSLモデムの標準化作業はITU-Tにおいて進められ、1999年6月に勧告化されたものである。 候補者はITU-T標準化会合においてADSLモデムの日本向け規格(G.992.1 AnnexCおよびG.992.2 AnnexC)に対する伝送遅延低減方式や伝送時の相互干渉低減方式の提案を行い、活動の結果提案方式は同規格に採用された。これら提案方式により、IP電話における音声データなど伝送遅延に敏感なデータの高品質な伝送が可能となり、また通信品質の向上が実現できた。
7 横谷 哲也/三菱電機株式会社/情報技術総合研究所 光通信システム部
2000年6月よりITU-T SG15 WP1/Q2並びにその下部検討団体FSAN(Full Service Access Network)グループにて光アクセスシステムの標準化に中心メンバーとして携わり、PON(PassiveOptical Network)技術の標準化に大きく寄与した。ITU-TG.983シリーズ、G.984シリーズの勧告化に向けた73件(ITU-TとFSANの合計)の寄書提案、勧告の主執筆を担当した功績は大きい。
8 吉野 仁/株式会社NTTドコモ/ワイヤレス研究所 通信方式研究室
1999年10月より現在に至るまでITU-R等において移動通信に関する標準化活動に従事している。特にITU-R WP8FにおいてIMT-2000高度化とその後継システムに関する将来ビジョンの勧告化、CPMレポートの作成に大きく貢献し、昨今活発化した次世代移動通信の実現に向けた標準化活動の流れを作り出した。また、WP8Aでは、陸上移動通信分野における新技術を担当するWGの議長を務めており、新技術の標準化活動において中心的役割を果たしている。一方、APG2003-5ではWRC新議題に関するDGの議長に指名され、議題7.2に関するAPT共同提案の策定に中心的役割を果たした。これらの活動を通して築き上げた各国代表団との信頼関係により、今後のITU-Rでのますますの活躍が期待できる。
国際協力賞(9人)
1 梶川 秀二/元日本情報通信コンサルティング株式会社/取締役技師長
 30年の永きにわたり10カ国で19件のプロジェクト案件に携わり、実施にあたって困難な問題を幅広い見識と経験に基づき冷静な判断で解決し顧客及び国際機関からも高い評価を受け、開発途上国の電気通信の発展に貢献した。
2 加藤 徳郎/元国際電信電話株式会社/ 関連事業部 担当課長
衛星通信のJICA専門家としてタンザニアに赴任し、タンザニア郵電公社の技術者に国際電気通信技術を懇切丁寧に技術指導した。また、インドネシア及びコモロ両国の通信基盤整備においても重要な役割を果たす等、それぞれに国の国際電気通信の発展に貢献した。
3 喜岡 清一/元日本電信電話株式会社/国際部 担当部長
JICA専門家として、フィリピンを初めに7カ国で、訓練機材調達、教官育成、訓練コース開設、線路管理、積帯解消等に従事し多大の成果をあげた。また、中国、スリランカ等4カ国の電気通信開発プロジェクトに参加し計画・設計等を指導する等それぞれ国の電気通信の発展に貢献した。
4 小杉 隆/元日本電気株式会社/担当課長
 ITU専門家及びJICA専門家として、延べ8年余に亘り、ビルマ(現ミャンマー)、ブータン、タンザニア並びにエチオピにおいて、電気通信技術に関する技術移転及び電気通信技術実務の指導を実施し、それぞれの国の電気通信発展に貢献した。
5 中畑 雄二郎/元日本放送協会/技術局技術主幹
JICA専門家として2度にわたりネットワーク計画策定と放送システムの基礎構築のためペルーでテレビ放送計画の技術指導にあたり、同国の放送技術発展に貢献した。現役引退後、平成14年にはペルー政府の強い要請により衛星を使った遠隔教育のため技術指導を行った。
6 中村 安昭/情報通信ネットワーク産業協会 担当部長
JICA専門家として、タイ電話公社電気通信学園で同国初のディジタル交換機導入で、訓練教程と教科書作り、教官育成を行い、また、フィリピン運輸通信省で全国電話網拡充のため担当次官のアドバイザーとなり中部ルソン島の電話網を拡充する等当該国の電気通信発展に貢献した。
7 平栗 要/エヌ・ティ・ティ・ベトナム株式会社/常勤監査役
JICA専門家として、インドネシアを初め5カ国で電気通信に関して幅広く技術協力を行う。また、インドを初め7カ国の電気通信プロジェクトで技術指導やコンサルティング業務を行う 等それぞれの国の電気通信発展に貢献した。
8 山崎 尚男/(財)海外通信・放送コンサルティング協力/上席コンサルタント
ITU専門家としてスリランカ電気通信研修センター設立のため研修機材の調達・整備及びマイクロ波無線技術者を育成、JICA専門家としてタイ電話公社でデジタル伝送の技術移転、インドネシア電気通信公社で通信プロジェクトアドバイザーを行う等当該国の電気通信開発に貢献した。
9 渡辺 賢一/西部電気工業株式会社/テレコムエンジニアリング部 担当部長
JICA専門家としてタイ電話網長期拡充計画に参画し局外設備の拡充計画を策定、保全管理等を提案した。タイ電話会社に出向し150万回線増設工事で所外設備建設、保守の指導、技術者の育成を行う。ベトナム電話網拡充計画でも支援を行う等それぞれ国の電気通信発展に貢献した。
国際協力奨励賞(9人)
1 金井 邦臣/東日本電信電話株式会社/ 担当課長
JICA専門家としてヨルダンで伝送技術指導を行い、故障統計分析方法を確立し技術移転した結果、電気通信公社総裁より感謝状受けた。ベトナムで光ファイバー海底ケーブル網の設計を行いこれがODAで実施されることとなった。今後も国際協力活動で活躍することが期待される。
2 小林 喜代隆/KDDI株式会社 次長
世界的海上遭難安全システム(GMDSS)をフィリピン全土で18箇所設置する基本設計及び機材の技術仕様作成を行った。ベトナム運輸海運総局に対しGMDSS構築の技術協力を行い円借款プロジェクト化に貢献し、現在このプロジェクトを推進中。今後も一層の活躍が期待される。
3 佐藤 和雄/KDDI株式会社/小山テクニカルセンター 次長
JICA専門家としてパラグアイの通信インフラを整備、国際電気通信整備拡充計画を円借款事業として推進、電気通信公社総裁賞を受けた。カンボジア、モンゴル、ナミビアでも電気通信整備拡充計画に携わった。今後も国際協力活動で一層の活躍が期待される。
4 十蔵寺 寛/東海大学総合医学研究所 研究員
平成4年から3年5ヶ月に亘り、ボランティアとしてアジア・太平洋医療ネットワーク構築に参加し、カンボジアをはじめ5ヶ国18箇所に簡易医療地球局を設置し運用指導した。ブータン等3カ国の遠隔医療プロジェクトにも参画し、今後もその活躍が期待される。
5 杉井 賢一/東日本電信電話株式会社/技術部国際室 担当課長
JICA専門家としてペルー運輸通信省電気通信総局で電気通信標準化を推進、大学・電気通信訓練センター等で電気通信技術を講義した。タイ電話会社に出向し、現地技術者に電気通信網整備及び保守の技術指導を行った。今後も国際協力活動に従事しその活躍が期待される。
6 滝童内 裕/株式会社コミューチュア ソリューション企画部 担当課長
電気通信コンサルタントとして、インドネシア、バングラデシュ、ケニア、スーダン等でJICA無償資金協力、国際協力銀行、世界銀行等による電気通信整備拡充プロジェクトの計画立案及び工事管理業務に従事した。今後もその活躍が期待される。
7 田中 工文/東日本電信電話株式会社/ 技術部国際室 担当課長
JETROに出向しカイロ事務所の電気通信アドバイザーとして、マラウィテレコムの電気通信プロジェクト実施、エジプトでのパレスチナ向けJICA第三国電気通信研修実施等に貢献した。JTECに出向し多数の途上国電気通信ODA案件の発掘に貢献した。今後もその活躍が期待される。
8 田村 孝雄/日本放送協会 松山放送局 技術部
JICA専門家としてタイ総理府広報局のチャンネル11で番組制作、中継番組からスタジオ番組までのカメラ、音声、照明等の技術指導を行い、それらの技術を飛躍的に高めた。また、保守整備、修理など放送全般についてもアドバイスした。今後もその活躍が期待される。
9 中田 知義/日本放送協会 静岡放送局 (技術)副部長
ラオス国立テレビ局で、初めてのJICA専門家としてテレビ放送のハード面及びソフト面の総合的な指導を行った。情報文化省にラオスの放送事業の展開についてアドバイスを行った。これらの功績よりラオス政府より勲三等を授与された。今後も国際協力での活躍が期待される。