平成24(2012)年度 受賞者功績概要

総務大臣賞(1人)
1 川角 靖彦/元国際電信電話株式会社
世界情報社会サミットの成果文書の実現にも寄与しているITU-D第2研究委員会に総務省参与として参画され、「ルーラル及び遠隔地域のための電気通信/ICT」会合のラポータを長年にわたり務められ、電気通信/ICT分野の国際的な技術開発問題の解決に貢献されてきた。また、アジア・太平洋電気通信共同体(APT)による山岳地帯の遠隔教育のためのテレセンター構築プロジェクト(ネパール)等の案件形成・実施にも積極的に携わるなど、当該成果文書に沿った国際協力活動に従事されてきた。最近では、総務省参与として太平洋島嶼国を訪問され、ICT分野の協力関係強化にも貢献されてきた。
功績賞(10人)
1 和泉 俊勝/NTTアドバンステクノロジ株式会社/ネットワークテクノロジセンタ
1983年より主にITU-T SG11で信号方式、SG2でサービスと番号方式の標準化に係わる業務に従事し、ITU-T標準の国内標準化及び標準化技術を活用した電気通信網の構築等に多大な貢献をしてきた。日本における番号方式標準化に関する第一人者として、NGNの標準化および通信網構築議論に積極的に貢献するだけでなく、NGN技術の国内普及推進、標準化人材の育成に関しても多大な貢献をした。
2 小坂 克彦/独立行政法人情報通信研究機構/国際推進部門 標準化推進室
1984年のCCIR会合参加を皮切りに、以来約30年にわたりITUの無線通信分野の標準化、周波数分配等に関する活動に参加、貢献してきた。具体的には、2度にわたる旧WP8D(移動衛星通信)の議長代行を始め、現在のWP4Cに至るまで種々の会合のSWGやDGの議長として、国際標準化活動に貢献するとともに、WARCにおけるCOM副議長やWG、DG議長、APG等におけるWG議長等を務めるなど、WRCの周波数分配の活動においても重要な役割を果たしてきた。このように、無線通信分野の標準化・周波数分配に関して、我が国のITU-R関連の活動に多大な貢献を行った。
3 坂本 光弘/国際電気通信連合/無線通信局 宇宙業務部
ITU無線通信局職員として長年にわたり衛星周波数及び軌道に関する国際調整、通告に関する業務に携わりITUにおける責任者として中立的な立場から我が国のみならず諸外国に対しても公平な審査、助言を行っている。また、WRC等のITU会合の開催時にセクレタリーを務めるなど会議の円滑な運営、進行に多大な貢献を果たしている。
4 清水 勉/株式会社TBSテレビ/技術局技術開発部
多年にわたり、補助信号を含めたHDTVデジタルインタフェース、525順次走査方式、BSデジタル放送の映像符号化方式、マスタモニター用途での平面ディスプレイ、セーフティゾーンなど、HDTV関連のスタジオ規格、放送方式を中心に開発・国内標準化活動に従事。ここでの成果を踏まえて、ITU-R SG11やSG6(放送サービス)において、ラポータグループ、勧告・レポート案作成、欧米からの会合参加者との調整等を通じて、ARIB規格・技術資料など日本で開発された方式のITU勧告・レポートへの反映に努力し、国際標準化に貢献してきた。
5 菅田 明則/KDDI株式会社/技術統括本部・技術企画本部・電波部
ITU-R WP5D会合に参加し、IMT-Advancedシステム後の将来のIMTの検討の基となる日本の広帯域携帯通信の将来の検討、トラヒックの現況及び予測に関して国内審議会等での検討をリードし、複数の寄書を提出してWP5Dでの議論に寄与し、世界的にひっ迫する携帯移動通信用の周波数算定に資する新レポートM.2243の完成に大きく貢献した。 また、WP4C会合ではIMTAdvanced衛星系の無線インタフェース技術の勧告案の公募文書案を作成すべく、ドラフティンググループ議長として関係国間の意見の調整にも務め公募用レポート文書を完成させた。
6 高田 政幸/日本放送協会/放送技術研究所 放送ネットワーク研究部
地上デジタルテレビジョン放送ISDB-TをはじめISDB-TファミリーのITU-Rにおける国際標準およびARIBの国内標準規格化に多大に貢献した。ARIBにおいては、地上デジタル放送伝送路符号化方式作業班主任として、7・8MHz ISDB-Tシステムや地上マルチメディア放送システムISDB-Tmmの国内標準規格化を先導した。また、7・8MHz諸国対応タスクフォースリーダ、デジタル放送普及活動作業班委員として、7・8MHz ISDB-Tシステムの検討を推進し、ISDB-Tの海外普及活動に尽力した。ITU-Rにおいては、WP6Aなどの会合に積極的に参加し、7・8MHz ISDB-Tのプランニング゙基準やISDB-Tmm/TSBの国際標準化に中心的な役割を果たした。これらの活動を通じ、ISDB-Tの海外展開に加えISDB-Tmmの国内外の標準化に多大に貢献した。
7 中西 健治/日本電信電話株式会社/アクセスサービスシステム研究所
2000年1月よりITU-T SG4(Telecom Management Network(TMN))に、2001年10月よりITU-T SG15(アクセス網及び光伝達網)に参加し、それぞれのSGでパッシブ光ネットワーク(PON)技術関連勧告Q,834シリーズ及びG.98xシリーズのエディタを務め、勧告群の完成に大きく寄与した。特にSG15においては2004年11月から2011年2月まで日本代表団団長を務め、日本代表団の円滑な運営やメンバステートとしての日本の意思表明など、国際標準化活動に積極的に貢献した。
8 広池 彰/株式会社NTTドコモ/ネットワーク部(一般社団法人電波産業会出向中)
1992年からITU-R TG8/1におけるIMT-2000国際標準化活動に積極的に参加し、日本からITU-Rへ提案したW-CDMA技術の国内における評価検討、取りまとめ、国際レベルでの方式統合・調整に多大な貢献をしている。2000年からはモバイルインターネット技術の国際業界標準作成・普及を推進し、2008年からはITU-R WP5DにおけるIMT-Advanced国際標準化に貢献するとともに、AWGのIMT-WG議長としてアジア太平洋諸国におけるIMT標準化・普及促進に寄与する等、多大な功績をあげている。
9 三留 隆宏/株式会社日立製作所/社会イノベーション・プロジェクト本部 ソリューション推進本部
これまで長きにわたり、準天頂衛星を含む衛星国際周波数調整及びITU-Rにおける国際標準化業務に従事しており、衛星の分野におけるサービスの安定化等に貢献している。具体的には、その専門的知見を生かし、ITU-R関連会合、WRC会合、APT-WRC準備会合等における、衛星業務に関する無線通信規則の改正の審議に積極的に寄与するとともに、特にRes.609コンサルテーション会合では議長を務め、国際的な周波数の割当てや調整手続の策定に多大な貢献を果たしている。
10 森田 直孝/NTTアドバンストテクノロジ株式会社/ネットワークテクノロジセンタ
1991年からITU-T(旧CCITT)の活動に参加し、SG13 Q5及びQ10ラポータ、FG-NGNにおけるアーキテクチャWGのリーダ及びNGNアーキテクチャ文書(後の勧告Y.2012)の主幹エディタ、2005年からSG13副議長、SG13 WP3及びWP5議長、FG-FN議長を歴任している。この間、B-ISDNの標準化、IMT-2000関連技術であるAAL2の標準化、Y.2012を初めとするNGN主要勧告の整備、将来網の目的と設計目標を定めた勧告Y.3001の完成等に多大な貢献をされた。近年は、IoT-GSI及びFG Cloudにも参加し、将来網の包括的な標準化に寄与している。さらに、国内においても、TTCのB-ISDN専門委員会及びNGN&FN専門委員会委員長、標準化会議副議長を務め、我が国の意見を国際標準化活動の場に反映させるために尽力されている。
国際協力賞(8人)
1 飯島 幸雄/元日本電信電話株式会社
スリランカ郵政省にITU電気通信専門家として2年間、ケニア郵政省にJICA電気通信専門家として3年間赴任し、電気通信網拡張計画の策定等の技術協力を行った。また日本電信電話公社ジャカルタ駐在事務所長として4年半、インドネシアに対する技術協力活動に従事した。ISDN国際共同研究会、後にアジア情報通信基盤研究会の設立に関し、関係各国を訪問して組織、規約、運営方法の協議を行い、設立後は同会の運営責任者を7年間つとめ、退任に際しては同会の名誉会員に推薦される。
2 岩田 秀行/日本電信電話株式会社/研究企画部門
APTの人材開発プロジェクト及びICTパイロットプロジェクトにおいて、ICTを活用して社会的課題を解決するプロジェクトを日本側の責任者として実施し、途上国のICT利用に多大な貢献を行った。インドネシアでの住民の健康基礎データの共有のための無線ネットワーク構築、カリマンタン島での泥炭火災抑制のための環境センサーネットワーク構築、フィリピンでの養殖魚酸欠死を抑制するためのセンサーネットワーク構築等を行うとともに、日本の先駆的なICT利用のケーススタディを紹介した。ASTAP(アジア・太平洋電気通信標準化機関)の標準化格差解消WGでは、WG副議長として、これらのケーススタディのアジア太平洋各国への普及と利用基準の作成を目指した検討を行い、先進国と途上国の標準化格差の解消に尽力した。
3 大桃 善一郎/元財団法人KDDエンジニアリング・アンド・コンサルティング/コンサルティング部
1967年から1976年まで、および、1986年から1989年まで、途上国の電気通信技術者の研修において、講師として技術指導を実施し、その後1992年から1997年まで、および、2008年から現在まで、電気通信システムの整備・発展に寄与する海外ODAプロジェクトのコンサルティング業務に通信技術者として従事し、我が国の国際協力に多大な貢献をしてきた。
4 亀山 渉/早稲田大学/大学院国際情報通信研究科
1995年から現在に至るまで、ISO/IEC JTC1/SC29/WG12でプロジェクトエディタや議長等を努められるなど、マルチメディア技術の国際標準化に貢献された。また、昨年9月に総務省が実施したタイにおけるワンセグ・IPTVの国際展開のプロジェクトやフォーラム及びデモンストレーション等に協力するなど、我が国ICT分野の国際協力に貢献されている。さらに、早稲田大学大学院国際情報通信研究科長として、中国、韓国など海外の大学やタイ、サウジアラビアなどの研究機関、政府機関と連携した様々なプロジェクトを実施するとともに、多くの留学生や国際的な人材の育成に尽力されている。
5 佐竹 正博/財団法人海外通信・放送コンサルティング協力/事業部門
35年以上の長きに亘り、途上国の電気通信網整備事業に従事し、20ケ国以上で多数のプロジェクトを担当。特に、1980年からはマラウイ共和国及びガーナ共和国のアフリカを中心にデジタル無線方式の導入に貢献した。現在、バングラデシュ人民共和国の通信ネットワーク改善事業(TNDP)を担当中である。
6 篠原 浩一郎/特定非営利活動法人(認定NPO 法人)BHNテレコム支援協議会
途上国の貧しい人々や災害・紛争被災者に対する先進国の人道支援が、衣食住といった物質的なものに偏在していることに対し、人間としての生存に不可欠な情報分野の支援の重要性を提唱したNGO、BHN テレコム支援協議会に設立当初から関り、同会において中心的な役割を果たして情報通信を活用した国際的人道支援活動を通じて貧困や災害などにより情報から断絶している多くの人々に貢献した。
7 高島 武司/元日本電信電話株式会社/国際部
長期的には、ホンジュラス電気通信公社(HONDUTEL)およびニカラグア電気通信公社(ENITEL)の2カ国へ、国際協力事業団(JICA)の電気通信専門家として赴任し、各国3年間、計6年間に亘り、電気通信網整備計画策定等の指導に当たった。また、短期的には、モンゴル国での電気通信セミナーおよび中華人民共和国での電気通信網整備計画調査、中南米諸国ルーラル電気通信網調査等、国際協力業務に参画し、各々の国の電気通信技術の発展に大きく貢献した。
8 高橋 泰雄/YTC企画
多年にわたり、我が国の地上デジタル放送方式(ISDB-T方式)の海外普及を目指し、セミナーでの講演やデモンストレーションの実施など現地での協力を精力的に行い、我が国の地上デジタル放送に関する啓発活動のみならず、技術的優位性等を示すなど普及活動の推進に尽力した。 特に南米諸国への普及活動が実を結び、ブラジル、ペルーをはじめとする南米諸国の地上デジタル放送方式としてISDB-T方式が採用されるにあたって多大な貢献をした。
国際活動奨励賞 功績賞対象分野(16人)
1 朝倉 薫/日本電信電話株式会社/環境エネルギー研究所
2009年からITU-T SG5において電力供給システムを検討する課題19のラポータを務め、高効率でかつ環境負荷が軽減できる「高電圧直流給電システム」の勧告化を主導している。また、ICT分野の給電システムの標準化計画の策定・運営により、環境に配慮したグリーンな給電システムの標準化活動に大きく貢献した。
2 有吉 正行/日本電気株式会社/システムプラットフォーム研究所
ダイナミックスペクトルアクセスに係るコグニティブ無線システムの標準化に対する貢献を行っている。2008年からIEEE 1900.4 WGに参加し、これまでに60件以上の寄書を入力して2009年2月刊行のIEEE 1900.4-2009標準仕様策定に貢献するとともに、2010年11月より同WG議長を務め、2011年9月刊行のIEEE 1900.4a-2011標準仕様策定を主導した。また、2010年1月よりIEEEStandards Association (SA) Standards Review Committee委員、2011年1月より同SA Standards Board委員に就任し、IEEE内の標準化プロセスの管理、運営に対しても貢献しており、更なる活躍が期待されている。
3 磯部 慎一/株式会社 NTTドコモ/研究開発センター ネットワーク開発部
2008年から移動通信システムの標準化、特に3GPPにおける次世代移動通信システムにおけるサービス要求条件の標準化に従事しており、緊急地震速報の国際標準仕様の早期策定への貢献、ハンドセット型LTE端末での音声サービス(CSフォールバック、VoLTE)におけるネットワーク輻輳時の発信規制制御、複数のデバイス間でのセッションモビリティの標準化を実現した。また、マシンタイプ通信端末の識別子の議論においては、諸外国のトレンドを踏まえつつ、国内の状況を適切に標準仕様へ反映することにも寄与している。
4 小川 博世/一般社団法人 電波産業会/研究開発本部
ITU-R SG5 WP5Aをはじめとする移動通信業務を中心に、ITUの関連会合に日本代表団として参加し、我が国の対処方針の下、海外の関係者との意見調整や日本提案の対応、報告書のとりまとめ等に関してご尽力いただいた。また、アジア・太平洋地域における世界無線通信会議(WRC-12)への準備会合(APG2012会合)においては、ドラフティンググループの議長としてWRC-15に向けた新議題の検討のとりまとめを行い、WRC-12においてはアジア・太平洋地域におけるコーディネーターとして他地域との調整にご尽力いただいた。引き続き、国際標準化への活動が期待される。
5 片桐 徹/株式会社富士通研究所/ネットワークシステム研究所ネットワーク方式研究部
2008年よりITU-T SG15 WP3 Q11におけるOTNに関連する国際標準化に参画している。伝送速度が100Gbit/sクラスの新規インタフェースを規定した第三世代のG.709 OTNインタフェース勧告に対して、日本国内の通信機器および測定器ベンダとの連携を深め、国内のOTN技術提案の合意形成をリードしながら約30件の寄書提案を行った。日本発の100Gbit/s OTN技術が世界に普及するために、本勧告の国際標準化の策定に貢献している。今後、Beyond 100GbEthernetに対応する次期OTNインタフェース勧告の国際標準化への貢献が期待される。
6 門林 雄基/奈良先端科学技術大学院大学/情報科学研究科
2008年9月からITU-T SG17における情報セキュリティ分野の標準化活動に参加して積極的に寄与しており、特に2009年2月からは課題4(サイバーセキュリティ)のアソシエイトラポータとして精力的に活動しており、今後も継続的な貢献が期待されている。特に、情報セキュリティに関係する組織間の円滑かつ安全な情報交換に必要な諸要件の標準化を目的とした「サイバーセキュリティ情報交換フレームワーク(CYBEX)」に大きく貢献している。CYBEXは、基本的なフレームワークを定めるX.1500(X.cybex、サイバーセキュリティ情報交換フレームワーク)を中心に、30以上の勧告群が作成される予定であり、門林氏は本件の勧告化作業の中心として大きく貢献している。
7 岸山 祥久/株式会社NTTドコモ/研究開発センター 無線アクセス開発部
2005年から現在に至るまで,3GPPにおける第3.9世代(LTE),第4世代(LTE-Advanced)の移動通信システムに関する標準化活動に継続的に寄与している.特に,LTEにおける無線アクセス方式,無線パラメータ,参照信号,同期信号,ランダムアクセス,制御チャネル,送信電力制御などの物理レイヤの基本設計,およびLTE-Advancedにおけるキャリアアグリゲーションや参照信号の拡張等についてシミュレーション評価を含む詳細な検討を行った寄書を多数入力し,かつ多くの提案が標準規格に採用され,3GPPにおけるLTE/LTEAdvancedの標準仕様策定に貢献した.
8 厚東 肇/日本電気株式会社/キャリアネットワーク企画本部
1989年からITU-T SG8に出席し、ファクシミリの技術基準に関する提案を行うとともに、ISDN関連勧告の編集事務局を担当し、勧告策定に大きく寄与した。また、2008年のWTSA-08では、通信機器のITU-T勧告への適合性や相互接続試験の実施について日本の取組を紹介し、ITUとして検討すべき課題を提起するなど審議の促進に多大な貢献を行った。さらに、2009年のGSC会合では、ITU-Tと標準化団体の協調方針を提案し、ドラフティンググループのリーダとして決議をとりまとめた。日本で開催される標準化団体会合についても主催者として会議運営に従事するなど我が国の国際標準化活動に貢献しており、今後も更なる活躍が期待されている。
9 近藤 芳展/NTTアドバンストテクノロジ株式会社/ネットワークテクノロジセンタ標準化推進・技術調査部門
1995年から、ITU-T SG15に参加し、光ネットワーク、メタルネットワーク、ホームネットワークに関する標準化に貢献しており、特にホームネットワーク向け統一規格「G.hn」としてG.9960に日本の技術仕様の盛り込みを達成した。また、2010年10月から、ITU-T FG Smartにおいてスマートグリッドのアーキテクチャ文書の共同エディタを務め、ITU-Tにおける長年の標準化活動の経験を活かして他国との調整を行うなど成果文書の完成に多大な貢献を行った。今後も、我が国のスマートグリッドやホームネットワークの標準化のために益々の活躍が期待される。
10

関口 俊一/三菱電機株式会社 情報技術総合研究所/映像情報処理技術部 高能率符号化方式グループ

ITU-T勧告H.264規格の”Professional Profiles”に対応する参照ソフトウェアパートのエディタを担当した。また、ITU-T SG16/Q.6とISO/IEC MPEGにより共同で規格化が進められているHEVC(High Efficiency Video Coding)の活動において、規格参照実装となるテストモデル文書の公式エディタを担当中。
11 高橋 健志/独立行政法人情報通信研究機構/ネットワークセキュリティ研究所 セキュリティアーキテクチャ研究室
ITU-T SG17におけるサイバーセキュリティ関連の標準化活動に参画し、主に、サイバーセキュリティ情報交換技術に関する勧告の策定に積極的な寄与を行っている。主な成果として、情報交換フレームワークを定めたX.1500、ネットワーク上での情報発見手法を定めたX.1570、そしてトレースバック技術のガイドラインを定めたX.1205 Supplement 10のエディタを歴任し、それらの勧告制定に大きく貢献した。今後も、本分野での積極的な活動が期待されている。
12 中島 和秀/日本電信電話株式会社/アクセスサービスシステム研究所
ITU-T SG15のQ.5(光ファイバの特性と試験法)、並びにQ.8(海底ケーブルシステム)において、光ファイバシステムの勧告群の制改訂に多大な貢献をした。特に、各種光ファイバとその試験法勧告の改訂、光海底ケーブルの新規勧告化、並びに相互接続を考慮した新たな海底システム勧告の策定等に貢献した。2009年からはQ.5ラポータとして、世界各国で使われ始めている低曲げ損失光ファイバに関する勧告の改訂を主導しており、光ファイバシステム関連課題の発展に寄与するとともに、更なる活躍が期待される。
13 松本 延孝/株式会社KDDI研究所/統合コアネットワーク制御グループ
ITU-T SG13において、NGNサービスの発展と普及を促進するため、NGNのQoS制御を司る機能であるリソース受付制御機能(RACF)のアーキテクチャ及び事業者間連携に関する研究を行い、勧告化に貢献した。特に、RACFアーキテクチャ勧告Y.2111の第二次改訂においては、筆頭エディタとして、ITU-T NGN以外のネットワークとの連携やIPTVサービス拡張に関する要素技術の研究を行い勧告に反映させるとともに、関係国間の意見調整や勧告の内容整備を精力的に行い、円滑な勧告化の達成に大きく貢献した。
14 水谷 昌彦/株式会社日立製作所/通信ネットワーク事業部ソフトウェア開発本部プラットフォーム設計部
ITU-T SG15におけるトランスポート技術の標準化活動に参加し、光アクセス技術及びパケット通信技術の標準化に貢献した。特に、光アクセス高速化の検討に於いて10GEPON市場の創生と標準化推進に大きな影響を与えた。更にイーサネット網を主な対象とするOAM技術、プロテクション切替技術の標準化に積極的な寄与を行い、今日、世界規模で導入が進む高信頼パケット通信網を支える主要技術の規格策定に貢献した。G.8001初め3勧告のエディタを務めており、今後もさらなるITU-T活動への貢献が期待される。
15 村山 研一/日本放送協会/放送技術研究所 放送ネットワーク研究部
ITU-R SG6春季および秋季ブロック会合において、各国放送のデジタル化推進に不可欠な勧告BT.1368「地上デジタル放送のプランニング基準」改訂を行うとともに、新勧告BT.[ETMM]「VHF/UHF帯携帯向け移動受信用地上マルチメディア放送の伝送システム」を策定した。また、日本のデジタル移行に関する記載を更新したアナログ放送からデジタル放送への移行レポート改訂に大きく貢献すると共に、米国でのATSCシンポジウム、マレーシアでのABU DVB-T2ワークショップ、日伯DTVシンポジウムにおいて、次世代地上放送に向けた大容量伝送技術などの先進的な日本のアクティビティを国際的に示した。
16 山本 秀樹/沖電気工業株式会社/通信システム事業本部 キャリアシステム事業部映像事業推進部
IPTV標準化活動に初期から参加し、「IPTV視聴者の視聴情報に関する標準化」という分野を新たに切り開いた。現在、ITU-TSG16エディタとしてIPTV標準化を推進し、IPTV関連勧告策定に貢献している。また、視聴情報の利用は、より視聴者にとって使いやすいサービスの提供に資するものであるが、ITUや地域標準化団体において十分な検討がなされていない状況から、世界標準の必要性を2007年から提唱し、寄書提出・啓蒙活動を実施している。

国際活動奨励賞 国際協力賞対象分野(6人)

1 大沢 潤一/財団法人 KDDI財団/国際協力部

APTのICT人材育成ならびにパイロット導入のプログラム等を通じてデジタル・デバイドの解消、社会生活レベルの向上、ICT関連知識の蓄積等のため、ルーラル地域に合ったネットワークの設計・パイロット構築、教育・医療等のアプリケーション導入などを実施してきた。また、APT等の国際会議参加、海外研修講師を通して、途上国へこれらノウハウや情報の提供を行ない、デジタル・デバイド解消や通信環境改善に継続的に貢献してきた。

2 川井 正人/株式会社 NHKアイテック/海外事業部
2002年から現在まで、一貫して発展途上国の放送施設の整備・発展に寄与するODAプロジェクトのコンサルティング業務に従事し、6カ国8案件に及ぶわが国の国際協力の現場で多くの業績を残した。特に2004-5年のアフガニスタン国営放送局施設整備や2006年から続くベトナム国営放送局新放送センター建設プロジェクトにおいては、現地常駐プロジェクトマネージャーとして国際協力活動の最前線で指揮を執り、放送建築と放送機材を含めた放送施設建設全体の総合的なマネージメント力を発揮し、途上国の放送網の拡大、番組品質の向上など対象国の放送事業の発展に大きく貢献した。
3 サンティアゴ ジェームス/一般社団法人 電波産業会
フィリピンに対する官民合同での地上デジタル放送日本方式の海外普及活動の中心メンバーとして取り組み、現地での普及活動において多大な貢献をされた。その結果、日本以外にアジアでは初めてフィリピンで地上デジタル放送日本方式の採用が決定されるに至った。
4 友田 昌秀/特定非営利活動法人 (認定NPO 法人) BHN テレコム支援協議会
企業で担当したソフトウェア開発を通して培ったパソコン操作の知識を活かして、JICA 青年海外協力隊員としてパキスタンに赴任、また主として国際協力を行うNGO、BHN テレコム支援協議会(BHN)の支援活動に参加し、紛争で荒廃したイラクやアフガニスタンの難民やインドネシアの津波被災地への復旧・復興に資する支援活動尽力した。今後もBHN が行なう自然災害被災者・紛争難民への緊急人道支援や発展途上国の地域開発などに寄与する情報通信を活用した国際協力事業に対し、数少ない若手の支援実施要員として大いに期待されている。
5 西 夘助/株式会社エヌ・ティ・ティ ネオメイト/九州支店 現場力向上推進部 九州テクノカレッジセンタ

1990年12月から2年間青年海外協力隊員としてインドネシアのPTTELKOMで電気通信所外設備の技術指導に従事し、同国の電気通信技術発展に大きく貢献。またJICA短期専門家としてチリでの第三国研修の講師として光ファイバ技術を担当し、チリおよび中南米各国の通信分野での技術向上に貢献。更に国内において、JICA及びAPTの海外研修員受入事業に従事し、研修の企画・運営のみならずIP技術の研修講師としても活躍し、途上国の電気通信事業の技術者育成及び各国との友好関係構築に大きく貢献。今後も国際協力の分野での活躍が期待される。

6 吉見 智文/日本放送協会/技術局計画部
我が国の放送専門家として、官民合同で行われている日本の地上デジタル放送方式(ISDB-T)の国際的な普及活動に取り組み、モルジブを中心に各国におけるISDB-T方式の採用決定に多大な貢献をした。また、これにより、我が国のITU-Rでの国際標準化活動の円滑化にも貢献した。