平成19(2007)年度 受賞者功績概要

功績賞(6人)
1 尾上 誠蔵/株式会社NTTドコモ/無線アクセス開発部
IMT-2000標準化に関し、日本提案技術の検討でARIB作業班の主査を務めるなど活動をリードした。また、他国提案とのハーモナイズに関する多数の会合において中心的な役割を果たし、日本提案のW-CDMAをITU勧告の1つとすることに成功した。その後もIMT-2000研究委員会国際仕様開発部会長やARIB高度無線通信研究委員会IMT-Advanced部会長として3G高度化、4Gに関する活動で貢献した。
2 佐藤 明雄/東京工科大学/コンピュータサイエンス学部
1988年から現在まで長年にわたりITU-R SG3(電波伝搬)の活動に参画し、我が国の研究成果を積極的に寄与し、電波伝搬分野の標準化に多大な貢献をした。特に、無線LANや無線アクセスシステムの導入に不可欠な屋内・屋外短距離伝搬特性推定法に関してSWG議長等をつとめ関連勧告の成立・改訂に尽力するとともに、データバンクテーブルキーパーとして伝搬データベースの評価・充実を図り伝搬特性推定精度の向上に貢献した。また、情報通信審議会ITU-R部会電波伝搬委員会主査として、我が国の電波伝搬標準化活動の方針策定等に尽力した。
3 中尾 康二/KDDI株式会社/運用統括本部
1985年からITU活動への参加を開始し、CCITT SGⅧ(文書転送)、SGⅩⅠ(INセキュリティ)の勧告化に貢献した。2001年からはSG7(現SG17:セキュリティ、言語および電気通信ソフトウェア)に参加し、X.1051「通信事業者向けの情報セキュリティ管理」の勧告化に貢献した。その後、課題7/17のラポータとなり、ITU-Tセキュリティ研究体制構築、X.1051改定、ISOとの研究連携等、情報セキュリティ分野の国際標準化に広く貢献した。
4 村上 龍郎/NTTサービスインテグレーション基盤研究所
通信技術の専門家として、早くから次世代ネットワーク(NGN)の技術検討に携わり、NGNの標準化に尽力した。特に、ITU-Tを始め、IETF、TISPAN、ATISなど、関連する標準化団体のキーパーソンとの交流を通じNGNの標準化を積極的に推進するとともに、仕様の統一化に貢献した。また、国内外の多数の講演を通じ我が国の通信技術の先進性をアピールし、NGNの技術内容・標準化状況を広く一般に知らせ、NGNの技術開発・標準化推進に多大な貢献を行った。
5 吉田 龍彦/NTTアドバンステクノロジ株式会社/アクセスネットワーク事業本部 フォトニックネットワーク技術センタ
1992年から現在までの約15年間、ITU-T SG4(TMNを含んだテレコミュニケーション管理)やSG15(光その他の伝送NW)を中心とした国際標準化活動に従事 しており、ATM装置管理やB-PON管理の勧告化に貢献した。また、トランスポート ネットワーク管理課題等のラポータをつとめるとともに、近年では、ホームネットワークに関するJCA-HNの立ち上げやNGNMFGにおけるNGN管理の検討など、ITU-Tにお ける新規 課題の標準化活動に貢献し、その功績は顕著である。
6 吉村 幸夫/元 日本電気株式会社/モバイルネットワーク事業本部 モバイルワイヤレス事業部
ITU-Rにて標準化が開始された第3世代移動通信(IMT-2000)の早期導入のため、技術詳細仕様を策定する民間プロジェクトである3GPP及び3GPP2の設立に貢献した。 設立後も運営に深く関わり、3GPPにおけるPCG/OP委員、FFG委員およびWP委員を歴任し、特にWP委員会では議長(2001~2004年)をつとめた。また3GPP2においてもOP /SC委員、The OP Ad Hoc FC委員及びWPD Ad Hoc委員を歴任した。一連の活動を通じて、我が国の移動体通信のグローバル標準を作成する体制作りに深く貢献した。
国際活動奨励賞(11人)
1 安部田 貞行/株式会社NTTドコモ/無線アクセス開発部
3GPPにおいて、Long Term Evolution提案に多数の支持を得て合意に導いた.このことは、3Gシステムの更なる発展に向けたロードマップを明確にしたエポックメーキングな出来事であると言える。また、3GPP TSG-RAN WG1 では副議長、技術レポートのエディタ、及びLTEラポータの役職に加えて、数々の技術提案、およびセッションの議長等もつとめ、3G及びLTEの検討に貢献をしている。
2 大本 隆太郎/NTT アクセスサービスシステム研究所/ワイヤレスアクセスプロジェクト
ITU-R SG9(固定業務)関連会合において、広帯域ワイヤレスアクセス(BWA)システム等、各種固定無線通信方式に関する寄与文書作成に積極的に参画している。特に、IPベースの固定BWA関連の勧告/報告策定にあたっては、テーマエディタおよびドラフティング議長を務め、日本のARIB規格の反映を実現するなど、ITU-R標準策定及びわが国の規格普及に多大な貢献をしており、今後益々の活躍が期待される。
3 酒澤 茂之/株式会社KDDI研究所/映像通信グループ
ITU-T SG16(マルチメディアサービス)において、IP上でのマルチメディア通信システム(H.323)の標準化に従事し、また、それを受けて国内でのTTC標準制定に主導的役割を果たした。また、ITU-T SG9(TV・音声の伝送)において、Q.1ラポータとして、IP上での高信頼マルチキャスト配信技術および多チャンネル映像配信アーキテクチャ等の勧告化に貢献した。これらは日本から積極的に寄与したものであり、日本発の国際標準獲得を実現させた。
4 佐藤 浩司/三菱電機株式会社/情報技術総合研究所
2004年よりITU-T SG13(NGN)およびSG15(光その他の伝送NWインフラストラクチャ)にて、イーサー網のOAM、切替機能の標準化に中心メンバとして参加した。リニアプロテクション切替勧告G.8031のエディタを担当し勧告化に大きく貢献した。また、関連諸勧告に対しても70件以上の寄書を提出するなど、キャリア向けイーサー網の標準化に大きく寄与している。2005年からはITU-Tにおける次世代網(NGN)の検討にも参画し、総務省、TTCの関連委員もつとめるなどNGN標準化への貢献も大きい。
5 澤田 政宏/株式会社NTTドコモ/ネットワーク開発部
1995年から10年以上にわたり、IMT-2000のコアネットワークの標準化に関わっている。ITU-TのIMT-2000コアネットワーク関連勧告への日本提案作成に貢献をした。その後、3GPP等において、IMT-2000の信号プロトコルの標準化を推進し、特に、3GPPリリース99のコアネットワーク内信号プロトコルの標準仕様完成に大きく貢献した。さらに、ALL IPネットワークとして、ネットワークベースのIPモビリティプロトコルの適用を特徴としたアーキテクチャを3GPPに提案し、技術仕様書の策定が開始されている。
6 高橋 徳雄/KDDI株式会社コア技術統括本部 ネットワーク技術本部 国際ネットワーク部 衛星通信グループ
2002年よりITU-R SG4(固定衛星業務)関連会合に日本代表として参加し、衛星通信網によるTCP/IP通信の効率向上のための勧告策定および非常災害時の固定衛星通信を有効に利用するための勧告改訂において中心的な役割を果たし貢献した。これらの勧告は新たな衛星通信利用の途を拓くとともに、発展途上国での衛星利用のうえでも重要な役割を担っている。タイムリーな提案と粘り強い調整は高く評価され、ITUの標準化活動における日本のプレゼンスを高めた。
7 田島 勉/日本電気株式会社/光ネットワーク事業部
1993年9月からSG15(伝送方式と装置)に参加し、光アンプを含むSDHシステムの光インタフェース、波長多重システムの標準化など、陸上光通信システムの勧告作成に寄与した。2001年からは、海洋光通信システム用高性能符号誤り訂正方式に関する勧告(G.975.1)のエディタをつとめ、各国から提出された提案をまとめ、2004年に初版発行に至った。また、専門家会合などを日本メンバとともに開催するなど、ITU活動の運営面においても尽力した。
8 立岡 良夫/日本放送協会/技術局計画部
1994年に京都で開催されたITU全権委員会議の運営からITUの業務に携わり、それ以来、衛星放送の安定運用に向け、ITU-R SG6(放送業務)、SG8(移動業務)、SG9(固定業務)などの諸会合、世界無線通信会議WRC-2000等で、通信衛星等他業務との共用のための規格策定や、国際調整会議対応などで貢献した。
9 長津 尚英/日本電信電話株式会社/第三部門
1997 年よりSG13(NW全般)と SG15(伝送網、システムおよび装置)で開始されたOTN (光伝達網)標準化の中心メンバの一人として、OTNのアーキテクチャ、機能要求条件、インタフェースに係る提案を継続的に行い、一連の OTN勧告作成に貢献するとともに、10ギガビットイーサ信号の OTN転送方式の標準化を主導し、OTNの普及にも努めた。
10 中山 稔啓/株式会社フジテレビジョン/技術局 技術開発室 企画開発部
1998年から長楕円軌道衛星を用いた移動体向け放送システムの構築に関わり、無線通信規則(R.R.)の改正、ITU-R勧告の作成を進め、WRC-2000にて非静止衛星を用いた非プラン放送業務の衛星調整手続きのR.R.導入が承認された。2006年より日本民間放送連盟の代表としてNHKと共に、STL/TTL/TSLのシステム勧告をDG議長として成立させ、また現在FPUのシステム勧告を作成し、放送事業用地上システムと他業務との共用をベースとしたR.R.の改正作業等で活躍している。
11 成田 篤信/NTTコムウェア株式会社/研究開発部
ITU-TのNGN標準化が始まった2002年からSG11のNGN信号方式要求条件文書のエディタとして先導的役割を果たした。2004年にSG13に移行後も一貫して、最重要勧告の一つNGNリリース1要求条件文書(Y.2201)のエディタをつとめ、各国提案を調整し、方向性を確定させるなど2007年4月の勧告作成に貢献をした。その他、Home Networkワークショップ講演など標準化活動に広く貢献した。
国際協力賞(8人)
1 金子 文雄/特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会 参与
JICA専門家として、ケニヤ、インドネシアで電気電子分野での人材の育成に貢献。2003年よりBHN会員、スマトラ島沖大津波後のアチェ州、ジャワ島中部地震被災者緊急人道支援にインドネシア語を駆使しながら被災者と血の通った支援を行った。
2 櫛田  覚/株式会社パンテル・インターナショナル 常務取締役 海外プロジェクト管理担当
28年の永きに亘り国際協力に従事し、9カ国15案件に携わり、途上国の通信網開発に貢献した。特に、インドネシア、スラバヤ都市圏地域通信網拡充計画ではマスタープラン策定からJBIC援助による実施まで一貫して参加し、地域通信網の発展に貢献した。
3 倉林  和夫/元  KDDI株式会社 海外営業推進部 部長 (現)JICAグアテマラ事務所 調整員
JICAのシニア海外ボランテイアとして、東カリブ海域通信自由化プロジェクトに参加し、KDDI時代に培った経験・知見を活かし、125年間の独占に終止符を打ち、競争的市場の醸成を通し、同海域諸国のデジタル・デバイドの解消に貢献した。
4 千本  義隆/元 日本放送協会 放送技術局 制作技術センターチーフ・エンジニア
1985年のフィリピンをはじめ、タイ、スリランカ、中国、インドネシアなど計7か国に派遣され主に番組制作技術全般にわたる実務指導や、放送設備の設計・整備計画への助言など高い専門性を活かして現地放送技術者の育成に貢献した。
5 塚本  勝久/元 沖電気工業株式会社 担当部長
18年に亘り海外伝送無線システムの設計・現地の建設工事・運用支援・技術者育成等幅広く携わり、イラク マイクロ通信網の構築及び日本政府ODAによるネパール ルーラル無線通信網の構築等、途上国の通信網整備に多大な貢献をした。
6 平田  正幸/株式会社アイエスインターナショナル 取締役最高顧問
1973年インドネシアの放送プロジェクトを担当して以来、約34年間国際協力に従事、77歳の現在もなお現役。海外プロジェクト・調査の関与は60ヶ国以上に及ぶ。放送番組「おしん」の開発途上国諸国での放映の端緒を開いた。
7 プラマニク カデル博/元 JICA専門家; 情報通信コンサルタント
沖電気在籍中は中南米とアジア、ITU職員時代はアフリカ諸国、日本へ帰化後JICA専門家として南太平洋大学でICT支援活動。現在は太平洋島嶼国ICT分野の格差縮小のための支援等、30年に亘り国際協力に貢献している。
8 本多  慶成/株式会社ジェイコムテクノロジーエンジニアリング部 エンジニアリング本部長補佐
12年間の長きに亘り、アジア・アフリカ・中米の開発途上諸国に赴任し、電気通信網計画の策定、伝送路の設計、技術者の育成、建設工事の施工など様々な分野で、現地の通信運営体に熱心に協力活動を続け、通信の発展と友好の推進の両面に大いに貢献した。
国際協力奨励賞(6人)
1 飯田 武/日本放送協会 大阪放送局 技術部 チーフ・エンジニア
メキシコ「教育テレビ研修センター」において、放送技術のJICA専門家として高い技術力とコーディネーション能力を遺憾なく発揮し、現地技術者の指導に精力的に取り組み、メキシコ放送技術の発展に貢献した。
2 上田  則明/株式会社エヌティティ ネオメイト ITビジネス本部 サービス開発部 国際育成推進担当 主査
ホンデュラスの2年間の青年海外協力隊活動およびスリランカテレコム社等へのコンサルティング業務、海外研修員受入業務等を通じて、途上国で軽視されがちな予防保全業務の重要性の認識向上、人材開発等に寄与した。
3 梅澤  由起/KDDI株式会社 渉外・広報本部 渉外部 国際グループ 担当部長
途上国ルーラル地域にブロードバンド無線LANを構築し、ICT活用によりデジタルデバイド解消、社会生活レベル向上が可能であることを実証。また、国際会議でも情報提供を通じ、デジタルデバイド解消に貢献した。
4 杉本  勉/株式会社NTT東日本-東京南 営業サービス部 113カスタマセンタ 担当課長
約15年間アジア、アフリカ地域等においてCBTの技術指導(JICA専門家)、評価調査団、NTC、NTTⅠ等のコンサルタントおよびNGOのBHNによる電気通信の発展に貢献してきた。今後も一層の活躍が期待できる。
5 高山  寛次/株式会社東電通 ネットワークシステム部 担当部長
電気通信コンサルタントとして、JICA無償資金協力で実施されたネパール王国地方電話網拡充計画に当初より参画し、東部山岳地域郡庁所在地11箇所の無電話地帯解消及び近隣住民への福利厚生に寄与した。
6 升澤  俊司/株式会社NTT東日本-福島 設備部 担当課長
青年海外協力隊員としてラオス国での搬送・無線装置の保守指導、JICA専門家としてグァテマラ国での無線回線設計指導を行った。その後、ホンジュラス、エクアドルで電気通信網整備事業に従事し途上国通信網整備に貢献し、今後もその活躍が期待される。