平成12(2000)年度 受賞者功績概要

功績賞(9人)
1 荒井 清実/株式会社東京放送/技術局 ステーション技術センター
12GHz帯放送衛星プラン見直しを一貫して担当し、我が国の国益を代表しての発言、各国との調整役などをつとめてきた。また、SNGの勧告化に当たって、国内外機関等の意見調整をはかり勧告化を図った。特に、HDTV用のSNGの勧告化については、自ら、ITU-R WP4の作業班議長役をつとめ、国内においてとりまとめたARIBの意見を勧告案に反映させるなど、我が国でこれから多用されるHDTV-SNGの技術基準作りの基礎を作った。
2 浦野 義頼/早稲田大学/国際情報通信研究センター
1993年から1996年にかけて、電気通信技術審議会電気通信標準化委員会の第6、第7および第9専門委員会に所属し、ITU-Tの標準化活動に貢献してきた。また、1996年度以降は、同委員会の作業計画専門委員会主査を務めるとともに、TSAG会合へ日本代表副団長として出席し、ITU-Tにおける戦略、作業の優先順位、標準化作業の手続き等の検討に大きく貢献している。
3 立澤 加一/ソニー株式会社/CSNCカンパニー テクニカルリレーション部
1994年よりITU-R SG11(テレビジョン放送)および関連会合への継続参加を行い、超高精細画像(EHRI)およびHDTV記録に関する勧告成立に多大な貢献を行った。特に、1994年から1995年までITU-R WP11F(放送と非放送分野のテレビジョン応用に係わる技術標準の調和)副議長、1997年からはITU-R JWP10-11R(放送の記録)副議長に選任され、以降現在まで、放送の記録および放送番組の国際交換等の分野を中心に積極的に寄与を行っている。
4 灰原 正/日本電信電話株式会社/情報流通基盤総合研究所
1993年6月から、ITU-T SG6において2会期にわたり「光ファイバーケーブルの設計」という課題のラポータとして活躍され3件の勧告成立に尽力し、他の課題においても、多くの寄書の提出と各会合中の精力的な活動により、数多くの勧告草案の作成に寄与された。また、1997年2月からはWP1の副議長に任命され、会議の円滑な運営を支えられ、当該SGグループへの貢献は大きいものがある。
5 秦 正治/株式会社NTTドコモ/ワイヤレス研究所
陸上移動通信方式に関する幅広い研究開発の経験を生かし、ITU-R SG8、WP8A、TG8/1等での15年以上にわたる活動を通して、セルラ方式、無線呼出、干渉検討など、陸上移動通信全般の標準化および勧告作成に多大な貢献を行い、デジタルセルラ方式の実用化や他業務からの保護、IMT-2000無線方式標準化の実現など、移動通信に係る幅広い国際標準化と我が国の技術的裏付けを伴う発言権強化の功績は極めて大である。
6 服部 光男/東日本電信電話株式会社/サービス運営部
通信システムのEMC技術の専門家であり、1991年4月以来、ITU-T SG5の公式会合およびラポータ会合に出席し電磁環境両立性(EMC)に関する勧告の作成において日本の意見を反映させ国内インフラとの整合を図った。また、1992年からはラポータとしてイミュニティに関する勧告作成にあたり、1996年からはWP2の副議長と課題8のラポータを兼務し、通信システムのEMC標準化において活動を続けている。
7 藤井 伸朗/日本電信電話株式会社/未来ねっと研究所
1985年以降ITU-T SG4の活動に深くかかわり、ネットワークの保守運用に関する標準化に大きく貢献した。特にISDNおよびBISDNの保守に関する研究については、システムモデルおよび試験モデルの構築に積極的に寄与した。1997年からは、SG4の副議長およびWP1/4の議長を務め、課題間の調整、会合の運営、各種勧告の取りまとめに尽力するとともに、次研究会期の課題候補の選定に寄与した。
8 松尾 一紀/ケイディディ株式会社/人事部
1994年以降ITU-T SG2(網とサービス運用)の課題3(網のサービス品質)ラポータとしてNo.7信号方式に基づく新たな電話サービスの品質管理に関する勧告化等に大きく貢献し、これを通して国際電話サービスの品質改善に結びつけた。さらに、ITUにおける不正通話対策への取り組み方針を策定する等、新たな環境下における国際通信網の運用技術の伸長に大きく貢献した。
9 宮沢 寛/日本放送協会/放送技術研究所
無線伝送技術の専門家として、長年にわたりケーブルテレビを含めたテレビ放送の受信画質向上に尽力し、ゴーストキャンセル信号方式の開発並びにその国際標準化に中心的役割を果たすとともに、ケーブルテレビのデジタル化に向けた技術検討を積極的に推進した。特にケーブルテレビのデジタル伝送方式の国際標準化においては、ITU-Tの作業部会における議論のとりまとめを行うなど、その勧告成立に多大に貢献した。
国際活動奨励賞(9人)
1 太田 宏/日本電信電話株式会社/ネットワークサービスシステム研究所
ATM技術のエキスパートとして1992年以来ITU-T SG13のATM勧告の作成に寄与した。1995年以降ATMレイヤ切替えの重要性を指摘し、多数の寄書により審議を技術的にリードした。さらに、副ラポータおよびラポータとして、各国の意見の調整を行ないATM切替え勧告(I.630)を成立させた功績は大である。現在はIPネットワークのOAMに関する議論の方向付けを行っており、今後の活躍が期待できる。
2 黒田 徹/日本放送協会/技術局 計画部
日本提案のFM多重放送および地上デジタル放送の審議に際し、自らの研究開発を基に寄与文書を作成するとともにSG、WP会合への参加およびスペシャルラポータとして、勧告BS.1194(FM多重放送)BT.1306(地上デジタル放送の伝送方式)の成立に貢献した。また、地上デジタル放送のハンドブックについてもスペシャルラポータとして作成全般のとりまとめ作業に尽力するなど、デジタル放送の規格化に多大に貢献した。
3 釼吉 薫/日本電気株式会社/ネットワークシステム事業部
1988年秋のCCITT SGⅩⅠパリ中間会合から ITU-T会合に出席し、以後ほぼ継続してN-ISDN信号方式、B-ISDN信号方式の標準化活動に参加・貢献してきた。1997年からの今会期では、ITU-T SG11 Q.21のラポータに指名され、N-ISDN信号方式への要求条件の検討を担当している。この間、番号ポータビリティ、NSoverBB(B-ISDN網でのN-ISDNサービス実現)等の勧告作成に貢献した。
4 河野 宇博/宇宙通信株式会社/ネットワーク本部
1996年より、ITU-R SG4 WP4Aをはじめ、SG4、CPM、WRC等の会議に参加し、非静止衛星による固定衛星業務と静止衛星による固定衛星業務間の周波数共用問題、固定衛星業務と地球探査衛星業務の共用問題、不要発射等の課題に対し、我が国の寄与文書作成を行うとともに、勧告案作成、CPMレポ一ト作成等に尽力した。さらに、1999年11月のCPMではAPTのリーディングカントリー担当者、2000年2月のWP4AではDG4A-2gの議長に指名されるなど、今後も引き続き、固定衛星業務分野におけるITU活動への貢献が期待される。
5 鈴木 宗良/日本電信電話株式会社/情報流通プラットフォーム研究所
急速に発展を続けているインターネット技術と、多様なマルチメディア通信に対応するATM技術の高度な連携を実現すべく、ATM網上での通信経路設定方式(B-ISDN信号方式)とインターネットプロトコルとの連携方式を考案し、ITU-TおよびIETFに対して提案してきた。その結果、1999年12月のITU-T SG11会合、および2000年1月のIESG会合(IETF標準承認の場)で、同提案がそれぞれ承認され標準化が決定した。
6 田村 俊之/ケイディディ株式会社/ネットワーク統括本部
1989年から1990年にかけてCCITT SGⅩⅠ(交換と信号方式)にてNo.7信号方式の国際インタフェース勧告策定に貢献した後、1993年以降ITU-T SG2(網とサービス運用)の第1作業部会(番号計画、ルーティングおよびグローバルモビリティ)において主に新技術領域で寄与し、1997年以降は副議長として番号計画やルーティングに関する勧告化等を通じて、国際・国内競争環境下における新サービスの円滑な導入や運用に貢献した。
7 村川 一雄/東日本電信電話株式会社/サービス運用部 技術協力センタ
1996年以来、ITU-T SG5の公式会合およびラポータ会合(課題7のラポータを担当)に出席し電磁環境両立性(EMC)に関する勧告の作成に寄与するとともに日本の意見を反映させた。1998年からは接地ハンドブックのエディタを兼務し草案を作成した。EMC技術の研究能力、国際活動能力にすぐれ国際的にも評価が高く今後の活躍が期待される。
8 保田 佳之/株式会社NTTドコモ/無線ネットワーク開発部
1992年より、ITU-R TG8/1に参加し、FPLMTS関連の標準化に積極的に貢献した。特に、FPLMTS用スペクトラム勧告の草案作成に重要な役割を果たし、所要スペクトラム勧告の勧告化、CPM入力レポートの承認、各国スぺクトラム使用状況レポートの承認に大きく貢献した。また、1993年のITU-R WP8Dにおいては、衛星搭載用アンプに関するReport改定のドラフティング議長を担当している。
9 吉村 隆之/日本テレコム株式会社/情報通信研究所
1992年よりITU-T SG11におけるFPLMTS(現 IMT-2000)の課題の研究作業において、積極的な寄与を行ない、1998年からはITU-T SG11 AALタイプ2信号方式アソシエイトラポータを務めながら、今最も重要なIMT-2000の信号方式の勧告化に貢献した。
国際協力賞(10人)
1 植木 俊雄/古河電気工業株式会社  情報通信事業部門・海外担当常勤顧問
30年間一貫してタイ等の開発途上国電気通信プロジェクトに参画し、途上国の電気通信網整備・増設に直接貢献した。新技術導入、製造の現地化、施工技術の現地移転、現地技術者の養成への協力等で多数の途上国で電気通信事業の発展に貢献した。
2 上野 重喜/元日本放送協会 編成局 エグゼキュティブディレクター
インドネシア国ラジオ・放送訓練センタープロジェクトで放送要員の養成に携わり国営放送の向上発展に多大の成果をあげた。トルコ国人口教育促進プログラムで放送等多メディアを活用して母子保健・家族計画の普及促進に大きく寄与した。
3 海老沢 延雄/元日本情報通信コンサルティング株式会社/ 海外事業部 チーフエンジニア
ボリビア、ナイジェリア等多数の途上国で電気通信開発に従事。フィリピンではプロジェクトマネージャーとして計画作成から実施完了まで従事し同国通信省より感謝状が授与された。
4 荻野 徹也/元日本情報通信コンサルティング株式会社  通信システム事業部 チーフエンジニア
37年の長い間、開発途上国10ヶ国の電気通信発展に貢献した。インドネシアアサハン地域電気通信網整備計画を担当し関係者から高い評価を受けた。
5 木本 正二/元国際電信電話株式会社/ カイロ事務所長
イラン等に派遣の後、ビルマ、南米、モンゴルで電気通信施設整備のプロジェクトマネージャーを務めそれらの国の通信改善に貢献。ITU専門家としてクウェートで湾岸戦争に遭遇し一時活動中止を余儀なくされたが技術計画アドバイバー業務を完遂した。
6 篠原 加行/元山陽放送株式会社/ 運行局 送信部長
山陽放送定年後、放送分野国際協力活動に従事し、平成8年から1年3ヶ月オーマンで技術指導を行い放送の拡充に貢献した。その貢献が顕著のため同国政庁より感謝状が贈られた。
7 大宮司 好文/元日本電信電話株式会社/ 国際部 担当部長
ボリビア電気通信学園で教官育成、設備整備に従事。ペルーでPBX技術及びサービス基準見直しを指導。アルゼンチンで計画業務電算化に協力。チリの通信事業車間の接続技術と法規制問題、通信学園の開設に協力した。
8 中 勝司/近畿サービス株式会社/ 工事部 課長
長年にわたり通信ケーブル線路設計専門家として開発途上国17カ国で設計業務従事し当該国の電気通信の発展に貢献した。現地の技術者に設計・積算の専門教育を行なうとともに、国によっては線路網設計会社の設立と育成にも努め現地関係者から高い評価を受けた。
9 花嶋 宏/元日本電信電話株式会社/ 国際部 担当部長
インドネシア電気通信公社で低い通話完了率の解決のためトラヒック管理技術の移転を行ない、パラグアイ国立大学でトラヒック、交換、情報処理などについて教鞭をとる等、開発途上国の電気通信の発展に寄与した。
10 和氣 鴻/元日本電気株式会社/ 海外伝送事業部 部長(海外プロジェクト担当)
途上国の電気通信訓練センター等で伝送と保守運用の技術協力を行い電気通信の発展に貢献した。電電公社から民間に転身後、15年間に途上国13カ国で光通信技術の研修を多数行い多くの技術者を育成し開発途上国の電気通信発展に寄与した。
国際協力奨励賞(7人)
1 大場 一則/ディーディーアイ株式会社/ 国際協力開発部 課長補佐
2度にわたるJICAによる海外長期派遣とともに開発途上国向けコンサルティング業務に継続的に従事し、その活躍・貢献は評価されるとともに、今後もこのような業務を通じて国際協力活動に一層の活躍が期待される。
2 菊村 一/日本放送協会 佐賀放送局技術部 副部長
2度4年間に亘るJICA放送技術専門家として海外派遣、国内における3年間のJICA集団研修コーディネーター業務を通じて技術者の育成や設備計画作成支援などを行い関係者から高い評価を受け途上国の放送の発展に貢献した。今後も放送分野の国際協力に一層の活躍が期待される。
3 串田 薫/東日本電信電話株式会社/ 技術部国際室 担当課長
ペルー、パラグアイ、パナマにおいて約6年半に亘り電気通信技術の協力に従事し、その間、セミナー及び訓練コースの講師を務め人材育成を行い当該国の電気通信技術の普及に貢献した。今後も国際協力活動に従事しその発展に貢献することが期待される。
4 相馬 宏/ディーディーアイ株式会社/ 国際協力開発部 課長補佐
KDDにおいて通算13年間国際協力関係業務に携わり、JICA集団研修コース等の研修員受け入れ、その指導・研修業務に従事し途上国の技術者育成に貢献している。長年の経験を活かした途上国研修員への積極的な指導・指導業務は高く評価でき,今後もその活躍が期待される。
5 長江 靖行/東日本電信電話株式会社/ 技術部国際室 主査
平成2年から2年間インドネシアへJICA青年海外協力隊員として派遣され、現地技術者とともに現状調査し原因究明し通信線路設備の故障率を減少させ同国の電気通信発展に貢献した。今後も国際協力活動に従事しその発展に一層貢献することが期待される。
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山下 和起/東日本電信電話株式会社/ 東日本電信電話研修センタ インストラクタ

平成7年から3年間ケニアに派遣され、電気通信大学で技術協力を実施した。その間、災害で破損した交換機の代替品の購入費を粘り強い交渉力で獲得し関係者から高い評価を受けた。国内のJICA研修等で講師を務め高い評価を受けており、今後もその活躍が期待される。
7 横山 美紀男/日本放送協会 技術局テレビ中央送信室 チーフエンジニア
昭和58年から2年間パナマに派遣され、技術指導を行なうほかスタジオ技術専門家と協力して番組中継、運行設備の運用等にも技術支援を行い関係者から高い評価を受けた。アルゼンチンの電気通信・放送網整備拡充計画でも実施に寄与しており、今後もその活躍が期待される。