昭和56(1981)年度 受賞者功績概要

特別賞(3人)
1 難波 捷吾/ 国際電信電話株式会社
昭和9年以降国際無線通信諮問委員会総会、宇宙通信に関する無線通信主管庁会議等の諸会議・会合に政府代表として数次にわたって出席して活躍、わが国電波権益の確保に努め、その間国際電信電話株式会社技術部門の最高責任者として衛星通信、国際海底ケーブル関係の技術開発に挺身して成果を挙げ、また27年より18年のながきにわたって電波技術審議会委員、第一部会長、会長代理を歴任するなど、今日の電気通信事業隆盛の基礎を築いた功績は極めて大きい。
2 花岡 薫/ 日電興産株式会社
昭和7年東京中央電信局外国通信課長拝命以来、35年のながきにわたって一貫して国際電気通信事業に携わり、その間カイロ電信会議および無線通信会議、ブエノスアイレス全権委員会議ならびにローマプラン委員会等の国際会議に出席して活躍、また日本電信電話公社国際通信局次長として国際通信運用基準の制定および料率・料金の設定など国際協定締結の掌にあたり、国際電信電話株式会社取締役通信部長として東京・大阪両国際通信センターの設立に参画、さらには国際加入電信業務の導入、通信対地の拡張整備、直通回線の増設等サービスの拡充・通信レベルの向上をはかる等常に一貫してわが国国際通信の伸長発展に尽くした功績は極めて大きい。
3 山岸 重孝/ 日本大洋海底電線株式会社
昭和7年逓信省入省以来、47年のながきにわたって一貫して電気通信事業に携わり、その間電気通信省、日本電信電話公社、国際電信電話株式会社および日本大洋海底電線株式会社のいずれも重要な役職を歴任して活躍し、公衆電気通信事業の発展に寄与した功績は極めて大きい。なお、24年のパリ電信電話主管庁会議に政府代表on-lookerとして、また31年の国際電話諮問委員会第18回総会(最終回)および国際電信諮問委員会第8回総会(最終回)ならびに国際電信電話諮問委員会第1回総会に政府代表としてそれぞれ出席、いずれも歴史的な国際会議に参加されたことは意義深い。
褒賞(3人・団体)
1 藤岡 昌義/ JARL
昭和46年9月当協会設立とともに開設された図書編集委員会委員として55年6月までのながきにわたり「国際電気通信連合と日本」および「ITU研究」の編集企画に参画し、また、自らも十数回にわたって論説、国際会議報告等を寄稿するなどして両誌の円滑な発行、内容の充実に貢献し、当協会の発展に大きく寄与した。その間また、「ITU憲章化研究会」、48年度より「ITU基本問題研究会」の幹事および「プラン委員会研究会」の委員としてこれら研究会活動にも積極的に協力した。
2 山本 徳太郎/ 株式会社大井川電機製作所等
昭和44年以降十年余り、日本電子機械工業会技術部長として、国内におけるITU活動の推進に協力してきたが、当協会の設立にあたっても工業会内部の支援体制の拠点となり、特に51年3月から3年四ヶ月のながきに渡り、協会の運営委員会委員としてその運営方針、事業計画その他業務運営の全般にわたってその審議に参画して事業運営の円滑化に貢献するなど、当協会の発展に寄与した。その間また世界電気通信日行事、ITU青少年作品コンクール参加等協会の行う諸行事にも積極的に協力した。
3 JARL
昭和50年第7回世界電気通信日行事に参加してアマチュア無線記念交信を行い、その際ITUミリ事務総局長、バトラー同局次長、カービーCCIR委員長連名のメッセージを受領したが、その後52年4月記念交信会場を東京、逓信総合博物館とする関係機関間の運用協定を締結、爾来毎年全国的にその規模を拡大し、56年においては、実施期間十日間、実施会場、固定局6、移動局5、記念交信数87,000を数えるに至った。このようにして当協会主催の世界電気通信日行事に毎年華を添え、加えてITUおよびその活動の周知宣伝に多大の貢献をしている。
一般賞(4人)
1 伊藤 義三/ 日本電信電話公社 海外連絡室
昭和38年以降引き続いて海外協力活動に携わり、その間わが国及びITU海外技術協力計画に基づき、実に13年7ヶ月の長きに渡って、フィリピン、中年米諸国に在勤し、訓練センターの交換担当教官として、また保守運用に関する専門家として、幾多の困難を克服し、あるいは基礎から実用に至る幅広い訓練を実施して多数の電気通信技術者を育成し、あるいは保守品質管理方式の導入、国際回線保守センターの設置等に関して適切な助言・指導を行うなど、当該各国の電気通信の発展に大きく貢献した。
2 寺村 浩一/ 国際電信電話株式会社 研究所
早くからディジタルファクシミリにおける冗長度削減方式の研究に従事し、伝送時間を短縮した二次元符号化方式の考案開発を進めると共に、その研究成果を基に国際電信電話諮問委員会(CCITT)第14研究委員会において、昭和50年以降多数の寄与文書を提出してその標準化に努め、他方、同研究委員会第二作業部会の議長として、一次元符号化方式を採用するグループ3機(ディジタル1分機)の勧告案の作成及び符号化方式評価基準の制定に寄与し、引き続いて日本提案を基礎とする二次元符号化モディファイド・リード方式を採択に導き、55年のCCITT第7回総会においてこれが正式勧告として承認されるに至り、ファクシミリ通信の世界的発展に大きく貢献した、
3 平野 正雄/ (財)無線設備検査検定協会
昭和40年以降、国際無線通信諮問委員会(CCIR)の総会及び同研究委員会の会合に数次に渡って出席し、また、49年開催の海上移動通信に関する世界無線通信主管庁会議及び54年開催の無線通信規則・追加無線通信規則の全般的改正の為の世界無線通信主管庁会議に首席代表として出席し、卓越した識見・豊富な経験によって活躍し、電波権益の確保、無線通信技術の発展向上に努めるなど、わが国のITU活動に大きく貢献した。特に、53年6月京都において開催されたCCIR第14回総会においては、議長としてその円滑な運営に寄与し、会議を成功に導いた功績は大きい。
4 吉田 恵一/ 通信機械工業会
昭和38年以降、通信機械工業会技術部長として18年の長きに渡って活躍し、その間、同工業会の国際電信電話諮問委員会(CCITT)関係業務を担当して同工業会の「学術及び工業団体」としての参加活動を推進し、また、郵政省CCITT業務連絡会幹事及び工業会CCITT委員会事務幹事として関係機関相互の連絡調整に当たり、国際において開催されるCCITT研究委員会等の会合にあったっては、その都度設置される実施協議会の委員としてその計画・実施に協力するなど、わが国のITU活動に大きく貢献した。なお、日本ITU協会発足以来その運営委員会、研究集会委員会等の委員として、国内におけるITU活動を積極的に推進している。
著作賞(1人)
1 筧 一彦/ 日本電信電話公社 武蔵野電気通信研究所
昭和25年以降、国際電信電話諮問委員会(CCITT)第12研究委員会の電話伝送品質の国際標準化に関する活動に参加し、この分野におけるわが国の主導的役割を積極的に推進し、その間多数の寄与文書を提出して同委員会の活動に寄与し、わが国のITU活動に大きく貢献した。なお、同研究委員会の研究課題14(減衰歪の伝送性能に与える影響)に関する寄与文書は、伝送品質に関する重要なデータとしてた各評価され、55年のCCITT第7回総会において、その要約が勧告に付加されたことは特筆に値する。