新日本有限責任監査法人

新日本有限責任監査法人シニアパートナー 公認会計士 塚原正彦
アーンスト・アンド・ヤング ジャパン テレコムセクターリーダー

 新緑の輝きに花々の美しさが一層眩しさを増すころ、日本ITU協会会員の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。この度、日本ITU協会の賛助会員として参加させていただくこととなり、このようにご挨拶の場を頂いきましたこと、光栄に存じます。

 ところで、「なぜここに監査法人が?」と不思議にお思いの方もいらっしゃることでしょう。そこでまず私ども新日本監査法人についてご紹介します。当法人は、国内外合わせて70あまりの拠点を持ち、4,000社近い企業及び団体等に対し会計監査と保証業務を提供しています。また、日本企業が世界で活躍する中、当法人は、世界の会計事務所のビッグ4の一つとして知られる、アーンスト・アンド・ヤングのボードメンバーともなっています。アーンスト・アンド・ヤングのグローバルテレコムセンターは、米国においてはAT&T、Verizon等の会計監査業務に携わっており、その他にもTelefonicaやEtihadなど欧州や中東、アジアの複数の主要通信事業者をクライアントとしています(表1参照)。

 会計事務所や監査法人というと、このように会計監査をするだけのところという印象が、特に日本で強いようです。しかし実際は、多様な専門家が集結し、独立した立場と知見に基づいて、企業の経営を支えるための様々なアドバイザリー業務を提供しています。例えば、M&Aに関連したデューディリジェンスなども行っています。また情報セキュリティ分野にも力を入れており、最近では、アーンスト・アンド・ヤングは米国調査会社によって情報セキュリティのリーディングファームとして選ばれました。

 さて、ICTが社会インフラとして益々その重要性を高めている中、情報セキュリティと個人情報保護の問題は、企業の活動と人々の暮らしのいずれからも切り離し難いものとなっており、私どもはインターネット規制の動向にも特に注目しています。図1は、アーンスト・アンド・ヤングが考える、2020年のネットとリアルの融合に関する4つのシナリオを示しています。今後ますますネットとリアルの融合が進むと予想されますが、例えばもし規制が不十分なまま融合だけが進んでしまった時、人々の暮らしはどのようになるのでしょうか。人々の行動は常にモニタリングされ、ライフログなどを利用した広告が至るところで発せられるだけでなく、サイバー犯罪も深刻化するでしょう。逆に規制が強すぎれば、ネットとリアルの融合に支障をきたし、本来人々が得ることができるはずだったテクノロジーの進歩による恩恵を得られず、新しい時代の幕開けはさらに先延ばしとなることでしょう。

 日本国内においても、ネット選挙の解禁や電子政府実現に向けた動きなど、社会と政治のあり方を根底から変えていくような動きがじわりじわりと進んでいます。ICTの活用と広がりにより、民主政治は新しい時代を迎えることでしょう。100年後、あるいはもっと早く50年後の世界経済と国際政治は大きく様変わりしていると予感させられます。新しい時代に向けた大きな変革の流れの中で、世界の経済・社会は今後も度々、大きな混乱を迎えることになるかもしれません。そうした中、ICTの健全なる発展のため、ITUが果たすべき役割の重要性はいやましに高く、私どもとしましても「世界の人々をICTによって繋げる」というITUのミッションに賛同するとともに、特定の企業や団体、あるいは国の便益に囚われることなく独立した立場から、あるべき公正な社会経済の実現に向け、貢献して参りたい所存です。

1:【アーンスト・アンド・ヤングが関与する主な通信事業者(一部)】

通信事業者 売上高(百万ドル)
AT&T Inc. 米国 127,434
Verizon Communications Inc. 米国 115,846
Telefonica SA スペイン 83,110
Telstra Corporation Limited オーストラリア 26,310
VimpelCom Ltd (ADR) オランダ 23,061
Telenor ASA ノルウェー 17,473
Megafon OAO ロシア 8,775
Wind Telecomunicazioni SpA イタリア 7,549
Etihad Atheeb Telecommunication Co サウジアラビア 66
PLDT Communications and Energy Ventures Inc フィリピン 27

 出所:OneSourceより新日本監査法人作成

 
1:【インターネットの近未来と4つのシナリオ】

 

             出所:アーンスト・アンド・ヤング”How will consumers communicate in 2020?”(2012)、新日本監査法人

アーンスト・アンド・ヤング ジャパン
http://www.eyjapan.jp/

(平成25年4月現在)