令和元(2019)年度 受賞者功績概要

(敬称略・所属は推薦時)

総務大臣賞(1件)  
1

 

伊藤 泰彦 /元 KDDI株式会社  
 長年にわたり、ITU-R活動に従事し、我が国のITU-R標準化活動、プレゼンス向上に多大な貢献をされた。1993年より2003年までITU-R SG4議長・副議長を務め、各国の衛星の技術、運用等の幅広い共通問題調整に尽力した。2011年から8年間は、手続き規則の承認や関係主管庁からの有害な混信事案の調査に関する審査を行う無線通信規則委員会(RRB)委員に選出され、幅広い無線技術知見に基づき、数々の複雑な問題事項の解決にその手腕を発揮した。その貢献は諸外国からも高く評価されており、結果、RA-03議長、WRC-15の際のRRB議長にも選出され、ITU-R活動の発展の中核的役割を果たした。  
日本ITU協会賞 特別賞(1件)

1

若宮 正子 /メロウ倶楽部/NPO法人ブロードバンドスクール協会
 定年退職後、自らが実践的にパソコン、プログラミング等ICT技術の習得に努め、シニア層への展開に積極的に取り組んでいる。1999年にはシニア世代向けサイト「メロウ倶楽部」の創設に参画し、現在は副会長を務める。「NPO法人ブロードバンドスクール協会」にて、理事としてデジタル機器普及・応用活動に尽力した。2016年にシニア向けiPhone用アプリケーション「ひなだん」を開発。積極的な講演活動をする中、2017年にはApple社のイベントWWDC2017(Worldwide Developers Conference)にiPhoneアプリ開発者サプライズスペシャルゲストとして招待された。  
日本ITU協会賞 功績賞(14件)  
1 相澤 紘史 /特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会  
 11年余NTTにて、中南米各国の情報通信分野での国際協力、通信網の拡充、技術水準向上のための人材育成活動に従事。その後BHNにて、9年余ハイチ、バングラデシュ等世界各地の被災者支援事業に従事し、現在もミャンマーの紛争被害者支援事業をプロジェクト・マネジャーとして実施しており、SDGs実現に向け貢献している。  
2 阿部 宗男 /三菱電機株式会社 通信システム事業部  
 世界無線通信会議(WRC)にAPT加盟国の意見を反映させることを目的とするAPG会合に、2000年より継続して活動。2008年から現在までAPG WG議長を務め、APT地域内の意見統一に貢献。さらに2012年WRC会合では第5委員会の議長を務めるなど、アジア・太平洋地区のみならず世界の衛星通信分野の標準化をリードしている。  
3 ウン チャンホク /日本電気株式会社 ワイヤレスアクセスソリューション事業部  
 1999年から移動通信システムのネットワークアーキテクチャの標準化を行う3GPP RAN-WG3に継続参加。WCDMA/LTE/LTE-Advancedの標準化に関する副議長を務め議論を推進。5G標準化では無線ネットワークの技術仕様のラポータを務め、標準仕様策定及び完成に貢献する等、国内外で標準活動の功績が顕著である。  
4 大沢 潤一 /公益財団法人KDDI財団 技術部  
 カンボジア国メコン地域通信基幹ネットワーク整備計画のODAプロジェクト(CP-P5)に伝送担当コンサルタントとして参加。2010年から2018年10月のプロジェクト完遂までコンサルティング業務を遂行。カンボジア国におけるIP通信網の拡充により、最先端のICT環境の提供(SDGs 9.)に貢献している。  
5 柏 大 /エヌ・ティ・ティコミュニケーションズ株式会社 技術開発部  
 世界初のSDN標準化組織であるONF及びSDNオープンソース開発プロジェクトであるONOS/CORDのBoardmemberを歴任。標準化とオープンソース開発を融合した新戦略で業界を牽引。伝送ネットワークを標準技術でSDN化する世界最先端の取組みであるODTNプロジェクトを立上げ、プロジェクトの連携を推進している。  
6 加藤 康博 /一般社団法人電波産業会 研究開発本部移動通信グループ  
 ITU-R WP5D/APT会合等に日本代表団として電波利用の産業界を代表する立場で参加し、主にIMTに関する各種勧告等の策定に貢献。WP5Dの第三地域(APT地域)ラポータとしてAPT各国の連携の推進に寄与。3GPPのマネジメント活動に継続的に関与し、5G方式の名称の国内合意形成等で貢献した。  
7 河原 敏朗 /株式会社NTTドコモ R&Dイノベーション本部  
 無線アクセス開発部無線ネットワーク方式担当移動通信におけるマルチメディア通信の実現のため、ITU-Tにおいてマルチメディア通信プロトコルの移動通信拡張標準化、ならびにMPEG-4において誤り耐性映像・音響符号化の標準化に積極的に寄与。また3GPPではLTE標準化および実用化に貢献。あわせて新規の移動通信プロトコル標準化団体O-RANの立ち上げに尽力した。  
8 川森 雅仁 /慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科  
 ITU-TとITU-Rの関係するアクセシビリティ技術向上に向けたITU内での一元的な標準化に貢献。ITU-T SG16ではラポータとして、WHOと協力しsafe-listeningの標準や障がい者や高齢者のための情報アクセシビリティ向上のためのマルチメディア、プロトコルや脳情報PFの標準化を推進。また、IPTVを活用したアクセシビリティーサービスの提供に尽力している。  
9 串田 薫 /東日本電信電話株式会社  
 JICA専門家として6年半にわたり電気通信の技術移転に従事。この間セミナ及び研修センタにおける訓練コースの開発・講義の実施による人材育成に取り組み、当該国の電気通信技術の普及に大いに貢献。その後もNTT東日本のバックヤードで長期にわたり専門家、協力隊の支援活動を実施した。  
10 田中 進 /八千代エンジニヤリング株式会社 事業統括本部海外事業部施設部  
 ボツワナ共和国における日本の地上デジタル放送(ISDB-T)の普及促進のため、2都市(ハンジ、マウン)でアナログ停波(ASO)リハーサルの実施を支援し、成功させる等、同国でのアナログ停波の適切な施行及びASOに向けた普及啓発活動に大きく貢献した。  
11 千村 保文 /沖電気工業株式会社 経営基盤本部  
 2018年5月のASTAP会合まで、防災専門家会議(EGDRMRS)の議長を務め、我が国とアジア諸国において共同で検討を進めてきた自動車通信を用いた防災システム(V-HUB)の勧告化に貢献。2018年10月のAPT管理委員会においてV-HUBの勧告化が承認され、ASTAPの2件目の勧告として策定され、我が国のプレゼンス向上に貢献した。  
12 中尾 康二 /国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所  
 10年以上に亘り、ITU-T SG17副議長、およびWP議長としてサイバーセキュリティの国際標準化を推進。さらに、近年重要な課題となっている、IoTセキュリティ、ITSセキュリティに関する検討をSG17において新規に立ち上げ、新規課題の発掘、および活動範囲の開拓を推進・牽引してきた。  
13 林 正之 /株式会社NHKアイテック 海外業務  
 約20年間に亘り、インド、ベトナム、チュニジア、ミャンマー等のODA放送整備案件を通じて国際貢献活動に従事。対象国国民へ情報を安定して供給するために、高い技術力を背景に近代化を見据えた最適な放送システムを構築した。その活動は現在も続けられ、被援助国の放送・情報通信の発展に対する貢献度は極めて高い。  
14 三宅 優 /株式会社KDDI総合研究所 スマートセキュリティグループ  
 2005年からITU-T SG17の活動に参加し、P2Pセキュリティ、モバイルセキュリティ、迷惑メール対策等の勧告化等を主導。2009年からIoT/ユビキタスセキュリティを担当する課題6(ユビキタス通信のセキュリティ)のアソシエイトラポータ、2017年からSG17副議長、WP1(電気通信セキュリティ)の議長としてセキュリティ分野の国際標準化活動に現在も貢献している。  
日本ITU協会賞 奨励賞(22件)  
1 石井 美波 /一般社団法人電波産業会 研究開発本部移動通信グループ  
 2016年から日本代表団の一員としてITU-R WP 5Dの全7会合に参加。IMT-2020等に関するITU-R勧告・レポートの策定、改訂の促進および日本提案の勧告・レポートへの反映に貢献。今後、ITU-R以外の会合でも国際標準化活動への貢献が期待できる。  
2 市川 栄一郎 /東日本電信電話株式会社 東京オリンピック・パラリンピック推進室  
 青年海外協力隊として2年間にわたりジャマイカでのICT人材育成に従事。JICA沖縄国際センタでは3年半にわたり世界各国からの研修生に対して技術指導を実施し当該国のICT普及に大いに貢献。今後も経験を活かし、国際協力案件の形成が期待される。  
3 井出 博之 /国際協力機構  
 ラオス、モンゴル、インドネシアなどアジア諸国を中心にして、ICT人材育成やサイバーセキュリティの国際協力を主導。対象国のICTに関するキャパシティビルディングに貢献。今後も、ICT人材育成やセキュリティ分野の国際協力を通じ、開発途上国の社会的発展やSDGs達成に向けた継続的な寄与が期待される。  
4 臼井 健 /株式会社KDDI総合研究所 モバイルネットワークグループ  
 3GPPで5Gコアネットワークと端末のポリシー制御の仕様策定に多大な貢献を行い、5G普及につながる標準化に寄与。ユーザーが複雑な端末設定をせずに最適なネットワークへの接続が可能となり、大容量通信を間欠的に行うコネクテッドカーの効率的な収容方式も仕様化。多様な5Gサービスの拡大が期待される。  
5 内山 智子 /特定非営利活動法人シャプラニール =市民による海外協力の会 バングラデシュ事務所  
 長年バングラデシュを中心に草の根の立場から国際協力に従事。サイクロンが多発するハティヤ島でコミュニティラジオによる災害情報提供を活用した地域住民災害対応能力強化に取り組み、SDGsの実現に向け貢献した。現在もシャプラニール現地事務所長として国際協力に取り組んでおり、今後も活躍が期待される。  
6 甲斐 創 /日本テレビ放送網株式会社 技術統括局技術開発部  
 ITU-R SG6関連会合において日本代表団メンバーとして継続的に参加し、HDR-TVの勧告化に主体的に寄与。また電波産業会(ARIB)など関連団体にて放送分野の国内標準化やSG6への日本寄与文書作成に寄与するなど、放送の観点からITUにおける国際標準化活動に引き続き貢献が期待される。  
7 菅野 敦史 /国立研究開発法人情報通信研究機構  
 ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室2009年より光ファイバ無線(RoF)を活用した高速無線通信技術や空港滑走路面監視レーダ技術などの開発を推進。国内外におけるRoF技術の普及促進に向け、ITU-TSG15で標準化に取り組み、RoF技術の新規勧告G.RoFの策定に貢献。現在においても、ITU-T、APT、IECにおいて、光ファイバ無線技術標準化に継続して貢献しており、今後もその活躍が期待される。  
8 久野 友也 /株式会社 NTTドコモ R&Dイノベーション本部 ネットワーク開発部 ネットワークオーケストレーション担当  
 オペレーションシステムやネットワーク仮想化(NFV)システムの商用開発経験や知識を活かし、実運用を考慮したマルチベンダNFVシステム構成でのI/F議論を推進。I/F仕様の早期凍結実現、相互接続性確認を容易に実施するためのテスト仕様議論の推進にも貢献。将来、本標準I/Fに準拠したNFVシステムによる商用網構築の加速が期待される。  
9 近藤 宏国 /公益財団法人KDDI財団 技術部  
 カンボジア国メコン地域通信基幹ネットワーク整備計画のODAプロジェクト(CP-P5)に電力および局舎担当コンサルタントとして参加。2016年から2018年10月のプロジェクト完遂までコンサルティング業務を遂行。カンボジア国におけるIP通信網の拡充により、ICT環境の提供(SDGs 9.)に継続して貢献する事が期待される。  
10 佐々木 元晴 /日本電信電話株式会社 アクセスサービスシステム研究所  
 2012年よりITU-R SG3に参画し、5Gシステム向けの100GHzまでをスコープとした高周波数帯電波伝搬モデル策定を牽引。また各種無線通信システムの周波数共用検討に資する電波伝搬モデルの標準化に貢献。2014年より屋内システムの電波伝搬特性推定法の検討に携わり、国内外へ広く影響力をもった活動が期待できる。  
11 竹内 真也 /日本放送協会 放送技術研究所 ネットサービス基盤研究部  
 日本が先駆的に取り組んできた放送通信連携(IBB)サービスを実現する技術仕様である「テレビとIoT機器を容易につなぐ端末連携技術」や「IBBによる4K映像配信技術」等をITU勧告化および報告書化し、世界の放送・通信分野の発展向上に貢献。今後もIBBの専門家としてITUへの貢献が大いに期待できる。  
12 武田 篤 /株式会社フジテレビジョン 技術局技術開発部  
 2016年よりITU-R SG6会合に参加。最新映像符号化技術H.265(HEVC)による4K8K番組制作時の所要伝送レートに関する勧告や、放送と同時4K配信等の放通連携事例レポートの策定に寄与。4K8K番組の普及には機器間接続等の共通化が不可欠であり、引き続き同分野の国際標準化において活躍が期待される。  
13 武田 一樹 /株式会社NTTドコモ 5Gイノベーション推進室  
 3GPPにおいて、5Gの根幹ともいえる物理レイヤ制御チャネルの仕様策定リーダーを務め、商用要望を考慮した5Gの標準仕様化に大きく貢献。また、5G標準仕様エディタを務め、5G物理レイヤ要素技術の取り纏めに寄与。今後のモバイル技術・産業の発展に寄与することが期待される。  
14 中澤 進 /株式会社放送衛星システム 総合企画室  
 ITU-R SG4 WP4B会合に、21GHz帯を利用した衛星放送システムの研究開発の成果を寄与文書として提案し、衛星放送のシステムパラメータに関するレポートの改定に貢献。21GHz帯衛星ミッションの軌道上性能評価、衛星を利用した伝送実験を遂行。これらの活動は今後の衛星放送発展に寄与することが期待される。  
15 三谷 将 /日本放送協会 技術局計画管理部  
 放送および放送補助業務の使用周波数に関わるWRC議題において、他業務との周波数共用検討を技術的観点から主導すると共に、放送補助業務で利用する最新の周波数情報を整理し、関連するITU-Rレポートの改訂作業を推進。今後も国際標準化機関や国際団体での活躍が期待される。  
16 宮坂 拓也 /株式会社KDDI総合研究所 コネクティッドカー1グループ  
 2012年よりIETFにおいてACTN(Abstraction andControl of TE Networks)標準化の要求仕様に関する議論や5Gを構成するネットワークスライスのためのネットワーク制御技術に関する標準化に貢献。更にIETFで標準化普及に寄与する等、今後もネットワークシステムにおける主にルーティングエリアに関する標準化への貢献が期待される。  
17 村上 雅英 /株式会社NTTドコモ R&Dイノベーション本部 ネットワーク開発部 IMSコア担当  
 GSMAにおいてVoLTEローミング方式に関わるドキュメント改版及びIP相互接続に関するドキュメント策定を主導。世界に先行して自社でVoLTEローミングを運用した際に発生した接続性の問題を積極的に提示しドキュメントの質の向上に貢献。今後移動通信技術の国際標準化活動への貢献が期待できる。  
18 吉田 直人 /東日本電信電話株式会社 営業推進本部 営業部マーケティング部門埼玉センタ  
 青年海外協力隊やJICAコンピュータ研修事業を通じて開発途上国のIT技術向上や人材育成に貢献。また、ベトナム郵電公社との共同事業のビジネスプランを作成し、事業実現の加速化に貢献。現在は販売企画事業に従事しており、今後も開発途上国におけるビジネスベースの事業推進での活躍を期待できる。  
19 Welltool株式会社  
 途上国の社会発展に大きく寄与することが期待される多言語自動翻訳グループチャットシステムを開発。国際協力の推進やSDGs実現に向けて様々な可能性を展開。また、ITUやPTCなど国際的な場で積極的に情報発信を行っている。  
20 エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社  
 2013年に米国向けに開始した「ゲーム事業」は現在世界167か国へ配信。また、2004年開始の「電子コミック事業」は、日本・韓国に加え、順次世界展開を準備しており、世界の豊かな社会づくりに貢献。2018年には電子書店5社が日本電子書籍連合会を発足し、健全な電子書籍市場の発展への貢献を目指している。  
21 株式会社ゼウス  
 ICT社会で重要とされるSE人材育成の推進は途上国の発展を図るうえで重要であり、第一歩としてミャンマーで無償の日本語教育とプログラム・SE教育を行い現在までに25名のSEを育成。日本で2名の雇用を実現し、日本での人手不足解消とミャンマーICT業界の発展に貢献。ビジネス発展に大きく貢献できる基礎を作り上げた事は大きな功績として評価できる。  
22 株式会社タナビキ  
 ペルー等、日本の地上デジタル放送採用国における緊急警報放送システム(EWBS)導入・普及に向けて、対象国のニーズに適合した低コストで簡便なシステムを提案。デモンストレーションや現地技術者育成等を積極的に行い、EWBSの導入及び活用の意向がある採用国に対し、より便利なEWBS運用及び対応受信機の普及を推進し、EWBS導入・普及に大きく貢献した。  

 

以上