平成29(2017)年度 受賞者功績概要

総務大臣賞(1件)
1

 

水池 健/KDDI株式会社
 ITU-R、WRCにおいて議長、副議長の重責を担い、移動・衛星通信の高度化技術方式の確立・周波数共用など国際的調和に功績を挙げた。また、国内において、ITU-R/T、3GPP等の国際勧告の国内標準への適用に、長年にわたり顕著な貢献をしてきた。近年、ITU研究委員会(Study Group)に対して我が国から数多く役職者を輩出していることへの寄与は特筆に値するものである。
日本ITU協会賞 特別賞(1件)

1

フェルナンド ビッテンコート/ブラジルテレビ技術協会
 ブラジルTVグローボで技術トップの要職を務め、ITU-Rで長年ブラジルの代表として活躍。日本の地上デジタル放送ISDB-T、米国ATSC, 欧州DVB-Tの3方式の比較実験を実施し、2000年のNABにおいてISDB-Tが最も優れている事を世界に初めて公表した。2006年には、数々の障壁がある中、ブラジルのISDB-T採用決定を主導した。今日の南米各国はじめアジア、アフリカでのISDB-Tの採用決定に導く功績は特筆に値するものである。
日本ITU協会賞 功績賞(20件)
1 安部田 貞行/株式会社NTTドコモ
 LTE/LTE-Advancedのラポータとして標準化全体を取りまとめ、また副議長として議論を推進し、仕様の完成に大きく貢献した。さらにARIBモバイルパートナーシップの部会長として標準化推進に貢献した。
2 荒木 則幸/日本電信電話株式会社
 ITU-T SG15副議長およびFG-DR&NRR議長として、光ケーブル網の設備管理・保守運用に関する体系的な勧告策定を主導し、日本および世界におけるFTTxの展開に大きく貢献するとともに、耐災害電気通信技術の標準化を推進・牽引した。
3 浦野 丈治/日本テレビ放送網株式会社
 長年にわたりITU-R放送関連会合の日本代表団に参加し、ラポータグループ議長などの立場でテレビ番組制作や品質評価の勧告策定に貢献した。また、情報通信審議会や国内標準化団体において、責任ある立場で放送技術の国際標準化を推進した。
4 江川 尚志/日本電気株式会社
 ITU-T SG13で将来網(Future Networks)、特にSDNや網仮想化の標準化をFG-FN議長、JCA-SDN議長、ラポータとして主導した。これらの貢献によりData aware networkingをはじめ様々なITU-T標準化活動の基盤となった。
5 門林 雄基/奈良先端科学技術大学院大学/国立研究開発法人情報通信研究機構
 ITU-T SG17においてサイバーセキュリティの国際標準化活動を主導し、勧告X.1500シリーズとして20件の勧告を成立させた。SG17 Q.4ラポータおよびCG-CYBEXの共同コンビーナを担当している。
6 木幡 祐一/一般社団法人電波産業会
 2009年からITU-R WP5D会合に参加し、IMT-2000、IMT-Advanced、IMT-2020に関するITU-R勧告やレポートの策定や改訂に尽力するとともに、これらへの日本提案の反映に貢献した。
7 熊田 純二/株式会社コーポレイトディレクション
 国内外での広範な知見・経験を活かし、長年日本の地上デジタル放送方式(ISDB-T)採用国におけるチャンネルプラン作成を中心とした技術的支援に従事し、ISDB-Tの国際展開に大きく貢献した。特に、フィリピンでの地上デジタル放送移行の推進に大きく寄与した。
8 小島 理代子/公益財団法人KDDI財団
 長年にわたり開発途上国向け海外研修の企画立案・実施への貢献。特にカンボジアやミャンマーにおける学校建設、実践的授業や情操教育の企画実施等、継続的な教育環境整備、文化支援と教育支援の融合等において功績を挙げた。
9 住田 正臣/株式会社NTTドコモ/一般社団法人情報通信技術委員会
 高圧縮音声のATM伝送標準化によりIMT-2000(3G)の発展、モバイルインターネット通信端末の世界標準化、および3GPP/oneM2Mの運営に貢献し、IMT-Advanced、IMT-2020(5G)、IoT標準化を推進した。
10 平良 寛樹/元 東日本電信電話株式会社
 JICA専門家としてタイの東部臨海開発計画における電気通信サービスに必要な情報を提供し、タイ電話公社の計画部門に設備計画額の算出方法を技術移転した。TT&T社の副社長としてタイ国地方の電話普及の倍増に貢献した。
11 高橋 謙三/国立大学法人 電気通信大学
 多年にわたり政府派遣、NTT派遣、政府およびNPO支援により発展途上国の電気通信分野の高度人材育成に協力、国際人脈を活用し発展途上国の学術振興に務めた。加えて日本ITU協会の事業運営に貢献した。
12 高橋 知彦/KDDI株式会社
 ITU-T SG9ラポータとして、IP技術によるケーブルテレビの高度化に関する多くの勧告化を主導した。2015年には「タブレット・STBの端末間連携勧告(J.230)」のエディタを務め、日本のスマートテレビの国際勧告化を実現させた。
13 土橋 康輔/特定非営利活動法人(認定NPO法人)BHNテレコム支援協議会
 富士通株式会社、BHNテレコム支援協議会で、約40年にわたり、中南米諸国、東南アジア諸国に対して、情報通信設備の拡充、人道支援などに従事し、通信網の拡充および人材育成に貢献。現在はミャンマー等で防災事業にも取り組んでいる。
14 中井 博/特定非営利活動法人(認定NPO法人)BHNテレコム支援協議会
 通算約22年間電気通信設備建設の海外プロジェクト開拓、コンサルタント業務に従事し、東南アジア通信網の高度化に貢献してきた。その後、国際協力のNGOに参加し、ミャンマー国の少数民族帰還事業のためのプロジェクト推進に中心的役割を果たしている。
15 中島 和秀/日本電信電話株式会社
 ITU-T SG15において、波長分割多重伝送に適した光ファイバや、FTTHの促進に貢献した低曲げ損失光ファイバの勧告化を推進した。2009年からは課題ラポータとして光ファイバ規格の詳細化による適用領域の拡大に貢献した。
16 中村 隆治/富士通株式会社
 1998年に発足した3GPPに継続的に参加・貢献し、IMTファミリー(W-CDMA、LTE、LTE-Advanced)、会合の役職者として主導。現在も第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)の役職者としてIMT-2020の検討を推進中である。
17 平山 守/一般財団法人海外通信・放送コンサルティング協力
 40年近くにわたり、開発途上国の情報通信分野の発展に大きく貢献した。特に、ベトナム国ではJICA専門家として通信技術者の育成と研修センターの研修能力向上に取組み、その後の同国での第三国研修に繋げるなど、人材育成分野での貢献度は極めて大きい。
18 ベド プラサド カフレ/国立研究開発法人情報通信研究機構
 ITU-T SG13において、エディタやラポータ等でNGNと将来網における重要な目的である「多様かつ膨大なデータ流通を支える技術」の勧告化に大きく貢献。また、ITU主催の国際会議では、勧告準拠技術の紹介等により学術面からも標準化推進活動に尽力した。
19 松尾 一紀/KDDI株式会社/一般社団法人情報通信技術委員会
 国内/地域標準化機関とITUとの間の標準化連携の枠組みであるGSC活動を、国際連携アドバイザリーグループのリーダ等の立場で17年間にわたり牽引し、これを基にoneM2M活動を通じてIoT標準化を推進した。
20 海底通信ケーブルプロジェクトチーム/日本電気株式会社
 近年の国際通信は、ほぼ100%が光海底通信ケーブルにより構築、運営されている。この光海底通信ケーブルシステムの構築に関し、世界シェア3割を同社海洋システム事業部が担い、今日欠くことのできない社会インフラの構築に大きく貢献している。
日本ITU協会賞 奨励賞(20件)
1 石井 守/国立研究開発法人情報通信研究機構
 電波伝搬の特性を扱うITU-R SG3会合における標準化を主導するとともに、電波伝搬に関する解析手法であるITU-R勧告P.684およびP.311等の改訂に尽力した。また、国内ではITU部会電波伝搬委員会の主査として、SG3等における我が国のプレゼンスの向上に貢献した。
2 植田 由美/国立研究開発法人情報通信研究機構
 275GHz超の地上業務に関する標準化をITU-RやAPTにおいて推進し、275GHz超分野の地上業務特定を扱うWRC-19議題1.15の議題化、および関連するITU-R課題の策定に貢献した。
3 ウメシュ アニール/株式会社NTTドコモ
 HSUPA、LTE/LTE-A、および5Gの標準化において、無線I/Fプロトコルと無線ネットワークアーキテクチャの技術議論を主導して仕様策定を行うとともに、ラポータ等のとりまとめ役を務め、3GPP標準化活動に対する多大な貢献を行っている。
4 大槻 芽美子/株式会社NTTドコモ
 国際通信規制のエキスパートとして、継続的な情報収集と適切な情報分析により、ITU等の料金・通信政策の国際標準化活動に大きく貢献している。特にWTSA-16においてはドラフティング議長として決議の作成を主導するなど多大な功績を残した。
5 日下部 裕一/日本放送協会
 UHDTV信号用非圧縮シリアルデジタルインターフェース規格(勧告BT.2077)や日英が共同開発したHLG方式を含むHDR-TVの映像パラメータ規格(勧告BT.2100)の標準化で主導的役割を果たすなど、4K・8K放送関係の技術標準策定に大きく貢献した。
6 鈴木  陽一/日本放送協会
 ITU-R SG4 WP4B会合において、衛星デジタル放送の基幹勧告として超高精細度テレビジョン衛星放送の伝送システムの新勧告および関連する新報告などの策定に関して多大な貢献をした。
7 髙谷 和宏/日本電信電話株式会社
 ITU-T SG5 Q.8のアソシエートラポータとして、通信装置の妨害波問題、過電圧防護に関する標準化をリードしている。2007年よりITU-T活動に参画し、通信施設の電磁環境を改善するための勧告や、電磁的セキュリティを向上させるための勧告を策定した。
8 武田 和晃/株式会社NTTドコモ
 3GPP標準化において、LTE/LTE-AdvancedのキャリアアグリゲーションやIoT関連の重要技術への提案、5G技術検討のラポーターとして5G無線アクセス技術仕様の策定への貢献など、LTEから5Gまで多岐に渡る寄与を行った。
9 津田 健吾/日本放送協会
 放送および放送補助業務で使用する周波数に関わるWRC議題において、他業務との周波数共用・両立性検討を技術的観点から主導し、地上デジタル放送導入方法に関するITUハンドブックの編集をはじめ放送および放送補助業務の適切な保護と周波数の有効活用に大きく寄与した。
10 中北 久雄/株式会社NHKアイテック
 エクアドルにおける日本の地上デジタル放送方式(ISDB-T)の開始に当たり、移行に伴うチャンネルの調整、設備整備の現地指導、緊急警報放送システム(EWBS)の導入検討を支援するとともに、国民への周知活動や現地技術者の育成に大きく貢献した。
11 中山 善博/公益財団法人KDDI財団
 国内外技術動向を注視し、海外現地ニーズと日本の知見を組み合わせ、現地の生活に根ざした改善プロジェクトを計画し実行した。現地関係者と交渉し現地による活動として継続するよう働きかけ、人材育成にも注力した。
12 成清 善一/日本放送協会
 4K・8K地上放送の取組を共有するITU-Rレポート(BT.2343)の改訂を提案し、ブラジル側と協力し、リオデジャネイロでの8K地上伝送実験等の結果を逐次入力するなど、4K・8Kに係る我が国の放送技術の適切な情報提供を行い、ITUの標準化活動に大きく貢献した。
13 袴田 佳孝/日本放送協会
 ITU-T SG9において、4K・8Kケーブルテレビ伝送を実現するために既存の伝送路を用いて大容量伝送を可能とする複数搬送波伝送方式を提案し、提案内容に基づいた勧告の策定に大きく貢献した。
14 広瀬 克昌/日本放送協会
 ペルーにおける日本の地上デジタル放送方式(ISDB-T)の開始に向け、デジタル放送への切替え手法や機器選定、緊急警報放送(EWBS)を活用した防災設備の整備、技術セミナーを通じた地デジの認知度向上、ならびに現地技術者の育成に大きく貢献した。
15 松嶋 孝明/KDDI株式会社/国立研究開発法人情報通信研究機構
 モバイルと衛星双方の専門技術者として、ITU-R WP5DとWP4Aの双方に参加し、両WPの連携体制の構築を実現した。WP5D会合では、DG MS/BSS 1.5GHz COMPATIBILITYの議長として作業を主導し、WP4A会合でも両WPの共同検討体制を確立した。
16 三浦 周/国立研究開発法人情報通信研究機構
 衛星系と地上系を統合した移動通信システムである統合MSSシステムの標準化に従事し、ITU-R SG4 WP4B会合およびAPT AWG会合に参加し同システムの技術検討に日本提案の地上/衛星共用携帯電話システムの技術を反映させレポート化に貢献した。
17 山上 大/東日本電信電話株式会社
 JICA専門家としてバヌアツ共和国に2年間赴任し、電気通信設備の維持管理と技術移転を推進した。その後もカンボジアやミャンマー等複数国のプロジェクトに参画。2009年以降現在も引き続きNTTベトナムでベトナムの電気通信分野の発展に寄与している。
18 山岸 和久/日本電信電話株式会社
 2005年よりITU-T SG12に参画し、TV電話サービスの品質設計ツール(勧告G.1070)、映像配信サービスの品質測定技術(勧告P.1201およびP.1203)に関する標準化をリードし、エディタとしてそれぞれ、勧告を策定した。
19 日本電気株式会社TCI事業部/日本電気株式会社
 世界最高レベルの照合率を誇る顔認証技術システムを開発、世界40カ国以上に納入し、犯罪やテロ等の課題解決に貢献した。また、引き続き同システム提供に際し、現地の技術者育成および雇用創出を推進し、我が国の質の高いインフラ輸出に貢献している。
20 NICT耐災害ICT標準化推進チーム/国立研究開発法人情報通信研究機構
 研究者としての耐災害ICT研究センターと、標準化の専門家としての標準化推進室からなる特別な標準化推進チームを結成して、ITU-TのFG-DR&NRRにおいて、文書入力や審議への寄与、エディタとして最終文書化の調整を行う等、災害に強い情報通信技術の標準化に貢献した。

 

以上