平成10(1998)年度 受賞者功績概要

一般賞(5人)

1

池田 佳和/ 国際電信電話株式会社 グローバルマルチメディア事業部
1976年以来、CCITT第11研究委員会(電話・ISDNの交換と信号方式)の活動に参加し、スペシャルラポータとしてNo.7信号方式を中心に多くの勧告策定に貢献した。特に、信号点ポイントコードの番号計画に着いては分科会議長として主導的役割を果たした。また、1992年より1996年までKDDジュネーブ事務所長として、世界電気通信標準化会議、テレコムなど、ITUの主要会議、行事に日本の関係機関との調整、開催への支援に貢献した。

2

北見 憲一/ 日本電信電話株式会社  通信網総合研究所
1977年より、CCITTにおいてディジタル加入者線信号方式およびNo.7信号方式の標準化に一貫して携わり、合同エキスパート会合の副議長として、関係国の調整を図るなど、ISDN等に向けた勧告の作成に幅広く活躍した。1997年1月からは、第11研究委員会第1作業部会(広帯域マルチメディアネットワーク)の議長に就任し、1998年1月には、同会合を高知市で開催、10項目の勧告素案をまとめ、国際標準推進に貢献した。

3

富田 修二/ NTTヨーロッパ株式会社

1976年ITUの活動に参加し、1984年からは3期12年にわたりCCITT・ITU-T第7研究委員会(データ通信網)副議長および同第2作業班の議長を務め、データ通信網、特に、パケット網、ISDNでのパケット通信、フレームリレーなどに関する勧告の作成に専門家として貢献した。また、電気通信技術審議会第7研究委員会委員を20年にわたり務め、国内意見の取り纏めや、日本寄書作成、若手活動家の育成に務めた。
4 矢橋(古屋) 隆/ 日本放送協会 技術局計画部
1990年より、ITU-R WP10-11S(衛星放送業務)、同CPM(WRC準備会合)、ヨーロッパ放送連合(EBU)技術委員会衛星放送サブグループなどの会合に参加し、世界無線通信会議(WRC)に向けての会合文書作成に寄与した。また、1992年世界無線通信主管庁会議、1994年京都全権委員会議、WRC-95、97などITUの重要な会議に参加し、12GHz帯衛星放送プランの見直し、日本の衛星放送の周波数確保・維持などに多大の貢献をした。
5 水池 健/ 国際電信電話株式会社  研究所
1995年より、ITU-R SG8 WP8Dをはじめ、SG8、RA、WRCの会合・会議に参加、非静止衛星による移動衛星業務の実用化に伴う他業務との周波数共用に関する活動の推進、WARCORB85、同ORB88における静止衛星軌道の有効利用に関する方策の策定支援などに尽力した。1997年6月にはITU-R WP8D議長に指名され、さらにRA-97においてはSG8(移動業務)の副議長に選出されるなど、移動業務関連の標準化活動に多大の貢献をした。
著作賞(1人)
1 畠山 裕爾/ NTTアドバンステクノロジ株式会社
ITU-D(電気通信開発部門)の第1期(1995~98)研究委員会活動に参画し、寄書作成、ハンドブック(旧GAS)編集に当り、同部門の円滑な活動開始に貢献した。特に、ハンドブック編集に着いては、日本国内の取り纏めに務めると共に、自らもIN、ネットワークマネジメント、アクセスネットワークなどの寄書を作成、途上国への日本の技術協力をアピールした。また、ITUテレコム活動にも積極的に取り組み、PHSなどの日本の技術普及と途上国の電気通信開発に寄与した。)
国際活動奨励賞(5人)
1 加藤 久和/日本放送協会 放送技術研究所
1993年以来、ITU-R JWP10-11S会合を中心に参加し、特に12GHz帯衛星放送システムの検討に対してディジタル衛星放送の技術内容を寄書化するなど積極的な活動を行ってきた。また、12GHz帯衛星放送プラン見直しに向けて、気候区分を考慮した輻射電力見直し手法の提案、その手法を取りいれたコンピュータ・ソフトウエアをITU-Rへ提供した。これらは、WRC-95での衛星放送プランの技術パラメータ改訂に反映され、されにWRC-97での衛星放送プラン見直しの中で活用された。引き続き新しい日本方式の勧告化に向けて活動を行っている。
2 柴田 達雄/国際電信電話株式会社 ネットワーク計画部技術標準グループ
1987年からCCIR SG4(固定衛星業務)固定衛星業務ハンドブックグループ会合にエディタとして出席、1996年にはITU-TのGIIに関するジョイントラポータグループ会合に参加した。1997年からはITU-T(電気通信標準化)アドバイザリグループの第3作業部会において、ITU以外の標準化機関との電子的文書交換を専門的に審議する第3ラポータグループに参加し、現在議長を務める。今後も引き続きITUの標準化活動の分野においての貢献が期待される。
3 清水 勉/TBS  開発局
多年にわたり、HDTV補助信号、525順次走査方式、BSディジタル放送の映像符号化方式など、スタジオ規格、放送方式の開発・国内標準化活動に従事、貢献してきた。これら実績を元に、1990年のCCIR IWP11/9(放送と非放送応用の調和)会合に参加し、以来ITU-RのSG10(音声放送)、SG11(テレビジョン放送)およびITU-T SG9(テレビジョンと音声放送)の諸会合に参加し、寄書、勧告案の作成、欧米からの会合参加者との調整など、日本で開発された方式の国際標準化に貢献している。
4 進藤 喜彦/日本電信電話株式会社 研究開発本部
1994年より、アジア・太平洋電気通信共同体(APT)の研究委員会ラポータとして活躍し、アジア・太平洋地域のパーソナル通信、WLL(Wireless Local Link)の技術普及、啓蒙に貢献してきた。1997年からはITU-R WP8A-9B合同ラポータ委員会として、WLLの勧告作成に向けてリーダーシップを発揮し、積極的に活動している。今後も、ITU-R WP8A-9B合同ラポータ委員会およびAPT標準化プログラムWLL専門委員会のラポータとして国際・地域標準化への貢献が期待される。
5 薮崎 正実/NTT移動通信網株式会社  研究開発部
1991年よりITU-T活動を開始し、SG11においてIMT-2000(FPLMTS)サービスフィーチャ、網アーキテクチャ、アクセス系、ノード系信号方式検討体制の確立への貢献および標準化に寄与するとともに、SG1においてもUPTサービスの標準化に寄与している。併せて、国内標準化活動および地域・国外諸標準化機関との意見交換、情報交換も活発にしており、1999年末のIMT-2000信号方式標準化に向けてさらなる貢献が期待される。
国際協力賞(9人・団体)
1 ISDN国際共同研究会
1988年、ISDN国際共同研究会はアジア地域の次世代情報通信網の構築に関する諸問題を解決するため、日本の提唱により発足した。参加国は、日本、韓国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンの8カ国であり、事務局は日本にある。本研究会の活動により会員7カ国のISDN商用サービスが開始され、残るフィリピンも98年上期に開始予定である。また、発足以来20回の会合を開催し各国の情報通信関連技術者の育成と情報通信技術の高度化に貢献してきた。
2 片倉 昇吾/元日本情報通信コンサルティング株式会社  通信事業本部技師長室 専門部長
メキシコ等開発途上国10ヶ国で電気通信訓練センターで技術者育成、電話網拡充の計画や調査に携わり電気通信の発展に尽くした。
3 佐藤 悦朗/元日本情報通信コンサルティング株式会社  常務理事 通信事業本部技師長
32年余に亘り、アジア、中東、アフリカで電気通信コンサルタントとしてプロジェクトに従事した。スリランカで大コロンボ圏電気通信網開発計画でプロジェクトマネージャーとして参画しコンサルタントチームを指揮しスリランカ電気通信庁から深い信頼を得た。
4 杉浦 文雄/元日本電信電話株式会社  国際部 担当部長
昭和43年3年4ヶ月ペルー電気通信常設委員会および運輸通信省で無線設備の技術移転に従事した。昭和49年から3年10ヶ月ESCAP運輸通信部でITU専門家としてアジア電気通信網計画推進業務に従事した。55年から3年9ヶ月ペルー電気通信訓練センタープロジェクトのチームリーダを務めた。これらの業務を通じて途上国の電気通信開発に貢献した。
5 鈴木 廣雄/元NHKアイテック 海外事業本部 副部長
10数カ国の途上国でスタジオ設備技術、放送設備運用保守、放送局経営等の技術協力を行ない、経済性と運用性を重視した取り組みに途上国関係者から高い評価を受けた。
6 立澤 宏/元日本電気株式会社  技師長
平成2年から2年間フィリピン電気通信訓練センターでデジタル技術全般を指導した。昭和43年から4年間、ブラジルでマイクロ波通信網のプロジェクトの日本電気側責任者を務めこれを完成させた。
7 野元 清/元国際電信電話株式会社  職員部 調査役
カンボジアで国際テレックス施設建設計画に参画し国際回線を開通させた。南ベトナム電気通信訓練センター建設プロジェクトに参画し、現時技術者の育成を通じてプロジェクトを推進した。
8 松本 道夫/元日本電信電話株式会社  国際部 担当部長
タイ、ボリビア、パナマ等の開発途上国で人材育成に携わった。特に、タイ・ノンタブリ電気通信大学で講義を受け持つ傍ら教材整備を図るかたわら教材の整備を図り教官を育成しタイの電気通信発展に貢献した。
9 嶺 仁/元日本コムシス株式会社  海外本部インサイドプラント営業部 次長
5年の長きにわたりメキシコ運輸通信訓練センターでデジタル伝送技術者を育成するとともに伝送技術に関するスペイン語教材を多数作成した。