平成元(1989)年度 受賞者功績概要

一般賞(5人)
1 石野 文雄/ 日本電信電話株式会社
昭和52年よりディジタル加入者線信号方式および第7信号方式の標準化に一貫して携わり、合同エキスパート会合の副議長として、関係各国の調整を図るなどISDN等に向けた勧告の作成に幅広く活躍した。特に第7信号方式については、CCITT第Ⅵ研究会期(1977~1980)で、CCITT仕様記述言語(SDL)を用いたメッセージ転送部の基本モデルとしよう記述案を提出し、勧告化に寄与した。他にも第Ⅶ研究会期(1981~1984)において、ISDNユーザ・網インタフェースにおける基本呼制御手順の為のフォーマット原則の最終仕様やチャネル識別子フォーマットなどの寄与文書を提出し、勧告化に寄与した。第Ⅷ研究会期(1985~1988)では、ISDNユーザ・網インターフェースのレイヤ3基本仕様や応用向けプロトコルのための第7信号方式トランザクション機能の勧告化に貢献、またISDNと第7信号方式の統一的な発展の為のインターワーキング条件の勧告化に際し会合の副議長として貢献。勧告化を実現するなど、寄書、論文等によりISDNの国際標準化に尽力した。
2 伊藤 泰彦/ 国際電信電話株式会社 目黒研究所
世界各国の関心の的となっている静止衛星軌道位置の公平な割当て問題について”静止衛星軌道有効利用の手法”に「関する研究を行うと共に”静止衛星軌道位置決定プログラム”を開発した。このプログラムは郵政省を通じ国際周波数登録委員会IFRBに寄贈され、1988年に開催された世界無線通信主管庁会議第2会期WARC-ORB2において、世界各国に衛星位置を割り当てるアロットメントプラン作成の為の公式プログラムとして使用されるなどITUの活動に大きく貢献した。また軌道有効利用の研究と並行してCCIR会合、世界無線通信主管庁会議などの多数の国際会合に出席し、特にWARC-ORB2においては作業部会WG-4Aの議長として各国の意見の取り纏めに尽力するなどわが国のITU活動に貢献した功績は大きい。
3 古東 啓吾/ 三菱電機株式会社  通信機製作所
船舶/航空機搭載の現用レーダーの指示器に遭難者の位置を表示し、遭難者にも捜索・救助側の接近を通報する機能をもつ、捜索救助用レーダー・トランスポンダー(SART)を世界に先駆けて開発し、SARTの国際標準化に貢献、遭難救助活動に大きく寄与した。特にSARTの技術特性に関してCCIR第16回総会において採択された勧告628はわが国の発明だけに基づいて制定されたものとして注目された。またSARTの原型開発以来ITU及びIMO関連の多くの国際会合に出席すると共にこれら会合に多数の寄書を提出して全世界的海上遭難・安全システム(GMDSS)の採択に寄与するなど、ITUの活動に寄与し、わが国のITU活動に貢献した功績は大きい。
4 鈴木 祥生/ 株式会社東芝 電波通信事業本部
郵政省における電気通信技術審議会の専門委員、または調査研究委員としてCCIRの各種会合に対する寄与文書の提案、作成、審議に寄与すると共に、1981年以来10回に及ぶCCIRの中間作業班の会合をはじめ7回に及ぶCCIRの各種会合に日本代表として参加して、わが国の寄与文書の採択に尽力し、また小委員会の議長として会議の運営にも寄与した。また1988年の世界無線通信主管庁会議第2会期WARC-ORB2に関する対策部会には、業界代表委員として参加しわが国の対処方針の審議にあたり、ついで同主管庁会議には日本代表団員として出席するなどITUの活動に寄与しわが国のITU活動に貢献した功績は大きい。
5 堀江 達/ 元 郵政省
昭和45年より7年の長期にわたりITUの国際周波数登録委員会IFRB事務局に派遣され、短波国際放送用周波数の混信問題調停の要務にあたりその公平な調停は各国から高い信望を得、ITUの活動に大きく寄与した。昭和52年より電波技術審議会運営に当たってCCIRに対するわが国の活動に尽力し、またわが国が招致したCCIR第14回総会においては総会議長を補佐して会議の成功に寄与するなどわが国のITU活動に大きく貢献した。昭和54年より自動車電話などシステム開発、法制度の整備などに尽力しわが国における移動無線通信発展の基礎を築くと共に電気通信制度の変革期に際してわが国の電気通信技術の研究開発体制の整備に貢献した功績は大きい。
著作賞(1人)
1 山口 秀夫/ 日本放送協会 放送文化調査研究所
永年にわたり欧米放送界の研究に携わり、テレビ・ラジオの現状、通信衛星などニューメディアの実態について報告すると共にわが国の電波通信の将来について具体的に提言する論文を発表、また米国のテレビ三大ネットワークについてプライムタイム番組の実際を調査・報告すると共に、わが国でも導入が現実のものとなったニューメディアについては、ニュービジネス展開という視点からニュービジネス現状と展望を、論文・講演などで明らかにし放送関連事業関係者の注目するところとなった。また通産省の国際映像ソフトウェア推進協議愛のメンバーとしてわが国の通信行政に参画する一方、数多くの講演や寄稿などを通じてない外の放送の実際を解説すると共にわが国のニューメディアの導入、将来展望について示唆を与えるなど、わが国放送の普及発達に寄与した功績は大きい。