2015年世界情報社会・電気通信日の特別記念局8J1ITU運用レポート

一般財団法人日本ITU協会が後援する日本ITU友の会アマチュア無線クラブは2015年5月1日から31日まで世界情報社会・電気通信日の特別記念局アマチュア無線局8J1ITUを運用しました。 今年はITU創立150周年にあたる記念の年で世界各国からコールサインに150の文字をコールサインに含むITU150周年を記念したイベント局がオンエアしました。 私が交信したLog(無線業務日誌)にも OM150JM(スロバキア) SN150SZ(ポーランド) AO150A AO150R(スペイン)と4局のITU記念局との交信が記録されています。 クラブメンバー全体ではもっと多くの150周年記念局と交信ができていると思われます。 今年のコンデションは昨年よりさらに低下し、北米のパス(電波伝搬路)がほとんど開かず、ヨーロッパ方面がかろうじて開きましたが、夜中から日が昇るまで伝搬が継続したのは期間中2、3日しかありませんでした。 そうした悪い条件の中での運用でしたが150周年の節目の年なので、クラブ員一同が一丸となって記念局を運用し、一月の運用期間内に12,456局と交信し、1万局越えの目標を達成しました。 

今年は開局準備の点検で運用周波数帯14-18-21-24-28MHzが使える5バンドの八木アンテナの給電ケーブルの断線が見つかり、ケーブルの張り替え工事を行いました。

運用開始早々に昨年は運用できなかった1.8MHzのフルサイズダイポールアンテナを28mタワーの上に給電点として逆Vのアンテナとして上げ1.8M/1.9MHzが運用可能になりました。このバンドでは215局の交信に成功しています。コンデションが悪い中で14MHzの6エレのアンテナは威力を発揮し、海外との交信5121局中14MHzは1704局と多くのDX通信の実績を上げる事ができました。

運用期間中霞ヶ浦の1KW局も長年の使用によるダメージで、ついに1KWのリニアアンプのチューナ部分が故障しましたが、メーカーの八重洲無線の御協力により翌週の週末には運用に復帰し、運用にはほとんど支障を与えませんでした。また今年は週末が5回あった事も運用の助けになりました。

5月1日の夜AM00:00を持って8J1ITUを開局しましたが思えばこの日のコンデションが期間中1,2の絶好のコンデションで明け方までヨーロッパを中心に交信数を伸ばしましたが、初日の夜はあいにくオペレータが1人きりで、交代要員もいなかったため、明け方の4時で運用を一旦打ち切りました。 

固定局の運用は、今年は南極の8J1RLの子供の日の特別運用はありませんでしたので、通常は5月5日にワイヤーズのキッズデイで集まる若いハムにお集会も無く淡々と運用が進められました。 

バンドのコンデションが悪い場合はCW(無線電信)の運用比率が高くなります。 去年CWの交信は50%でしたが、今年はさらに増えて58%の交信がCWによるものです。 今年のようなコンデションでも1万局越えを達成できたのは多くのベテランCWオペレータに負う所が大きいと思います。 最終の週には世界規模のWPXコンテスト(World Wide Prefix Contest)に参加し、昨年以上の交信を達成することができました。

8J1ITUの移動運用では筑波山、我孫子、さいたま、和光、練馬、美浦村、石岡、鴻巣、土浦、太田、山形、吉川、赤城山などで運用し3266局の交信を行ってなっています。 コンデションの低下に対して移動地を増やす事でカバーした事も今年の1万局越えの成果につながったと考えます。

日本ITU協会主催する世界情報社会・電気通信日の記念式典(5月15日)の会場では電気通信の原点とも言えるCWを8J1ITUで運用する風景をビデオで公開するとともに150周年を記念するQSLカードの展示とCW送信のシンボルである電鍵を展示し、日本ITU友の会アマチュア無線クラブの活動をPRしました。 

報道関係では期間中に霞ヶ浦が雑誌CQはham radioと水戸のFM放送局FMぱるるんの取材を受けました。 FM放送では8J1ITUの活動を伝える1時間番組を予定しています。 

2015年の8J1ITU記念局の運用がコンデションの悪い中で無線設備の保守、さまざまなモードでの運用、移動運用の地点を増やすなどの数々の努力を重ねITU150周年にふさわしい1万局越えの交信を達成しITUを国内外に広くPRできました事は、ひとえに日本ITU協会の方々の協力と、日本ITU友の会アマチュア無線クラブの会員努力の賜物と皆様に感謝したいと思います。

2015年6月4日

日本ITU協会アマチュア無線クラブ

会長 木下重博

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