平成25(2013)年度 受賞者功績概要

総務大臣賞(1人)
1 津川 清一/KDDI株式会社/技術開発本部 標準化推進室標準戦略グループ
ITUの電気通信標準化部門第3研究委員会(SG3)の関連勧告の作成・改訂作業をはじめ、ITUにおける料金及び計算原則に関する活動の中心的役割を果たしてきた。2005年から2012年までの8年間、SG3の副議長としてITUに貢献し、特に2012年は、SG3WP2の議長として国際移動体ローミングに関する初めての勧告作成を取りまとめた。副議長としての貢献が評価され、SG3議長に就任した。また、国際電気通信規則(ITR)の24年ぶりの改訂が議論された世界国際電気通信会議(WCIT-12)においても、C5WG1(料金関係)の副議長として、我が国及び各国のために多大な貢献をした。
特別賞(1人)
1 渡辺 利夫/ 拓殖大学
長年にわたり途上国経済ならびにアジア経済に関する研究に従事され、アジア政経学会、国際開発学会をはじめ学会等での精力的な活動を通じ、開発経済学、アジア経済研究の第一人者として数多くのご功績を遂げられてきた。また、ODA等による途上国援助をはじめ、我が国の途上国支援の方向性や将来的な在り方について主導的な立場を担ってこられる一方、多くの著書が名立たる賞を授与されるなど社会的に極めて高い評価を得てこられた。特に近年、外務省内に設置された「国際協力に関する有識者会議」の議長として、途上国支援のあり方に関する報告書の策定に尽力され、これにより我が国の国際協力分野における重要課題に関する指針を示されたご功績は特筆に値するものである。
功績賞(9人・団体)
1 淺谷 耕一/工学院大学/工学部 情報通信工学科
1989年から2000年までITU-T SG13副議長を務め、ATMレイヤ、トラフィック管理、N-ISDN、B-ISDN網の標準化に寄与された。1997年からは工学院大学教授として情報通信技術の後継者育成に取り組むとともに、総務省の情報通信審議会専門委員として、ITU-T部会次世代ネットワーク委員会主査として次世代ネットワークの国内審議取りまとめに専念された他、2011年2月からはITU部会専門委員として無線通信総会、世界電気通信標準化総会への対処の取りまとめに従事する等、ITUへの対処に関する国内検討に多大な貢献をされた。

2

菅原 正幸/日本放送協会/放送技術研究所 テレビ方式研究部

ITU-Rにおける超高精細度テレビジョン(UHDTV)の研究活動に、その前身となる超高解像度映像(EHRI)や大画面デジタル映像(LSDI)の研究から関わり、その標準化に多大な貢献をした。特に、2008年にUHDTVを研究課題とすることを提案、その後の研究活動をラポータグループ議長として主導し、2012年にUHDTVシステムパラメータ勧告の成立に導いた。

3

高橋 玲/日本電信電話株式会社/ネットワーク基盤技術研究所

2009-2012年会期におけるITU-T SG12の副議長として、通信品質評価技術及び品質目標値に関する標準化活動に貢献した。特に,NGNやIPTVにおける音声・映像品質評価技術の標準化において、ITU-R及びITU-T の関連SGとのリエゾンとしての役割を果たすことで、本分野における国際標準策定を加速させた功績は大きい。

4

HATS推進会議 実施推進部会

高度通信システム相互接続(HATS)推進会議における長年の相互接続試験ノウハウを活かし、NGN(次世代ネットワーク)端末(VoIP,マルチメディア端末他)の相互接続試験仕様の勧告化に当たっては、HATS試験実施要領を基に寄書提案するなどの貢献を行い、更に当該勧告成立後は、勧告に基づく相互接続試験(ITUインタオペラビリティイベント)を世界に先駆け、2012年7月に日本で実施した。

5 プラマニク カデル博/一般財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力
ITU/APT活動として、各種国際会議・フォーラムへの積極的参加・各国大臣級との意見交換及び我国の国際競争力を高めるための活動・提言。APTへの我が国特別拠出を活用したプログラムの実施支援等を通じて長期間にわたり、アジア・太平洋地域におけるICT開発、教育研修支援に大きく貢献した。また、JICA専門家として、長年にわたり太平洋島嶼国におけるICTを利用した社会開発、遠隔教育の向上、防災減災ネットワーク作り、ブロードバンドサービス拡大に貢献した。また、APTパイロットプロジェクトによるテレセンター構築、研究者交流、教育プログラムの実施を通じて、電気通信の均衡ある発展にも尽力した。
6 ブン チュンセン/株式会社NTTドコモ/先進技術研究所
1991年からITU-T及びISO/IECの活動に従事し、動画符号化標準規格の策定に貢献している。ISO/IEC 13818-2(MPEG-2)、ISO/IEC 14496-2(MPEG-4)、ITU-T H.264|ISO/IEC14496-10(MPEG-4/AVC)の規格策定において中核的な役割を果たし、ITU-T H.265|ISO/IEC 23008(HEVC)では当初の構想から、要求仕様、圧縮技術、機能性向上に至るまで多岐にわたって寄与し、世界最高性能の動画符号化規格の完成に多大の貢献を行った。
7 間野 一則/芝浦工業大学/システム理工学部 電子情報システム学科
1992年の前身のCCITT SGXV会合参加より、ITU-TSG16における音声符号化の標準化活動に従事し、新たな音源符号化アルゴリズムを提案した。本方式は、少ない情報量での高品質化にきわめて有効で、G.729をはじめとする低ビットレート音声符号化勧告の中核技術となった。また、国内標準化においては、アルゴリズムの詳細試験,擬似コードの適正化など、標準策定から普及・促進まで、多大な貢献を果たした。
8 宮地 悟史/KDDI株式会社/メディア・CATV推進本部 メディアプロダクト技術部
1998年よりITU-T SG 9(ネットワーク映像伝送とケーブルテレビ)の標準化活動に従事し、ケーブル網上でのIP映像伝送方式やSet-Top Box端末等に関する勧告策定に貢献。2008年よりSG 9副議長に就任し、SG 9独自の管理体制を廃止して8年振りにWorking Party制を復活させるとともに自らWP 1/9の議長に就くなど、SG 9体制改革を主導。さらに2012年には、ケーブルテレビ゙最新技術の標準化を加速させるべく、フォーカスグループSmart Cable Televisionを立ち上げ、SG 9の活性化に大きく貢献。WTSA-12において、2013-2016会期のSG 9副議長に再選。
9 向井 宏明/三菱電機株式会社/情報技術総合研究所 光通信技術部
2000年よりITU-T SG15Q2において光アクセスシステムである、PON(Passive Optical Network)の基本仕様策定に参画、相互接続試験を推進しPONの普及に貢献した。2005年から2012年までFSAN (Full Service Access Network)においてセクレタリを拝命し、スタッフとして会合の運営に貢献した。2009年より10G-PONの規格であるG.987.3のエディタを担当、2011年より日本が先行する10G-EPONを国際規格とするG.eponのエディタを担当し、日本の技術の国際展開に貢献している。
国際協力賞(8人)
1 木村 俊一/特定非営利活動法人(認定NPO法人)BHNテレコム支援協議会
NECでマイクロ波通信装置の送信部(キーコンポーネントの進行波管)の開発設計・製品化に従事。同装置の輸出を通し国際協力に貢献。2002年からは、情報通信を活用して途上国向け支援を行うBHN(NPO)で、ミャンマーやアフガニスタン等への情報通信支援事業のプロジェクト管理やアジア諸国・太平洋島嶼国からの研修員に対する通信技術・事業研修に関わる広範囲な調整業務を担当、また、支援事業の実施要員として国際協力に寄与している。
2 小林 一之助/元日本電信電話株式会社
専門家としてパラグアイ電気通信訓練センタにて約2年半、職員の技術向上訓練を実施するとともに、同センタに併設された国立アスンシオン大学にて教程作成・嘱託訓練等に携わり同国における訓練プロジェクトの礎を作った。またパナマ電気通信庁では3年間、保全・訓練部門のみならず建設部門での電気通信網整備拡充マスタープラン策定等にも幅広く携わるとともに、メキシコ電気通信訓練センタでは第三国研修の無線部門の講師を務めるなどし、長年に亘り途上国の電気通信の発展に大きく寄与した。
3 白井 明/株式会社 NHKアイテック/海外事業部
1976年にパキスタン国に対する初めての無償資金協力事業である中央電気通信研究所の設計・施工監理業務に従事して以来、現在に至るまでODA施設案件を主体としたコンサルティング業務を通じて一貫して国際協力活動に従事してきた。37年間の業務経験の中で実施した案件は22ヵ国で40を超え、その殆どが電気通信施設ならびに放送施設や放送機材の整備案件であることから、開発途上国の情報通信・放送分野の発展に対する貢献度は極めて大きい。
4 高原 実/一般財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力/管理部門
JICA調査団(通信・放送分野)への数回の参加を契機に、1989~1992年、1996~1999年の二度、6年間に亘り、タイ国において、また、2002~2005年の3年間、インドネシア国において、各々、JICA専門家として技術協力に携わったほか、2001~2002年には、ワールドカップサッカー大会日本組織委員会の電波対策担当として日韓調整及び海外対応に当たり、さらに、2006~2012年の5年余はタイ国バンコクのNICTアジア研究連携センターにおいて国際連携支援業務に従事するなど、長年に亘り、身を挺して海外関係業務に邁進し、我が国の国際協力の推進に多くの貢献を行った。
5 滝童内 裕/一般財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力/事業部門
40年弱の長きに亘り、コンサルタント及び工事担当者として8か国で15件の電気通信網プロジェクトに携わり、開発途上国の電気通信の発展に寄与した。特に、インドネシア国では足掛け27年、滞在期間合計10年にもおよび、顧客からも高い評価を受けている。
6 外所 賢二/北日本電線株式会社/東京支社
専門家としてペルー電気通信研究訓練センタにて教官育成と訓練・指導業務に2年半従事するとともに、グアテマラ共和国電気通信公社にて2年間、ジョルダンン電気通信公社にて1年半の間、通信網計画策定の技術指導業務に従事した。帰国後は、日本電信電話株式会社にて、JICA計画のホジュラス国ルーラル通信網のマスタープラン作成に携わるとともに、中国南部電気通信網整備計画F/S調査およびパキスタン地方都市電話網整備拡充計画ではプロジェクトリーダとして調査を実施し計画を推進するなど20年余りに亘り途上国の電気通信の発展に大きく貢献した。
7 橋本 イスラムヌルール/株式会社 アイエスインターナショナル/ICT/電気通信部門
1970年来日、東洋大学機械工学科を卒業、以後、電気通信屋外設備技術専門家として約35年に亘り、我が国のODAプロジェクトを中心に多くの海外プロジェクトに従事してきた。その間、1994年に日本国籍を取得、15ヶ国を超える国々に於いて従事したプロジェクトは20以上に及ぶ。卓越した機械工学・土木技術の知識により施工方法の改善に尽力し、又、語学力と温厚闊達な人柄を生かし、開発途上国技術者への技術移転・人材開発での貢献は顕著である。
8 藤井 浩/公益財団法人 KDDI財団/技術部
長年、海外通信コンサルタントとして、海外ODA案件の円借款通信プロジェクト(パラグアイ国、カンボジア国など)、JICAマスタープラン、及び、ITUマスタープランの策定など、多数の海外通信プロジェクトに従事し、その分野で顕著な功績を積み上げた。これら国際協力活動により、海外通信キャリアーの技術力向上、当該国の情報通信ネットワークの拡充・改善に大いに貢献した。
国際活動奨励賞 功績賞対象分野(15人)
1 荒木 則幸/日本電信電話株式会社/アクセスサービスシステム研究所 アクセスメディアプロジェクト
ITU-T SG6 Q.6(光ケーブル網の保守)とSG15 Q.17(光ケーブル網の保守運用)のラポータとして、光ケーブル網の設備管理・保守運用に関する標準化議論をリードしている。特に、光ケーブル網の保守波長、インサービス試験基準の勧告策定に貢献した。2012年から災害対応に関するICTの活用法やITU標準の役割の議論をITU-T FG-DR&NRRの議長としてリードしている。また、2013年からSG15副議長として今後更なる活躍が期待される。
2 大久保 洋幸/日本放送協会/放送技術研究所 テレビ方式研究部
ITU-R SG6ブロック会合において、スーパーハイビジョン音響システムとして期待されている5.1chを超えるマルチチャンネル音響システムの標準化に必要な、新勧告BS.1909「先進的マルチチャンネル音響の要求条件」の策定に貢献した。現在、進歩的マルチチャンネル音響システム標準化の審議に貢献している。また、オーディオ技術学会(AES)において、ディスプレイ一体型スピーカアレイによる22.2ch音響再生技術を報告するなど先進的なアクティビティを国際的に示した。
3 久代 雄一郎/日本放送協会/技術局 計画部
ITU-R SG6,SG4を中心とした活動に従事し、放送や放送衛星業務に係る周波数利用や周波数共用の検討に貢献した。特に、WRC-12における21GHz帯放送衛星業務の周波数利用検討においては、事前のAPG会合においても中心的な役割を果たし、衛星軌道利用の厳格化や関連フィーダーリンクの周波数追加配分に大きな貢献をするとともに、業務保護のための干渉許容値等の技術検討も促進した。更に、JTG4-5-6-7会合に参加し、IMTへの周波数分配における共用条件等の検討に貢献している。
4 栗田 敏彦/富士通株式会社/株式会社富士通研究所 ネットワークシステム研究所
2009年からITU-T SG13およびFG-FN(Focus Group on Future Networks)における将来網標準化に参画、勧告Y.3001(全体ビジョン)、勧告Y.3011(網仮想化)、勧告Y.3021(網省エネ)に対して、積極的な寄書提案などを通じてこれらの策定に貢献した。特にY.3021ではエディタを担当し、各国参加者の意見をとりまとめ、勧告の完成に主導的な役割を果たした。これらの活動により将来網標準化の分野で日本が世界をリードする一翼を担うと共に、継続的な貢献を行っている。
5 小池 良典/日本電信電話株式会社/NTTネットワークサービスシステム研究所
ITU-T SG15において、課題3(光伝達網関連課題の調整)のラポータとして光伝達網構成に関する勧告群の制改訂、コア網の標準化計画の策定、並びに光トランスポート網技術のハンドブック作成に多大な貢献をした。特にMPLS-TP関連の勧告(G.8113.1,G.8113.2)化では、通信事業者間の非公式会合や技術的な比較分析のリードなど、IETFとの課題解決にも貢献した。ラポータとしても技術者としても光伝達網技術の標準化と発展に寄与すると共に更なる活躍が期待される。
6 千賀 渉/KDDI株式会社/ 技術統括本部 運用本部 セキュリティ・オペレーション・センター
2009年9月からITU-T SG17における情報セキュリティ分野の標準化活動に参加し、主に情報セキュリティマネジメントに関する勧告の策定に積極的な寄与を行っている。特に近年では、中小通信事業者向け情報セキュリティマネジメントガイドラインに関する勧告案「X.sgsm」や、ITU-T勧告X.1051(電気通信事業者のための情報セキュリティマネジメントガイドライン)のためのユーザーズガイドのエディタとして、これらの勧告の完成に向けて主導的な役割を果たしており、また、通信事業者向けIPv6実装のためのセキュリティマネジメントガイドラインに関する勧告案「X.mgv6」にも貢献し、更に、課題1及び課題2の国内担当として日本としての対処方針や寄与文書の検討に尽力するなど、今後も継続的な貢献が期待されている。
7 高橋 秀明/株式会社NTTドコモ/研究開発センター 無線アクセス開発部
3GPPにおける無線アクセスネットワーク関連の標準化活動において、主に、LTEにおける優先・緊急呼制御拡張、フェムトセル制御、LTE-Advancedにおけるリレー制御、時間領域干渉制御等の基本仕様策定において技術的な議論を主導するとともに、アドホック議長、ラポータ等、様々な取りまとめ役を務めるなど、多大な貢献を行っている。
8 並河 治/株式会社 日立製作所 情報・通信システム社/環境推進本部 環境戦略センタ
日立製作所情報・通信システム社において、環境影響評価の取組や日立グループにおける製品/ネットワーク/サービスに対する環境配慮設計、ライフサイクルアセスメント(LCA)といった環境活動全般の取組を推進する立場にいる。また、ITU-T SG5におけるICTと気候変動課題(WP3)においては、2009年の課題設立時から継続的に会合に参加し、日本提案の勧告(グリーンデータセンター、ICT製品・ネットワーク・サービスの環境影響評価手法)等の成立に尽力されただけでなく、課題の解決に向けて積極的に貢献している。さらに、IEC及びISOの国際機関、また、標準化団体Ecma Internationalの議長としても活躍、環境問題全般に係る国際標準化に向け尽力されており、今後も一層の活躍が期待される。
9 西田 克利/株式会社NTTドコモ/研究開発センター 研究開発推進部
2004年からIETFにおけるIPベース移動制御プロトコル標準化、2006年からは3GPPにおける次世代移動通信コアネットワーク(EPC)やLTE無線システムにおける位置情報サービス、優先呼制御、VoLTE品質向上に関する技術(VoLTE->回線交換ハンドオーバ方式改善、ノード障害回復)等に継続して貢献している。特に、EPC標準化では移動制御プロトコル標準化のためIETF-3GPP間連携を主導、優先呼制御標準化ではラポータとして会合・電話会議における、課題整理・作業分担を主導するなど、多数の技術寄与のみならず、標準化の推進にも大きく貢献している。
10 浜田 リラ/独立行政法人情報通信研究機構/電磁波計測研究所 電磁環境研究室
近年、新興国や途上国における携帯電話等の普及が著しく、これらの国々で簡便に利用できる携帯無線システムの電波防護指針適合性評価手法についてのニーズが高まってきている。このため、ITUにおいて新興国主導による人体の電波ばく露量の評価方法の勧告が策定されてきているが、評価方法の信頼性向上や我が国で用いられている評価方法との整合性確保のための寄書を行ってきた。さらに、ITUとICNIRP(国際非電離放射線防護委員会), IEC, IEEE等の関連国際機関との連携にも貢献してきた。
11 渡辺 聡一/独立行政法人情報通信研究機構/ 電磁波計測研究所 電磁環境研究室
近年、新興国や途上国における携帯電話等の普及が著しく、これらの国々で簡便に利用できる携帯無線システムの電波防護指針適合性評価手法についてのニーズが高まってきている。このため、ITUにおいて新興国主導による人体の電波ばく露量の評価方法の勧告が策定されてきているが、評価方法の信頼性向上や我が国で用いられている評価方法との整合性確保のための寄書を行ってきた。さらに、ITUとICNIRP(国際非電離放射線防護委員会), IEC, IEEE等の関連国際機関との連携にも貢献してきた。
12 姫野 秀雄/日本電気株式会/NTTシステム事業部
ITU-T SG11においてNGNの相互接続性確保に向け標準化の中心的役割を担ってきた。NGN機器開発の経験を活用して相互接続の試験仕様を定めるITU勧告Q3909, Q3948, Q3949ではエディタとして寄与すると共に、2012年7月にはITU-T後援NGN相互接続イベントの日本開催実現に向けて貢献した。2011年3月からはTTC信号制御専門委員会NGN信号アップストリームSWGリーダとしてSG11全般について国内の意見を取りまとめている。2012年4月からSG11と関連のあるFG-M2Mに参加し、ギャップ分析文書、APIとプロトコル文書のエディタとして、またWG3(M2M APIとプロトコル)リーダとして本活動へ大きく貢献している。
13 三浦 望/株式会社NTTドコモ/無線アクセスネットワーク部
2001年から現在に至るまで、ITU-R会合、APT会合、3GPP会合等における国際標準化活動に従事し、特に、RFIDを含む短距離無線装置(SRD)に関するRadio Regulationsの改正、関連Recommendation、Report策定、SRDの商業的な発展に寄与するための共通周波数運用に向けたRecommendation等の策定に大きな貢献をしている。さらに、第4世代携帯電話システムの周波数拡大に関連したITU-R Reportの策定等においても、大きな貢献をしている。
14 山影 朋夫/株式会社 東芝/研究開発センター マルチメディアラボラトリー
1991年から1994年までH.262に採用されたインターレース画像の動き補償方式を提案した。また、2007年からITU-T SG16およびその下部組織となるJVTにおいて、H.222.0勧告修正およびH.264勧告拡張(フレームパッキング方式)のエディタとして参画した。更に、2010年からITU-T SG16の下部組織となるJCT-VCにて、多数の技術提案を行うと共に、ループフィルタ技術検討のアドホックグループ議長、コア実験のコーディネーター、会合期間中のブレークアウトグループの議長として、HEVC勧告の策定に多大な貢献をした。
15 吉松 勇/日本電信電話株式会社/知的財産センタ 渉外部門
知的財産権の専門家として、ITUにおける知的財産権の扱いに関する活動に参画し、ITU/ISO/IEC共通特許ポリシー及びガイドライン策定に携わり、ITU勧告に係る特許・知的財産権の取扱いに関する基本的指針を制定する等、多大な貢献をされた。
国際活動奨励賞 国際協力賞対象分野(6人)
1 伊藤 勇/KDDI株式会社/グローバル事業本部 グローバルICT本部 グローバル事業推進部 プロダクト企画1G
1988年4月から2年間、JICA青年海外協力隊としてマラウイで日本の援助で導入された国際電話交換機の保守・運用を指導した。1993年12月から3年間は、JICA専門家としてモンゴルのウランバートルで国際電話交換機の技術指導を行った。その後、2010年1月から2年間は、JICAシニア海外ボランティアでウズベキスタンに派遣され、タシケント情報工科大学でIPネットワーク技術の講義や最新の通信技術のセミナーを行ってきた。
2 北田 薫/西日本電信電話株式会社/大阪支店 第一法人営業部
青年海外協力隊員としてカンボジアの計画省で情報通信技術者育成と、日本との友好関係構築に貢献。専門家としては情報通信技術を活用するためのコーディネートの実施とその手法の技術移転に従事。アジア、アフリカ等では、各国のテレセンタ運営を調査及びコーディネートしただけでなく、継続的な運営のため「ICT活用コーディネーター育成研修」を立案、実施。教育、農業、地域振興、環境等のさまざまな分野で活用できる継続的なデジタル・ディバイド・解消を通じた途上国の発展に多大なる貢献をした。今後も国際協力の分野での活躍が期待される。
3 小林 真弓/富士通株式会社/社会基盤ソリューションビジネスグループビジネスマネジメントセンター
局用交換機のエンジニアとして、アジア・中近東への通信インフラ普及に貢献した経験などをもとに、ラオスにおける医療従事者間の遠隔相談モデルシステム構築等4件のAPTプロジェクトを提案。そのプロジェクトマネージャーとして、政府関係者や医療従事者への医療ICTの有効性の理解浸透、現地に構築したモデルシステムによる医療分野でのICT利活用に向けた具体的ニーズや課題の抽出、主要都市の有力病院を結ぶICT利用パイロットシステムの構築などを実施。併せて、通信及び医療関係者の人材育成を行い、システムの円滑な実用化に努めた。なお、同パイロットシステムは、ラオス電子政府ネットワークにおける、初のアプリケーションとして高く評価されている。
4 志村 直茂/通信システムコンサルタント
通信建設会社在職中に、中近東、東南アジアにて、移動体通信システムの導入のため、システム設計、工事、調整、指導から客先引渡しまで一貫した業務を行い、企業を通じての国際協力に貢献した。 その後、BHNにおいては、企業での経験をもとに、アフガニスタン医療無線設備の工事指導と、ハイチ大地震において、震災後、被災したコミュニティ放送局の修復に向けた設計から施工管理を行う。また、各被災コミュニティに設置した地域一斉同報システムの設計や現地メーカーとの折衝、工事管理と有効な利用方法の現地指導を行っている。
5 本田 英昭/日本放送協会/放送技術局(MT出向)
1996年10月から2年間、ラオス国立テレビ゙局へJICAの専門家として派遣され、番組制作技術力向上にむけた実習計画を立案・実行するとともに、放送機器を安定して運用するために設備保守を指導するなど、放送技術全般にわたって積極的に実務指導を行い、放送技術の向上を図った。とりわけ、補修用部品の調達方法の確立や番組送出勤務者の「シフト勤務」の確立など、技術部門における運用体制の確立に情熱を注ぎ、技術基盤の発展に甚大な貢献をした。
6 山中 敦之/個人コンサルタント(元JICA 専門家)
ICTが発展途上国の開発に対して有効なツールであるとの認識を国際社会が持ち始め、支援を強化し始めた頃より、国連機関やJICAなどでICTを使った途上国援助に従事する。革新的かつ触媒的なパイロット事業支援と、その経験から導き出されたオーナーシップを持った国家政策・戦略策定・施行を数多くの発展途上国でサポートしてきた。またWSISとそのフォローアッププロセスにおいても積極的に関わり主に途上国でのICT活用を進める事業に従事してきた。