アジア・エレクトロニクス・情報通信連盟の前身は、1957年に発足したエレクトロニクス協議会(エレ協)の国際委員会が主催したアジア・エレクトロニクス会議(AEC
: Asia Electronics Conference)である。
このAECは、エレクトロニクス協議会の倉田国際委員長(元日立製作所社長)の尽力により設立が実現した。エレクトロニクス協議会の倉田国際協力委員長は、当時のエレクトロニクスニュースに「アジア・エレクトロニクス会議の必要性とその思想」として、次の主旨のことをのべられている。
「日本はアジア諸国のリーダーとしてこれらの国々の進歩発展に力を貸してゆかなければならない。このための施策の一つとして、エレクトロニクスを導入してアジア諸国の工業水準を引き上げ、経済レベルの向上を図ることがある。
第一着手としてアジア・エレクトロニクス会議を開催して、関係諸国のエレクトロニクス関係者が一堂に会して、それぞれの国の立場からそれぞれの意見を持ち寄って議論を行い相互援助の実をあげてゆくことが出きれば、アジア諸国の共栄に大いに資する事ができる。本会議の取り上げる問題は、先ずは各国の情報交換に始まり、普及、啓蒙、研究、生産技術の改善についての相互援助等に及んでゆくのが良いと思う。
このような企図の完遂には関係諸国の協力が必要であるが、日本側としては政界、学会、経済界をあげての熱心な後援と政府の強力な援助が必要である。
また、当時の中曽根科学技術庁長官が、「アジア・エレクトロニクス会議はエレクトロニクス協議会に主催させ、科学技術庁が助成する」という構想を発表した。1968年までに4回のAECが東京又は大阪で開催されている。
第1回AECには、池田総理大臣、佐藤通産大臣、荒木文部大臣、迫水郵政大臣、三木科学技術庁長官等の他に専門家6名が出席し、外国からは14ヶ国21名が参加した。第2回から第4回までの会議には科学技術庁長官以下約20名が出席し、外国からは毎回10ヶ国約20名が参加している。
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