平成16(2004)年度 受賞者功績概要

功績賞(7人)
1 阿部 宗男/KDDI株式会社/モバイルソリューション事業本部 モバイルソリューション商品開発本部 モバイルソリューション3部長
ITU-RのSG4、SG9およびWRC関連の会合に長年参加し、固定衛星業務および固定業務に関する勧告の成立および業務間の共用問題に関する議論に貢献してきた。特に固定衛星プラン化、傾斜角運用の静止衛星と地上系の共用問題、40GHz帯における衛星と地上系の共用等に大きく貢献した。現在、ITU-RSG4の副議長として標準化会議の運営にも寄与している。
2 伊原 昭男/日本テレコム株式会社/映像ビジネス事業部長
1978年以降、おもにITUの技術標準化分野においては、国際会議開催事務局への協力や、データ通信に関する新サービス導入のための勧告の作成および既存勧告の改訂などに貢献した。TTCにおいては、標準化活動における秩序と協調体制を目指して、ITU、米・欧等の地域標準化機関および各国内標準化機関と調整を図るなど、精力的な活動を通してITU活動を高めることに貢献した。
3 小川 忠雄/ 富士通株式会社/ プロダクト事業推進本部 特許・技術支援部
ITU-Tアドバイザリーグループ会合に継続的に参加し、作業方法、作業計画に関する寄書提出・議論参画に多大な貢献をした。また、知的財産権アドホック会合では日本のセクターメンバー代表として、特許ポリシーやソフトウェア著作権ガイドラインの作成に尽力した。その他、ITU全権委員会議、アジア太平洋電気通信標準化フォーラムなど多くの国際標準化会合に参加し、国内では、2002年より情報通信技術委員会IPR委員会の副委員長として、特許ポリシーの策定などに貢献した。
4 小池 伸一/ 前 日本電気株式会社
1980年代より国際・国内の標準化活動に携わり、CCITT(現ITU-T)におけるISDNの標準化・TTCにおけるISDN国内標準化/3GPPの立ち上げ/工業所有権基本指針検討等幅広い業績を挙げた。1996年以降はITU全権委員会議・ITU-T世界電気通信標準化総会等に出席し、我が国の意見を反映させることに大きく貢献した。また、ITU-T アドバイザリーグループ会合では、ITU-Tにおける標準化活動の改善を図る数多くの提案を行う等、日本の貢献の一部を担っている。
5 平松 幸男/ 日本電信電話株式会社/ NTT知的財産センタ 企画部
1986年から今日に至る18年間の長きにわたり、ITU-T SG7エディタ、ラポータ、副議長兼WP議長、同SG11議長を歴任し、この間ISDNパケットプロトコル、フレームリレープロトコル、電話網のIP化に関わるプロトコル等、ネットワーク制御プロトコルに関する数多くの重要勧告の策定をリードした。現在もITU-T SG11議長として指導力を十分に発揮し、ITU-Tにおける日本の地位向上に大きく貢献した。
6 福地 一/独立行政法人 情報通信研究機構/総合企画部
衛星放送技術の専門家として、ITU-R SG6(放送業務、当時SG10及びSG11)を中心に活躍し、特に衛星放送にかかるJWP10/11Sの重要課題であった移動体向けデジタル音声放送システム、21GHz帯次世代衛星放送システムの標準化に貢献した。21GHz帯次世代衛星放送の標準化審議においてはサブWG議長としてWP会合の審議に貢献する他、衛星回線電波伝搬の専門家として衛星放送回線における交差偏波起因の干渉計算に係るラポータとして活躍した。
7 薮崎 正実/ 株式会社NTTドコモ/ 研究開発企画部
ITU-T SG1,SG11等において、IMT-2000(当時はFPLMTSと呼称)、UPTの国際標準化に大きく貢献するとともに、後の第3世代標準化組織(3GPP)の設立に寄与した。日本国内ではTTCにてネットワークアーキテクチャ、信号方式の検討を牽引し、様々なITUTの国際勧告に反映された。現在もAll IP-NWの検討を推進し、ITU-T IMT-SSGにおけるSystem beyond IMT-2000の勧告の作成に大きく寄与している。
国際活動奨励賞(8人)
1 浦野 丈治/日本テレビ放送網株式会社/技術統括局 技術開発部
ITU-R SG6において、主にテレビジョン放送システムに関する勧告見直しや光感受性発作に関する審議に参加し、 我が国の意見の反映に貢献してきた。特に、光感受性発作については、「発作防止のためのガイダンスが放送機関に与える影響を検証するためのラポーターグループ」の議長を務めており、今後とも引き続きITU活動に対する貢献が期待される。
2 ウン チャン ホク/日本電気株式会社/モバイルネットワーク事業本部モバイルネットワーク開発本部
1999年から3GPPのTSG RAN会合に出席し、WG3においてRNCインタフェース(Iu)仕様案の提案と共にIu/Iur/Iub仕様(ASN.1形式)を作成するなど約1年間に渡ってIu仕様を完成させ、リリース99仕様の策定に貢献した。2001年以降はWG3副議長として会議を運営しながらリリース4・5仕様の標準化に寄与し、ITU IMT2000 DS-CDMA仕様の完成に貢献した。また2003年からはHSDPA標準仕様の作成に貢献した。
3 川田 亮一/株式会社KDDI研究所
ITU-T SG9の第1回会合より,日本代表団として参加し,デジタルテレビ伝送の高度化及び客観画質評価・監視方式に関する諸勧告の作成を主担当として活動してきた.また、2重化無瞬断伝送や高精度画質監視などの重要技術に関し,諸外国に先駆けて優れた日本方式を示し,積極的な寄与文書の入力と諸外国との意見交換により、これらの方式を反映した勧告を数多く完成させた.
4 谷 直樹/株式会社NTTドコモ/グローバルネットワーク開発部
ITU-T/3GPPにおいて、GSM拡張型IMT-2000に関して、ネットワーク要求条件、機能条件、ネットワークアーキテクチャ、ネットワーク信号プロトコルの標準化に従事し、初期バージョンであるR99の標準仕様作成に大きく貢献した。更に、R99の拡張としてIP化へ向けた新アーキテクチャ、信号プロトコルの標準化に貢献するととともに、IMT-2000後継システムに関するネットワークアーキテクチャの検討にも貢献している。
5 中川 仁/株式会社放送衛星システム/企画部
将来の新しい放送サービスの実現をめざして21GHz帯放送衛星システムの研究を進め、ITU-R WP 6Sに、フェーズドアレーアンテナを用いた送信電力可変衛星システムや長周期インターリーブ伝送技術などの降雨減衰補償技術の確立に寄与した。その結果、17.3GHzから42.5GHzの周波数帯を使用する放送衛星システムの降雨減衰補償技術に関する新勧告が承認されるなど、日本のITU活動に貢献した。
6 中村 武宏/株式会社NTTドコモ/IP無線ネットワーク開発部
IMT-2000無線アクセスネットワークに関する研究開発に従事し、ARIB/3GPP/GSMAにて無線インターフェースの標準化作業に貢献した。特に無線インタフェースのレイヤ1およびレイヤ2に関する要求条件、信号フォーマット、機能仕様に関する標準化、3GPP仕様に基づく移動通信システムの早期安定化やグローバルローミングの早期実現のための要求条件や試験仕様の標準化、さらにはIMT-2000の高機能化に関する標準化作業に従事し、リリース99仕様およびその後のリリースの仕様作成、早期安定化に貢献した。
7 丸山 秀幸/日本電信電話株式会社/NTTアクセスサービスシステム研究所 第一推進プロジェクト FWA推進DP
2001年よりアジア太平洋標準化機関(ASTAP)内のFWA専門委員会ラポータとして第三地域協調活動のリーダシップをとり、標準化の水平展開や活発なディスカッションを反映したITU-R寄与により、FWAに関する国際標準化に貢献するとともに、地域内のFWA標準化活動の活性化に貢献した。今後一層の活動が期待される。
8 村上 伸一郎/株式会社NTTドコモ/千葉支店 企画総務部
ITUにおける移動通信システムの周波数関連事項の標準化及び勧告作成に貢献した。特にWP8FにおけるIMT-2000拡張バンドの使用方法に関する審議においては、重要なとりまとめを担当するなど、我が国の意見を反映した勧告策定に大きく貢献した。また、IMT-2000拡張バンドの特定、第4世代移動通信方式の周波数関連事項のWRC-03議題化等にも寄与している。
国際協力賞(9人)
1 足立 イフテカーレ・アムジャド/元沖電気工業株式会社 海外研修センタ 担当部長
パキスタン出身。来日後、電気通信を学び沖電気工業に入社以来29年に亘り各種通信機器の海外研修員への教育に従事、日本の「通信」の民間大使として活躍してきた。沖電気工業退社後、現在はJICAシニアボランティアとしてパプア・ニューギニア工科大学で衛星通信講座を担当している。
2 宇山 勝雄/元富士通インターナショナルエンジニアリング株式会社/ 研修センタ 担当部長
昭和58年から3年間、日本政府ドミニカ共和国電気通信プロジェクトに参加、フィージビリティー調査を実施し、同国の電気通信網の発展に寄与した。途上国においてセミナーを実施しデジタル通信技術を普及、またAPTやJICAの多数の研修教材を企画・開発する等、途上国電気通信分野の発展に貢献した。
3 大隅 旭/元株式会社テレビ長崎 理事
平成11年から3年間、インドネシア国営テレビ放送TVRIでJICA専門家として報道部門の取材、編集、放送システムに関し助言、日本のODAによりデジタルビデオカメラ等を導入し同国内外に向けたニュース発信を高度化、インドネシアのテレビ放送技術の向上に貢献した。
4 塩田 善昭/日本電気株式会社  モバイルソリューション事業本部 エキスパート
昭和53年11月から3年間、JICA専門家としてザンビア電気通信訓練センターで無線技術、マイクロ波理論、電気回路理論など幅広い指導を行い、郵電公社技術者の育成に貢献した。また、昭和60年7月から3年間及び平成4年から4年6ヶ月フィリピン運輸通信省で電気通信網計画策定、衛星通信仕様書作成などを行い、同国の通信網高度化に貢献した。
5 中嶋 賢二/元富士通インターナショナルエンジニアリング株式会社/ 研修センタ 担当部長
アルジェリアで郵電省と富士通との共同商用実験を成功させ、同国の光化・デジタル化に先鞭を付け同国電気通信の発展に貢献した。また、ルーラル通信計画など多数のJICA研修コースで光ケーブル技術の講師を永年務め、それぞれのコースの研修員から高い評価を受けている。
6 橋口 幸生/元日本電信電話株式会社/ 担当部長
 平成6年5月から2年10ヶ月JICA専門家でパラグアイに滞在し、電気通信訓練センタープロジェクトのプロジェクトリーダー兼通信網専門家としてプロジェクトの円滑な推進と通信網計画の指導を行うと共に、ドミニカ共和国、メキシコ等でも技術指導し、中南米途上国の電気通信発展に貢献した。
7 波多野 謙一/元日本情報通信コンサルティング株式会社/ 取締役 海外事業部 東南アジア地域支配人
昭和39年から31年の永きにわたり、アジア、中東、アフリカ、中南米の開発途上国20カ国においてマイクロ波通信などの設計調査・工事監理・コンサルティング業務などを行い、それらの国々における電気通信分野の発展に貢献した。
8 花井 孝/株式会社NHKアイテック 副部長
平成4年から3年間、インドネシア国営テレビ局にJICA専門家として派遣され、テレビ放送網の見直しを指導、地方の現地で実技指導とセミナーを開催し地方局の技術水準を向上、種々の技術指導書を作成しわかりやすく指導するなどインドネシアの放送技術発展に貢献した。
9 日比野 健二/元日本放送協会 監査室 主査
昭和42年にコロンビア共和国でOTCA(海外技術協力事業団)専門家として放送技術の指導を行った。これが縁となり、昭和53年、同国国会の上院公聴会に招聘され放送方式について証言し、NTSC方式が同国のテレビの標準放送方式として採用されることに貢献した。
国際協力奨励賞(10人)
1 浅山 洋/株式会社三和エレック 主任技師
昭和52年から一貫して海外プロジェクトに従事し、特に、タイ、インドネシア、シンガポール(TIS)海底ケーブルプロジェクトでは工事長として厳しい目標の中、システム完成に尽力し顧客から感謝状を受けた。今後も電気通信分野の国際協力に従事しその活躍が期待される。
2 植竹 国一/(財)海外・通信放送コンサルティング協力 専門部長
アジア、中東、アフリカの途上国で、世界銀行および日本政府案件の基本・詳細設計、工事監理、機材調達に従事した。西サモアでは86の無電話村落に通信設備が導入される緒をつけた。インドネシアMGTI社に赴任し一企業の日常業務を通じ同国の通信発展に貢献した。今後もその活躍が期待される。
3 大矢 秀行/富士通株式会社 グローバル営業推進本部 主席部長
30年以上に亘り途上国の情報通信業務に従事、ODAは勿論、OOFをも活用した情報通信案件の発掘・形成・実施に携わってきた。最近では、アジアブロードバンド計画に則り、人材育成や電子政府も含め幅広く案件具体化を図る等途上国の発展に積極的に取組み、今後もその活躍が期待される。
4 佐田 忠市/KDDI株式会社  課長
JICA専門家として合計5年6ヶ月、南米パラグアイに派遣され、同国の国際電話交換設備の保守運用技術の向上に貢献した。さらに、現在(財)KDDIエンジニアリング・アンド・コンサルティングで開発途上国に対する技術指導・技術移転を行っている。今後も、その活躍が期待できる。
5 服部 衛彦/NTTネオメイト九州株式会社  経営企画部 経営企画部門 国際担当
平成2年から2年間ザンビアでJICA青年海外協力隊員として電気通信部門の技術者の育成に従事、平成14年から2年間JICA専門家としてベトナム電気通信訓練向上プロジェクトで技術指導を行った。今後も電気通信分野の国際協力活動に従事しその発展に貢献することが期待される。
6 藤井 浩/KDDI株式会社  課長
昭和62年3月から2年6ヶ月、JICA専門家としてヨルダン通信公社で衛星通信地球局のディジタル化に関わる運用保守、運用計画について技術指導・移転を行った。また、ITU短期専門家を始め、パラグアイ、ベトナム、エチオピア、モンゴル等、多数の途上国向け電気通信コンサルティング業務を行っている。今後もその活躍が期待される。
7 前田 隆/日本放送協会 放送技術局 報道技術センター(中継・回線)副部長
昭和63年8月から2年間、チリのカトリック大学テレビ局でJICA専門家として教育放送の普及促進のため番組制作技術を指導し、現地職員のスキルアップに大きく貢献するとともに同テレビ局の番組制作技術を飛躍的に高め同国の放送の発展に貢献した。今後もその活躍が期待される。
8 村田 興一/日本放送協会 技術局 総務部 副部長
 昭和60年2月から3年間、パラグアイ電気通信学園でJICA専門家としてテレビ放送技術者を育成。技術環境整備の向上のためスペイン語教材を作成し講座を設け自らも教壇に立つ。カウンターパートを日本に派遣するなど同国の放送技術発展に貢献した。今後もその活躍が期待できる。
9 山口 功/エヌ・ティ・ティ エムイー東京株式会社 エンジニアリングセンター 新規事業担当副部長
アジア、中東、アフリカ、中南米の発展途上国へJICA専門家として短期で派遣、日本政府無償援助でコンサルタント業務、プロジェクト案件発掘などを行い途上国の電気通信の発展に貢献してきた。今後も引き続き国際協力活動に従事しその活躍が期待される。
10 山口 順也/東日本電信電話株式会社 技術部 担当課長
平成8年10月から2年間、インドネシアでJICA専門家として線路設計などを指導した。平成13年6月からブータンへJICA専門家として派遣中で、通信技術標準書策定・研修センタビルの建設を指導中で、ブータン通信省、ブータン通信公社が絶大の信頼を寄せている。