昭和54(1979)年度 受賞者功績概要

特別賞(3人)
1 小松 繁/ (財)電波技術協会
わが国放送の創始期より多年放送事業に携わり、終始放送技術の向上、発展に寄与したが、第二次世界大戦後の荒廃時に際して特殊法人日本放送協会にあって、放送施設・中継回線の普及整備に全力を傾注し、さらにテレビジョン放送の基礎研究の推進、全国ラジオ・テレビジョン放送網拡充計画・放送施設設備計画の策定・推進に尽力し、今日の放送事業隆盛の基礎を築いた功績は極めて大きい。
2 鈴木 恭一/ 日本船舶通信株式会社
昭和25年電気通信事務次官を最後に退官するまで、25年有余にわたり逓信事業の発展に貢献した。特に戦後逓信院総務局長の職にあっては、終戦処理にあたって幾多の難問題を解決し、逓信次官就任後周波数割り当てに関する重要な諸会議に数次にわたって責任官をSCAP顧問の資格において出席させ、その間24年1月24日にはアトランティック・シティ電気通信条約に加入し、占領下にもかかわらずITU復帰を実現させて、その後の国際場裡における活動の契機をもたらし、周波数確保を結果してわが国電波事業隆盛の基礎を築き、さらにはまた電気通信省の設置引き続いて日本電信電話公社の創設に腐心し、今日の電気通信事業発展の基を拓いた功績は極めて大きい。
3 本多 静雄/ 日本電話施設株式会社
昭和11年国際電話諮問委員会(CCIF)報告者委員会および同第11回総会に出席して活躍し、次いで電気通信技術委員会専門委員、興亜院技術部長、技術院第一部長等の要職を歴任して、わが国電気通信事業の発展に寄与し、引き続いて戦後日本科学技術団体研究会理事長、電気通信協会理事(東海支部長)電信電話工事協会理事(東海支部長)に就任、その間日本電気技術株式会社(現在の日本電話施設株式会社)を創設する等電気通信関連事業の発展に貢献した。さらにまた中京テレビ放送株式会社、株式会社エフエム愛知の創設に参画し、放送事業の発展に寄与した。
褒賞(3人)
1 島田 博一/ 日本電信電話公社
昭和46年9月当協会設立とともに開設された研究集会委員会の委員として、また、ITU基本問題研究会・CCITT研究会の両委員も兼ね、54年3月までの長期にわたり、研究集会活動の実施計画、各研究会の設置改廃などの審議を通じて講演会、パネル討論会、各研究会の実施を軌道にのせ、ITUおよび関連国際機関の諸問題について広く自由討議、意見交流の途を開く等その充実に貢献し、当協会の発展に寄与した。
2 野口 育彦/ 日本放送協会 総務室
昭和46年9月当協会設立とともに開設された運営委員会の委員として、53年7月までの長期にわたり、当協会の運営方針、事業計画、業務運営等の全般にわたってその審議に参画して協会の事業運営を軌道にのせ、また、研究集会委員会委員を兼ね、草創時の11ヶ月間、その審議を通じて講演会、パネル討論会、各研究会の研究集会活動の基盤作りに貢献する等、当協会の発展に寄与した。その間また、世界電気通信日行事、ITU青少年作品コンクール参加等協会の行う諸行事にも積極的に協力した。
3 原 弘治/ 古河電工株式会社 平塚工場
昭和47年6月から5年11ヶ月の長期に渡り当協会の運営委員会委員として、協会の運営方針、事業計画、業務運営等の全般にわたってその審議に参画して協会の事業運営を軌道にのせ、また、同期間、図書編集委員会委員を兼ね、その審議を通じて月刊誌「国際電気通信連合と日本」および「ITU研究」の編集に参画し、両誌の円滑な発行、内容の充実に貢献する等、当協会の発展に寄与した。その間また、世界電気通信日行事、ITU青少年作品コンクール参加等協会の行う諸行事にも積極的に協力した。
一般賞(4人)
1 稲野 龍三郎/ 日本電信電話公社 海外連絡室
昭和35年以降引き続いて海外協力活動に携わり、その間わが国及びITUの海外技術協力計画に基づき実に16年10ヶ月の長きに渡って国情の異なるタイ、フィリピン、インドネシアに在勤し、幾多の困難を克服して電気通信訓練センターの開設・運営に当たり、あるいは無線専門家として、あるいは訓練センター理事長として訓練施設の整備・充実、無線技術者の育成、無線部門レッスン・プランの作成に努めるなど、当該国の技術移転の基礎作りに寄与し電気通信拡充計画に対応する訓練を推進して、電気通信の発展に大きく貢献した。
2 鍛冶 弘/ 国際電信電話株式会社  研究所
昭和49年以降国際無線通信諮問委員会(CCIR)の総会及び同研究委員会の諸会合に数次に渡って出席し、53年1月より第3研究委員会副議長として、又同年10年には無線通信規則及び追加無線通信規則の全般的改正の為の世界無線通信主管庁会議(WARC-79)のCCIR特別準備会議(SPM)においてD委員会(発射の技術特性、監視及び識別)の議長として活躍し、わが国のITU活動に大きく貢献した。また、48年以降電波技術審議会の専門委員として、わが国におけるCCIR活動を積極的に推進している。
3 二条 弼基/ 伊勢神宮大宮司 松下技研株式会社
昭和33年以降国際無線通信諮問委員会(CCIR)の総会及び同研究委員会の諸会合にわが国の代表及び主席代表として数次に渡って出席し、電波技術に関する広汎な知識と豊富な経験によって活躍し、わが国のITU活動に大きく貢献した。また、24年電波技術審議会発足以来専門委員として「CCIRの研究調査に対し日本として寄与すべき事項」を扱う第1部会の活動に寄与し、特に38年からは同第5小委員会主査として標準電波関係の寄与文書の作成及び審議に当たり、わが国におけるCCIR活動を積極的に推進している。
4 沼口 安隆/ 日本放送協会 総合技術研究所
昭和28年以降専らテレビジョン受像機の研究に従事して受像機の国産化、トランジスタ化などに努め、引き続いて全チャンネル受像機の中間周波数の選定、チャンネルプラン策定用受像機の規格の検討、テレビジョン音声多重方式の開発に従事して成果を上げ、さらに現在静止画放送、文字放送などの研究開発に指導的役割を果たす等テレビジョン放送の進展に寄与し、国際無線通信諮問委員会(CCIR)の総会及び同研究委員会の諸会合に出席してこれら新放送技術に関する研究問題の審議に当たり、わが国のITU活動に大きく貢献した。また、42年以降電波技術審議会の専門委員として、CCIR活動を積極的に推進している。
著作賞(2人)
1 西澤 太郎/ 国際電信電話株式会社 伝送施設部
国際船舶無線業務(短波)において画期的な通信方法として期待されているディジタル選択呼出し方式の考案、信号の伝送特性の研究、装置の開発、外国航路船舶との接続実験、運用方法の確立等に関して中心的役割を果たし、その成果をもとに国際無線通信諮問委員会(CCIR)に対し寄与文書を作成提出し、引き続き同第8研究委員会におけるディジタル選択呼出し方式の運用条件および技術的特性に関する勧告案策定作業に直接参加しCCIR第14回総会(京都)において正式勧告として承認され、わが国のITU活動に大きく貢献した。
2 室谷 正芳/ 日本電信電話公社
マイクロ波通信方式の実用化に当たり、初期の段階から一貫してこれに従事し、雑音切替方式、運用中雑音監視方式など多くの基本技術を確立すると共に2ギガヘルツ帯から20ギガヘルツ帯に至る多くの方式を実用化して今日の大容量アナログ方式、大容量ディジタル方式への飛躍的発展に寄与し、また国際無線通信諮問委員会(CCIR)に対しこれら方式に関する多数の寄与文書を自らまた関係者の意見をとり纏めることにより作成提出して、同委員会の活動に寄与し、わが国のITU活動に大きく貢献した。また、53年10月には無線通信規則及び追加無線通信規則の全般的改正の為の世界無線通信主管庁会議(WARC-79)のCCIR特別準備会議(SPM)において作業部会C-5(40ギガヘルツ以下の宇宙業務及び宇宙・地上の共用:スペクトラム利用の規則に関する技術的基礎)の義著として各国の意見を調整し、70ページに及ぶ報告書を取り纏めたことは記憶に新しいところである。